“首途:かどで” の例文
“首途:かどで”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花5
吉川英治5
押川春浪3
清水紫琴3
牧野信一3
“首途:かどで”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 日本文学0.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
初めての教員、初めての世間への首途かどで、それがこうした冷淡れいたんな幕で開かれようとはかれは思いもかけなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
首途かどでに、くそ忌々いまいましい事があるんだ。どうだかなあ。さらけめて、一番新地で飲んだろうかと思うんだ。」
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これらはその日記の中に見える首途かどでの吟で、人をいたはり、又みづからをいたはる病後の思ひがにじむばかりに出てゐる。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
冥途めいど首途かどでを導くようじゃありませんか、五月闇さつきやみに、その白提灯を、ぼっと松林の中に、という。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ああ母の国を離れたこの南海の孤島で、わが少年と少女は、戦の首途かどでを前にして、今夜どんな夢を見ることだろうか。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
結果は夫や兄弟あるいは愛児の首途かどでを激励するために、一同うちそろって付近の山林で縊死いしすることになった。
霧の蕃社 (新字新仮名) / 中村地平(著)
攘夷の首途かどでとして男山八幡おとこやまはちまんの神前で将軍に節刀を賜わるであろうとのおうわさも報じてある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
月の夜路よみち深山路みやまじかけて、知らない他国に徜徉さまようことはまた、来る年の首途かどでにしよう。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時こそは下宿や渡世もやめさせまして、かつては母子の首途かどでを笑ひてし故郷人に、方様のお名を誇らばやなど、心構へし折も折。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
——柴田が仙台を立ちましたのが二十五日、それと同時に涌谷どのも、その在所において首途かどでの祝宴を催しました。
「それは、ご苦労様でしたね。旅の首途かどでから機嫌わるくすると、しまいまで不機嫌がつづくというから、仲をよくして出かけましょう」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江崎満吉というのは、派手な奴でなあ、自分も大酒飲みじゃが、喧嘩の首途かどでにゃ、どんな小人数のときでも、新しい四斗樽を買いこんで
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
五年ぜん、六月六日のであった。明直にいえば、それが、うぐい亭のお藻代が、白い手の幻影まぼろしになる首途かどでであった。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紅海こうかい印度洋等インドやうとう難所なんしよすゝらんとするその首途かどで
百難を排し千艱を衝いても、やがては天下に濶歩すべき、この大健児の、首途かどでを見よやといはぬばかり。
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
われ浮世の旅の首途かどでしてよりここに二十五年、南海の故郷をさまよい出でしよりここに十年、東都の仮住居かりずまいを見すてしよりここに十日
旅の旅の旅 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
恐らくは、弟も、この腑甲斐のない兄の再度の首途かどでに、何を云つていゝか解らなかつたのであらう。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
彼女はいよいよ出発するに当って首途かどでを祝うために祝盃をあげようではないかと言い出し、自ら立って戸棚から一個の盃と白葡萄酒の瓶を持って来た。
変な恋 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
これが鎭守府ちんじゆふ病院びやうゐんに、をつと見舞みま首途かどでであつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いつ成るとも判らぬこのやくざな仕事の首途かどでを祝い、君とふたりでつつましく乾杯しよう。
玩具 (新字新仮名) / 太宰治(著)
芳一には出世の首途かどでの際、はなはだ貧しかったが、しかし助けてくれる深切な友があった。
耳無芳一の話 (新字新仮名) / 小泉八雲(著)
言いながら屍骸の真下にある宇治の茶箱を顎で指した。恐らくこれを台にして死の首途かどでへ上ったらしいその空箱が、この場合そのまますぐ役に立つのであった。
直義はあきれて口がきけなかった。首途かどでいらい、兄は、この自分を変ってきたといっていたが、兄のほうこそ、どうかしている。いまのは正気の言であろうか。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
數町すうちやうあひだ吾等われら首途かどで見送みおくつてれたが、つひに、ある丘陵をかふもとわかれ
人生の首途かどで。けさは、本当にそんな気がした。途中、電車の中で、なんども涙ぐんだ。そうして昼ごろ、ぼんやり家へ帰って来た。なんだか、へとへとに疲れた。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
友人ともだち一人ないを自慢の気質には、私が身の落着きを、安心の首途かどでにして。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
私はやうやく窓から首を引込めた。そして何となく首途かどでらしい感慨に打たれて、危ふく熱くなりかゝつた瞼を抑へながら、かうなる迄の自分の位置を默想し始めた。——
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
アツボットいわく、マセドニア人、首途かどでに蛇を見れば不吉として引き還すと。
房々と白い花房を垂れ、日向でほのかに匂う三月の白藤の花の姿は、その後間もなく時代的な波瀾の裡におかれた私たち夫婦の生活の首途かどでに、今も清々として薫っている。
白藤 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
所詮しょせん、水戸家もいつまで幕府のきげんを取ってはいられまい」との意志の下に、潔く首途かどでに上ったという彼ら水戸浪士は、もはや幕府に用のない人たちだった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
人々は首途かどでに先だちて、大いなる舞踏會を催し、我をも招き給ひぬ。
昼間から、準備をして、首途かどでに鏡を抜く四斗樽まで買いこんだ。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
