しほ)” の例文
新字:
おとつゝあそんなぜねなんざ一錢ひやくだつてつてねえから、しほだつて容易よういなもんぢやねえや、そんな餘計よけいなものなんになるもんぢやねえ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「旦那、放つて置いて下さい。斯うでもしなきア、素直に口を開く女ぢやありません。——野郎、默つて見て居ずに、しほでも持つて來い」
もん左側ひだりがはに、井戸ゐど一個ひとつ飮水のみみづではないので、きはめてしほからいが、そこあさい、かゞんでざぶ/″\、さるぼうでらるゝ。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
聖書にいはゆる「しほその味を失はば」と、最初の獻金者は歎ずるかも知れないが、キリスト教は日本の地質には適しないものらしく、深く根が張れなかつたのであらう。
学校の今昔 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
しほたま一八を出して溺らし、もしそれ愁へまをさば、しほたまを出していかし、かく惚苦たしなめたまへ
質素しつそ』をあいするといふことを、いろ/\なこととうさんにをしへてせてれたのも祖母おばあさんでした。祖母おばあさんはよくあつしほのおむすびをにははうにつゝみまして、とうさんにれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
びんそこになつた醤油しやうゆは一ばん醤油粕しやうゆかすつくんだ安物やすもので、しほからあぢした刺戟しげきするばかりでなく、苦味にがみさへくははつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
炎天えんてんうみなまりかして、とろ/\とひとみる。かぜは、そよともかない。斷崖だんがいいはしほけづつてしたす。やまにはかげもない。くさいきれはまぼろしけむりく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おしなおめえ自分じぶんでもつたらよかねえけ、いくつでもつてけな」勘次かんじしほだらけにしためてとほくから呶鳴どなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もうわたしところだつたの。またわらふでせうけれども、七日なぬかばかりなんにもしほのものはいたゞかないんですもの、うやつておかゝりたいとおもつて、煙草たばこつてたんですよ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つまらねえことを父爺ちやんいふもんぢやあねえ、やまなか爺婆ぢゞばゞでもしほしたのをべるツてよ。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おなとし十一月じふいちぐわつのはじめ、鹽原しほばらつて、畑下戸はたおり溪流瀧けいりうたきしたふちかけて、ながれひろ溪河たにがはを、るがごとくがごとく、もみぢの、きず、えず、ながるゝのをときと、——しほ
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まくしほつたのに、……あゝ、ながわづらひゆゑみせさびれた、……小兒こどもときからわたし贔屓ひいき、あちらでも御贔屓ごひいき御神輿おみこし見棄みすててくか、とかたおとして、ほろりとしつゝ見送みおくると
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)