生來うまれつき)” の例文
新字:生来
そこでだ、若し後藤肇の行動が、後前あとさき見ずの亂暴で、其亂暴が生來うまれつきで、そして、果して眞に困つちまふものならばだね、忠志君の鼠賊根性はどうだ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
髮は二寸も延びて、さながら丹波栗のいが泥濘路ぬかるみにころがしたやう。目は? 成程獨眼龍だ。然しヲートルローで失つたのでは無論ない。恐らく生來うまれつきであらう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
君の亂暴は、或は生來うまれつきなのかも知れないね。そら、まだお互に郷里くにに居て、尋常科の時分だ。僕が四年に君が三年だつたかな、學校の歸途かへりに、そら、酒屋の林檎畑へ這入はいつた事があつたらう。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)