性質うまれつき)” の例文
萬一斯かる事あらんには、大納言殿(宗盛)は兄の内府にも似ず、暗弱あんじやく性質うまれつきなれば、もとより物の用に立つべくもあらず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
すると子飼こがいから粂之助くめのすけというもの、今では立派な手代となり、誠に優しい性質うまれつきで、其の上美男びなんでござります。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たば素性履歴を聞きただし、身に叶うべきほどならば、力となりて得させむず、と性質うまれつきたる好事心。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども母の性質うまれつきとしてどうしても男は男らしくというようなはげしい育て方はできないのです。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
これはこの源三が優しい性質うまれつきの一角と云おうか、いやこれがこの源三の本来の美しい性質で、いかなる人をもたのむまいというようなのはかえって源三が性質の中のある一角が
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
十兵衞と云しが兄作藏は性質うまれつきよからぬ者にて村方にても種々しゆ/″\樣々さま/″\の惡事をはたらきし故親の作十も持餘もてあまつひ勘當かんだうに及びしが弟十兵衞は兄とちが正路しやうろの者にて隣村迄りんそんまで評判ひやうばんきにつき是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とおろ/\しながら、惣吉は年はとおだが親孝心で発明な性質うまれつき、急いで降る中を四五町先を見当みあてにして参りました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それは一ツは私から尺八を習おうという熱心であったでございますが、笛とか尺八とかいうものは性質うまれつきと見えまして藤吉は器用な男でありながらどうしても進歩いたしません。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なに己アふじみだから二寸や三寸斬られても痛くねえという妙な性質うまれつきだから、無法に喧嘩を仕掛ける心底しんてい
私の性質うまれつきでありましょうか、私だけは若い者の中でも別段にり固まり、がなすきがな、尺八を手にして、それを吹いてさえいれば欲も得もなく、朝早く日ののぼらぬうちに裏の山に上がって
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
誠に一国いっこくな事を申すようですが、わたくしは一体斯ういう正直な性質うまれつきで、私どもはこれ本陣だとか脇本陣だとか名の有る宿屋ではございませんで、ほんの木賃宿の毛の生えた半旅籠同様で
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
短慮功を為さずと遺言され、それからちっとばかりおとなしくなったが、気のあれえのは性質うまれつきだから止まねえのよ、今日高輪たかなわから乗合船のりえいぶねで客を送り、深川へ上げて佐賀町の友達の処で用を
支那しなおそろしい道の悪いところきまして木石ぼくせきんではこびますのが、中々なかなか骨の折れた事で容易よういではございません、勿論もちろん牛は力のあるのが性質うまれつきゆゑつまりはくにめだから仕方しかたがございませんが
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)