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食物
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たべもの
ふりがな文庫
“
食物
(
たべもの
)” の例文
猩々はまた黙つて小娘のお
喋舌
(
しやべり
)
に耳を傾けてゐたが、暫くすると、娘をいたはるやうに手に持つた
食物
(
たべもの
)
の
破片
(
かけら
)
をそつと呉れてやつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
食物
(
たべもの
)
に
好
(
す
)
ききらいをいう、というよりは、あれもいや、これもいや、のべつに「いや、いや」とばかり、一雄はいいつづけていました。
祖母
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
春雨あがりの朝などに、軒づたいに土壁を
匍
(
は
)
う青い煙を眺めると、好い陽気に成って来たとは思うが、
食物
(
たべもの
)
の乏しいには閉口する。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人仕事
(
ひとしごと
)
に
忙
(
いそがわ
)
しい家の、晩飯の支度は遅く、
丁
(
ちょう
)
ど
御膳
(
ごぜん
)
。
取附
(
とっつき
)
の障子を
開
(
あ
)
けると、
洋燈
(
ランプ
)
の
灯
(
あかし
)
も
朦朧
(
もうろう
)
とするばかり、
食物
(
たべもの
)
の湯気が立つ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あれじゃとてもやりきれない。退屈で、おまけにからだがぶくぶくに
肥
(
ふと
)
って来るし、
食物
(
たべもの
)
はまずく、寝りゃからだがいたい。」
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
▼ もっと見る
どうしてどうして、難癖をつけるどころではありませんよ。これは正教徒の
食物
(
たべもの
)
です! 聖者や使徒たちも、みんな
煮団子
(
ガルーシュキ
)
を食つたのです。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
... 奥の方に坐っていなければ
食物
(
たべもの
)
を
噛
(
か
)
む事が出来なかろうにねー」腸蔵「それがまったく
外見
(
みえ
)
だからだよ。外見にお金さんを前の方へ置くのだ。 ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「おれあ祝福してもらって
家
(
うち
)
から追ん出されたかねえんだよ。おれあ祝福で自分の
食物
(
たべもの
)
を食卓からふんだくられるなあ厭だ。じっとしてろ!」
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
もう村の子供達も犬にあきて、
食物
(
たべもの
)
を持つて来てくれる者がありませんでした。犬の八公は一人で、何十匹もの犬を養はなければなりませんでした。
犬の八公
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
仲間
(
なかま
)
の
家鴨
(
あひる
)
からは
突
(
つ
)
かれ、
鶏
(
ひよ
)
っ
子
(
こ
)
からは
羽
(
はね
)
でぶたれ、
裏庭
(
うらにわ
)
の
鳥達
(
とりたち
)
に
食物
(
たべもの
)
を
持
(
も
)
って
来
(
く
)
る
娘
(
むすめ
)
からは
足
(
あし
)
で
蹴
(
け
)
られるのです。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
家におって、薬や
食物
(
たべもの
)
の世話をしたり、汚れものを洗濯したりするよりも、市中や田舎の方の仕切先を廻って、うかうか時間を消すことが、多かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お
客
(
きゃく
)
さまが
見
(
み
)
えた
時
(
とき
)
に、こちらの
世界
(
せかい
)
で
何
(
なに
)
が一ばん
物足
(
ものた
)
りないかといえば、それは
食物
(
たべもの
)
のないことでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「さう、ぢあ、皆さまがお部屋にゐらつしやる間に、私、
階下
(
した
)
へ行つて何か
食物
(
たべもの
)
を持つて來てあげませうね。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「それはさうと薬にしろ
食物
(
たべもの
)
にしろ、君はどうして有り付く事が出来るね。けふなんぞも
午食
(
ひるしよく
)
はしたかね。」
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
しかもこの七日程、
食物
(
たべもの
)
らしい物は何も入っていない胃袋は、格太郎の指にくッ付いている飯粒を見ると、それを、奪っても食いたいような苦悶を起している。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
水脈
(
みを
)
坊水脈坊。お客様がゐていやかも知れんがおさへて呉れなくちや』と云つた。それから、『
飲物
(
のみもの
)
も
食物
(
たべもの
)
も皆さげてくれ。目のまへにあると
溜
(
た
)
まらんから』
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
けれども決してそうでない! 先日病院の石垣の下で
遇
(
あ
)
ったことや家に道具一つないことや、いつもこうやって坐っていて、
食物
(
たべもの
)
を食った様子も見ないことや
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
このクリスマスのかざりをした明るいたのしい、そして
食物
(
たべもの
)
のたくさんある部屋で、パトラッシュを一番のお客さんにしようと、アロアは一生けんめいでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
肩に振り分けにして掛けているのは麓の城下から持って来るところの色々の珍らしい
器具
(
うつわ
)
や
食物
(
たべもの
)
で、つまり彼は山と城下とを往来している行商人なのであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
人殺し! 畜生! 弱い女を打つ奴があるものか!