わたしの想像によると、蝉丸は中世風な苦行者の首途かどでに置かれた王子であつて、父なる帝はその子に解脱への道を教へたものであらうと考へるが、これはわたしの想像であるに過ぎない。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「先生。——晴れの首途かどでに、何をそんなに泣くのでござるか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄奘法師げんじょうほうしは、その十七年の長い旅の首途かどでにおいて既に、この北の沙漠に路を失い水にかつえ、命からがら哈密ハミのオアシスに辿たどり着いたのだそうである。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
四幕目にキニゼイと云ふ妙な名の若侍が彌五郎の娘である許嫁いひなづけの愛情にほだされて、今宵こよひに迫る仇打かたきうち首途かどでに随分思ひ切つて非武人的に未練な所を見せる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
泣かずに、僕の首途かどでを笑って祝福しておくれ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
二葉亭は運悪く最初の首途かどで失敗やりそこなってしまったが、首尾よく合格して軍人となっても狷介けんかい不覊ふきの性質がわずらいをなして到底長く軍閥に寄食していられなかったろう。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
(第一日)快晴——私は八時に起床して、いでたちをとゝのへ、首途かどでの乾杯を挙げ、靴を光らせ、そして妻の腕を執り、口笛の、お江戸日本橋——の吹奏に歩調を合せながら、この武者修業のテープを切つた。
日本橋 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
伯父にとつては恐らく最後の新しい首途かどでの前に、斯うした不幸が突然起つて、その幸先さいさきくじかれたので、何か不吉な前兆ででもあるかの如く、彼をしてこの新事業の前途を危ぶみ怖れしめた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「なに、坊や、うん、俺も昔は恩愛の絆に縛られて、女々しい気にもなった。もう今の支倉にはそんなものは用はない。そうだ、今日生きながら悪魔になろうと誓った首途かどでの犠牲に、そいつを踏み潰してやろう」
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
——ウルリーケが首途かどでの贈り物に、「ニーベルンゲン譚詩リード」をもってした真意は、判然としないが、彼女はそのうちの一節に紫鉛筆で印しをつけ、かたわらの艇員の眼を怖れるようにしてに示した。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
阿園も今は涙をき、足袋たび行縢を取り出し、洗濯衣、古肌着など取り出でて、ほころびを縫い破れをつづり、かいがいしく立ち働く、その間に村人は二人の首途かどでを送らんと、濁酒鶏肉の用意に急ぎぬ
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
「今年正月、幕府に召された柴田外記から、涌谷の安芸さまに対して、出府すべしという内命が伝えられた。安芸さまは在所で首途かどでの酒宴を催し、なお菩提所の円同寺に石水和尚を訪ね、法名を乞うたということである」
夏山に足駄を拝む首途かどでかな
続芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そして、応接の乙女達は、手に手に携へて来た橄欖の枝をこの噴泉の水に濡らして、想ひを寄せる勇士の頭上にふりかけながら彼等のいさほしを乞ひ希ふ「首途かどでの泉」として、また、凱歌を挙げて引きあげて来た戦士が
山彦の街 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
思案外史の巻頭の辞を首途かどでの祝言として鹿島立かしまだちした『我楽多文庫』は四六倍判十六頁の表紙なしの畳放たたみぱなしで、今はすたれてるがその頃流行はやった清朝せいちょう活字の四号刷であった。
朝敵追討大将軍の首途かどで
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
イヤそんな事もあるまいが、横断旅行の首途かどでにこの理由わけの分らぬ血汐は不吉千万、軍陣の血祭という事はあるが、これは余り有難くない、それにこの大風たいふう! この大雨たいう! 万一の事があってはならぬから
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
謙三郎は琵琶に命じて、お通の名をば呼ばしめしが、きたるべき人のあらざるに、いつもの事とはいいながら、あすは戦地に赴く身の、再び見、再び聞き得べき声にあらねば、意を決したる首途かどでにも、渠はそぞろに涙ぐみぬ。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「この首途かどでに」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、このような小説的の記事を読んで、満都の人々は非常な好奇心と同情を持って、今日の二勇士の首途かどでを見んと、四方から雪崩なだれのごとく押しよせて、すでにその日の九時頃には、さしもに広き公園も、これらの人々を持って埋まってしまった。
月世界競争探検 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
横死した父のうらみを晴らし、一度取潰された井上家を起して、立身の階段かけはしに足を踏み掛けようという、孝道第一の首途かどでに、企みに企まれた罠にちて「秘巻」を敵の手に奪い取られたことは、井上半十郎泣いても泣き切れないほどの心持だったでしょう。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
武一の云ふところに依ると、竹下も村井も、そして自分も、あまりに豊かな理想にもえて出かけて来たのだから口では説明しきれない、だが、恰も今宵は、武者修業の首途かどでにのぼつたジーグフリードが、先づ森の鍛冶屋を訪れて、剣を打ちはぢめた意気である——といふのであつた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
こういう所作を首途かどでにしてわたくしは池上の寮へ移りますと、池上は大悦びで寮の家の自分がしょっちゅういる客座敷をわたくしに明渡すと言いますのを、流石に女のわたくしは遠慮しますと、縁側が(ママ)の手に曲っている小さい茶室造りの方へわたくしをあてがいました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その十畳には死人の首途かどでが早や万端調ととのって、三吉が御用の声もろとも襖を蹴倒した時には、線香の煙りが縷々るるとして流れるなかに、女房一人が身も世もなく涙にむせんでいるばかり、肝心の富五郎は氷のように冷く石のように固くなって、北を枕に息を引き取った後だった。
「ヒエロニモよ。お前は大坂や京や江戸の町へ、商ひのために首途かどでにつく。だが、ヒエロニモよ。よく考へてみるがよい。お前はなぜ商ひにでかけるのか。そのわけが分つてゐるかね。お前はお金をもうけるためか。さうして、そのお金で何をするつもりだらうか。さア、わたしに考へを語つてきかせてごらん」
わが血を追ふ人々 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)