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黙
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もだ
ふりがな文庫
“
黙
(
もだ
)” の例文
旧字:
默
法海和尚は「今は老朽ちて、
験
(
しるし
)
あるべくもおぼえ
侍
(
はべ
)
らねど、君が家の
災
(
わざわい
)
を
黙
(
もだ
)
してやあらん」と云って
芥子
(
けし
)
の
香
(
か
)
のしみた
袈裟
(
けさ
)
を
執
(
と
)
りだして
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
二人は又
接穂
(
つぎほ
)
なさに困つた。そして長い事
黙
(
もだ
)
してゐた。吉野は
既
(
も
)
う顔の
熱
(
ほて
)
りも忘られて、
酔醒
(
よひざめ
)
の佗しさが、何がなしの心の
要求
(
のぞみ
)
と戦つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其れが
嫩
(
やわ
)
らかな日光に
笑
(
え
)
み、若くは面を吹いて寒からぬ程の
微風
(
びふう
)
にソヨぐ時、或は
夕雲
(
ゆうぐも
)
の
翳
(
かげ
)
に青黒く
黙
(
もだ
)
す時、花何ものぞと云いたい程美しい。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一二一
鬼畜
(
きちく
)
のくらき
眼
(
まなこ
)
をもて、
一二二
活仏
(
くわつぶつ
)
の
一二三
来迎
(
らいがう
)
を見んとするとも、
一二四
見ゆべからぬ
理
(
ことわり
)
なるかな。あなたふとと、
頭
(
かうべ
)
を
低
(
た
)
れて
黙
(
もだ
)
しける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
他人の運命を思えば
黙
(
もだ
)
しがたく、しかも働きかけることが、他人を益するとの自信を握りかぬる弱者である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
▼ もっと見る
それは
黙
(
もだ
)
せる証人のように、そこに
横
(
よこた
)
わっている。まったく厭なもんだ。すぐに処分してしまおう。
ピストルの蠱惑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「知らぬ
疇昔
(
むかし
)
は是非もなけれど、かくわが親に仇敵あること、承はりて知る上は、
黙
(
もだ
)
して過すは本意ならず、それにつき、
爰
(
ここ
)
に
一件
(
ひとつ
)
の願ひあり、聞入れてたびてんや」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
橋の上には、宵の人影もまま
過
(
よ
)
ぎるが、そこは瀬の水音と、とび
交
(
こ
)
う蛍だけだった。三名は腰をおろして、しばし
黙
(
もだ
)
しあった。夏も忘れ、生きる
苦患
(
くげん
)
も薄らいでくる。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(人々怪しき驚愕の声出しつつ眺む。老いたる男少時槌の手を休めて、人々を顧みながら)皆の衆は、などて、さは
黙
(
もだ
)
しておぢやるぞや。念仏申さぬか。念仏申さぬか。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
初対面のことではあったけれども、どうも
腑
(
ふ
)
に落ちない。学問の習いで
黙
(
もだ
)
し難く法然はいった。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
厳令
黙
(
もだ
)
し難く、コン吉とポピノは赤い
絨氈
(
じゅうたん
)
を頭からひっかぶって、越後から来たお獅子のように、ステテ、ステテとしきりにナポレオンの前を
躍
(
おど
)
り廻るが、ナポレオンは一向に驚く様子もなく
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
夫に誘導されて一歩一歩堕落の
淵
(
ふち
)
に沈みつつあった私であるが、まだそれまでは、夫の要請
黙
(
もだ
)
しがたく苦痛を忍んで不倫を犯しているかのように、———そうしてそれは舊式な道徳観から見ても
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は
黙
(
もだ
)
すべき時を知っていたように、また口をきくべき時をも知っていた。嘆賞すべき
慰藉
(
いしゃ
)
者よ! 彼は忘却によって悲しみを消させることなく、希望によってそれを大きくなし
崇
(
たか
)
めさせんとした。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
これは老人の恋でまことに珍らしいものである。「あぢきなく」は「あづきなく」ともいい、「なかなかに
黙
(
もだ
)
もあらましをあぢきなく相見
始
(
そ
)
めても吾は恋ふるか」(巻十二・二八九九)の例がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ひとりゐて
黙
(
もだ
)
もあらんと思へどもまた音づるる山ほととぎす
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
深く母の
黙
(
もだ
)
したまへば蠅の来てつぎつぎにたかる飯の白きに
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
唇を打ちふるはして
黙
(
もだ
)
したるかはゆき人をかき抱かまし
かろきねたみ
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
獅子は
黙
(
もだ
)
ありて優しく、11850
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
黙
(
もだ
)
せる樹々も歌ふ小鳥に
接唇
(
くちづけ
)
し
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
秋草に
黙
(
もだ
)
し伏す
巨
(
おほ
)
きいしずゑ
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
といひさし
黙
(
もだ
)
して咽び泣く。
『聊斎志異』より
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
互に
黙
(
もだ
)
しつつ語り合へり。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
じつと
黙
(
もだ
)
してある身にも
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
黙
(
もだ
)
しつゝ白き血
飲
(
の
)
め
秋の一夕
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
お登和嬢も折角の頼み
黙
(
もだ
)
し
難
(
がた
)
く「そうですねー、品数の沢山出るのは支那料理です。上等の御馳走は三十六
碗
(
わん
)