食物
(
たべもの
)
の中へ猫イラズを仕込んでやるから覚えてろ!
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
馬「だが、旦那坊主も付いていたが経も上げず、ひどい貧乏な
葬式
(
とむらい
)
で、
何
(
ど
)
んな
裏店
(
うらだな
)
でも小さい袋に煎餅ぐらいはあるに、何か
食物
(
たべもの
)
があろうと思ったにひどい事で」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
食物
(
たべもの
)
でないものをたべたのですが、これが腹に入ったら、不思議に、がつがつした心持はやみました。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ええ、あの
小供
(
こども
)
が
食物
(
たべもの
)
の事をうまうまと云いましょう。あれの来歴ですね。その人の説によると小供が舌が回り出してから一番早く出る発音がうまうまだそうです。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
食物
(
たべもの
)
を
買
(
もと
)
めて
些
(
ち
)
と
肉
(
にく
)
を
附
(
つ
)
けたがよい。……(行きかけて藥瓶を見て)
毒
(
どく
)
ではない
興奮劑
(
きつけぐすり
)
よ、さア一しょに、ヂュリエットの
墓
(
はか
)
へ
來
(
こ
)
い、あそこで
汝
(
そち
)
を
使
(
つか
)
はにゃならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
でも、大人でも、よっぽど待どおしいと見えて十字は実に早くやる、お茶碗もすぐ口にもってゆく。
食物
(
たべもの
)
は家のよりまずいが牛乳の
缶
(
かん
)
は毎朝台所にぶらさがっている。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「人が觸つたり、間違つて
食物
(
たべもの
)
に入つたりしては惡いと思つて、お勝手の戸棚の上へ置きましたが」
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
セエラは
食物
(
たべもの
)
の話を聞くと、思わずくらくらしました。彼女はアアミンガアドの腕にしがみついて
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
廓
(
ちょう
)
にいて
贅沢
(
ぜいたく
)
をした
御前方
(
おまえがた
)
には珍しくもあるまいが、この頃は諸事御倹約の世の中、衣類から
食物
(
たべもの
)
まで無益な手数をかけたものは
一切
(
いっさい
)
御禁止というきびしいお
触
(
ふれ
)
だから
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
かたちははなはだハッキリしないが、永く物に餓えた人が
食物
(
たべもの
)
を見つけたように、
攫
(
つか
)
み掛って来そうな光がその人の眼から出た。老栓は提灯を覗いて見るともう火が消えていた。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「そうするとどうして生きているのだろう。
食物
(
たべもの
)
や飲物も入るだろうに。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
少し舌が長
過
(
すぎ
)
るのか、醉つて居る爲めにもつれるのか、ぢいさんのいふ事は聞取りにくかつたが、
要之
(
えうするに
)
その醉月といふ宿屋は、きれいで靜で安くて、
食物
(
たべもの
)
は上等で、おかみさんも女中も親切で
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「いや、
食物
(
たべもの
)
は持っておる、どうか一と休みさしてもらいたい」
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
野道に、
食物
(
たべもの
)
、ありはしない。
別離
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「
食物
(
たべもの
)
です」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「お腹が弱くて、こんなに
嘔吐
(
は
)
かれるもんぢやない。御覧なさい、あんな遠くまで
食物
(
たべもの
)
を吐き飛ばしてるぢやありませんか。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
... 私も
和郎
(
おまえ
)
さんも
二十日
(
はつか
)
ばかり泣き通したっけ」胃吉「あの時の事はまだ忘れない。モーモーこんな商売は
廃
(
や
)
めようと思った。虫のいる
食物
(
たべもの
)
は私も手を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
新屋の
姉
(
あね
)
えに、
藪
(
やぶ
)
の前で、
牡丹餅
(
ぼたもち
)
半分分けてもろうた
了簡
