“もちまえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
持前78.8%
性質6.1%
天性3.0%
性得3.0%
所有3.0%
本来3.0%
特質3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼はしばらくの間、自分の頭の上に開いている、洞穴ほらあなの入口とでも云った感じのする、その天井の穴を眺めていましたが、ふと、持前もちまえの好奇心から
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
実在の苦境くぎょうの外に文三が別に妄念もうねんから一苦界くがいを産み出して、求めてそのうち沈淪ちんりんして、あせッてもがいて極大ごくだい苦悩をめている今日この頃、我慢勝他しょうた性質もちまえの叔母のお政が
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
話の調子の低いのが天性もちまえである養父は、かさにかかって言募って来るおとらの為めに遣込やりこめられて、しまいにはなだめるようにことばを和げたが、矢張やっぱりいつまでもぐずぐず言っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
結納の取換とりかわせがすんで、目録が座敷の床の間にうやうやしく飾られるまでは、お島は天性もちまえの反抗心から、はたいつけようとしているようなこの縁談について、結婚を目の前に控えている多くの女のように
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
弱いほうに味方するこころ、お妙のために口をきいてやろうという気がすわって、知らずのお絃は、ソロソロ性得もちまえ鉄火肌てっかはだを見せ出した。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
権兵衛は所有もちまえの烈しい気象を眉にあらわしていた。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
『回外剰筆』の視力を失った過程を述ぶるにあたっても、多少の感慨を洩らしつつも女々しい繰言を繰り返さないで、かえって意気のますます軒昂たる本来もちまえの剛愎がほの見えておる。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
しかも特質もちまえのわがまま剛情が累をなして、明治政府に友少なく、浪子をなかだちせる加藤子爵などはその少なき友の一にんなりき。甲東没後はとかく志を得ずして世をおえつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)