といって三十六品のお料理が出ます。その上の大御馳走となれば六十四碗のお料理が出ます」大原もさすがに驚き「ヘイ、三十六碗だの六十四碗だのとそんなに沢山出ては
如何
(
いか
)
に大食の僕でも少々閉口しますな。支那人は ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
夜明けて朝日のさし出でぬれば、酒の醒めたるごとくにして、禅師がもとの所に
在
(
いま
)
すを見て、只あきれたる
形
(
さま
)
に、ものさへいはで、柱にもたれ
長嘘
(
ためいき
)
をつぎて
黙
(
もだ
)
しゐたりける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
そしてともに暁の疲れに
黙
(
もだ
)
しあって、閨も白々としてくるうちに何のご屈託もないかのような寝息に入った帝のお寝顔を見ながら、彼女は、ゆうべ
涸
(
か
)
れるまで泣きつくした涙を
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近ごろ、ご無礼の至りなれど、一応、後ろのお乗物の中のお連れにお目通りがしたい、拙者は岡崎藩の中、梶川与之助と申すもの、友人のために
黙
(
もだ
)
し難き儀があって、人あらためを
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
碧色——三尺の春の
野川
(
のがわ
)
の
面
(
おも
)
に宿るあるか無きかの
浅碧
(
あさみどり
)
から、深山の
谿
(
たに
)
に
黙
(
もだ
)
す日蔭の淵の
紺碧
(
こんぺき
)
に到るまで、あらゆる階級の碧色——其碧色の中でも
殊
(
こと
)
に
鮮
(
あざ
)
やかに煮え返える様な濃碧は
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その
吼声
(
こえ
)
と、風の
呻
(
うな
)
りと、樹々を打つ雨の音を聞くと、静かな
室
(
へや
)
の
内部
(
なか
)
が一しお暖かそうに思われ、そこにじっと
黙
(
もだ
)
している
婦人
(
おんな
)
の姿が、何となく懐かしい感じをさえも与えるのであった。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
さがなくも人は言ふともよしゑやし我は
黙
(
もだ
)
して事なくぞ経ん
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
石原に来り
黙
(
もだ
)
せばわが
生
(
いのち
)
石のうへ過ぎし雲のかげにひとし
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
父われはピアノの
陰
(
かげ
)
にかき坐り
言
(
こと
)
黙
(
もだ
)
しをり子らぞたたける
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
(かの黒い幻想の
帆前
(
ほまへ
)
は力なく
黙
(
もだ
)
したのに——。)
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
嵐よ
黙
(
もだ
)
せ、
暗
(
やみ
)
打つその
翼
(
つばさ
)
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
うち
黙
(
もだ
)
すこそ苦しけれ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
黙
(
もだ
)
しぬ。
『聊斎志異』より
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
爺の左近と、龍泉の正季も、彼のさしずを待ちかねるふうだが、それに
黙
(
もだ
)
したまま、寝床まで抱き入れた迷いは、寝ぐるしい蒸し暑さを、よけい幾たびもの寝がえりにさせていた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老和尚
三七四
眼蔵
(
めんざう
)
をゐざり出でて、此の物がたりを聞きて、そは浅ましくおぼすべし。今は
老朽
(
おいく
)
ちて
三七五
験
(
げん
)
あるべくもおぼえ
侍
(
はべ
)
らねど、君が家の
災
(
わざはひ
)
を
黙
(
もだ
)
してやあらん。
三七六
まづおはせ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
老が身は人わらへなる腰折れの歌よまんより
黙
(
もだ
)
もあらぬか
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
日もすがら
砂原
(
すなはら
)
に来て
黙
(
もだ
)
せりき
海風
(
うみかぜ
)
つよく
我身
(
わがみ
)
に吹くも
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
赫爾洪得
(
ハラハンテ
)
夕日の照りにうつら出て駱駝
黙
(
もだ
)
居り高き砂山
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
うち
黙
(
もだ
)
すこそ苦しけれ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一瞬の気まずい
黙
(
もだ
)
し合いのなかにチラと見ると、女は良家の内室らしい
白妙
(
しろたえ
)
の
喪服
(
もふく
)
がかえって似合わしく、
臙脂白粉気
(
べにおしろいけ
)
がなくてさえ、なんとも
婀娜
(
あだ
)
な
艶
(
なま
)
めきをその姿は描いている。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この村の小さき
社
(
やしろ
)
の森に来て
黙
(
もだ
)
すことあれど心足らはず
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
彼アイヌ、よく
黙
(
もだ
)
し、念じ、かつ、しかく
黙
(
もだ
)
せり。
篁
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
両女
(
ふたり
)
は、息をつめて、
黙
(
もだ
)
しきった。眸と眸とは、
曼珠沙華
(
まんじゅしゃげ
)
のように、燃えあった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
舟とめてひそかに
黙
(
もだ
)
す闇の
中
(
うち
)
深海底の響きこゆる
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
多市に
蒲団
(
ふとん
)
を掛けてやりなどして、何気なく縁側から空を仰いでいると、パラパラと大粒な雨!
黙
(
もだ
)
しぬいていた闇の一角から、にわかに、気味の悪い冷風がサーッと一陣に揺すり立ててきた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大鴉一羽渚に
黙
(
もだ
)
ふかしうしろにうごく漣の列
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
黙
常用漢字
中学
部首:⿊
15画
“黙”を含む語句
沈黙
黙然
緘黙
黙会
黙々
沈黙家
黙劇
黙止
緘黙行
寂黙
黙祷
黙契
寡黙
黙示
黙頭
黙示録
黙言
古河黙阿弥
河竹黙阿弥
黙誦
...