(
りょうけん
)
じゃで、のう、
食物
(
たべもの
)
も下されば、お
情
(
なさけ
)
も下さりょうぐらいに思うて、こびりついたでござります。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしあまり長くそこに立っていたためにすっかりお腹を
空
(
すか
)
してしまいました。しかし、たれもが塔の上へ
食物
(
たべもの
)
を持って行くことなど考えもしませんでした。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
老婆
一人
(
ひとり
)
と
小婢
(
こおんな
)
と同宿人一人との気兼ねなさと、室が
日光
(
ひあた
)
りがよくて気に入ったのと、
食物
(
たべもの
)
のまずい代りに比較的安価なのと、引越の面倒くさいこととのために
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
三つも入れて板子の下へ隠して
行
(
い
)
けば
宜
(
い
)
い、
食物
(
たべもの
)
は何も入らん、
彼方
(
あっち
)
へ行って食うから、早くしろ
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
部屋にはもう電燈がついて、その晩の
食物
(
たべもの
)
を
拵
(
こしら
)
えるために、お島は狭い台所にがしゃがしゃ働いていた。印判屋の婆さんとも、
狎々
(
なれなれ
)
しい口を利くような
間
(
なか
)
になっていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
留守に女房が、教会堂の留守を
兼
(
か
)
ね、翁の世話をしている。とはいえ決して翁はこの女房の世話にならなかった。
食物
(
たべもの
)
から、衣服の事すべて自分のことだけは自分でした。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こんな処へ来ても、人ぎらいをしない祖母は、てんやから
食物
(
たべもの
)
をとって、みんなで会食した。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして、おなじ
味
(
あじ
)
の
食物
(
たべもの
)
が、毎朝、
一片
(
ひときれ
)
ずつ木の上へはこばれてゆくこともかわらなかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして親切な言葉などもかけて、そうして谷の向こうに見える、
燈火
(
ともしび
)
のついている館こそ、自分達の住居であって、そこへさえ行ったら乳こそはないが、嬰児のたべられる
食物
(
たべもの
)
も
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その主人と言うのは、飲んだくれの情知らずで、
食物
(
たべもの
)
などろくろく与えず、山のような荷をひかせ、絶え間なく鞭をふり下すのでした。幸か不幸か、パトラッシュには力がうんとありました。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
食物
(
たべもの
)
は
枕元
(
まくらもと
)
へ運んでやるから、もっと寝ていたらよかろうと忠告してもくれました。
身体
(
からだ
)
に異状のない私は、とても寝る気にはなれません。顔を洗っていつもの通り茶の間で
飯
(
めし
)
を食いました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吹かけられたり、
食物
(
たべもの
)
へ
石見銀山
(
いはみぎんざん
)
が入つてゐたり、——
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それでは休ましてもらいたい、
食物
(
たべもの
)
は持参しておる」
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「日本の珍味です。東洋では主に
僧侶
(
ばう
)
さんの
食物
(
たべもの
)
で、
僧侶
(
ばう
)
さんが賢くて、おまけに長命なのは、みんなこの
食物
(
たべもの
)
の
故
(
せゐ
)
だといはれてゐます。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“食物”の意味
《名詞》
食 物(しょくもつ / じきもつ / くいもの)
食べる物。食べ物。
(出典:Wiktionary)
“食物(
食品
)”の解説
食品(しょくひん)またはフード(en: food)とは、人が食べるために直接使用できる、食用可能な状態のもの。人間が日常的に食物として摂取するものの総称である。食物(しょくもつ)、食料品(しょくりょうひん)とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
食
常用漢字
小2
部首:⾷
9画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“食物”で始まる語句
食物屋
食物売
食物本草
食物丈
食物店
食物通
食物彙纂
食物調理
食物原料調査