金魚きんぎよ)” の例文
ばちやんとねて、足袋たびはびつしより、わアと椅子いすかたむけて飛上とびあがると、真赤まつかになつて金魚きんぎよわらつた。あはは、あはは。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雪に埋りたる泉水せんすゐほりいだせば、去年初雪より以来このかた二百日あまり黒闇まつくらの水のなかにありし金魚きんぎよ緋鯉ひこひなんどうれしげに浮泳うかみおよぐものいはゞやれ/\うれしやといふべし。
其中そのうち綺麗きれい支那製しなせい花籃はなかごのなかへ炭團たどん一杯いつぱいつてとこかざつたと滑稽こつけいと、主人しゆじん編上あみあげくつのなかへみづんで、金魚きんぎよはなしたと惡戲いたずらが、宗助そうすけには大變たいへんみゝあたらしかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
えず金魚きんぎよことばかりかんがへてゐたので、たゞちに彼等かれらあつめ、各々おの/\そのせきかへしてやらなければならない、さもなければみんんでしまうだらう、とあいちやんはたゞ懵然ぼんやりさうおもつてたものですから。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ピカピカ、金魚きんぎよひかる。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
金魚きんぎよの影もそこにひらめきつ。
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
……馴染なじみなるすゞめばかりでけた。金魚きんぎよつた小兒こどものやうに、しかゝつて、しやがんでると、げたぞ! 畜生ちくしやうたゞ一匹いつぴきも、かげかたちもなかつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雪に埋りたる泉水せんすゐほりいだせば、去年初雪より以来このかた二百日あまり黒闇まつくらの水のなかにありし金魚きんぎよ緋鯉ひこひなんどうれしげに浮泳うかみおよぐものいはゞやれ/\うれしやといふべし。
下女げぢよひらたいおほきな菓子皿くわしざらめう菓子くわしつてた。一丁いつちやう豆腐とうふぐらゐおほきさの金玉糖きんぎよくたうなかに、金魚きんぎよが二ひきいてえるのを、其儘そのまゝ庖丁はうちやうれて、もとかたちくづさずに、さらうつしたものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あアか金魚きんぎよあそびませう。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一方いつぱう明窓あかりまど障子しやうじがはまつて、其外そのそとたゝみ二疊にでふばかりの、しツくひだたきいけで、金魚きんぎよ緋鯉ひごひるのではない。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あアか金魚きんぎよしイぬ、ぬ。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鉢肴はちざかなまたあらひとなへ、縁日えんにち金魚きんぎよどんぶりかせて——(こほりへてもいゝ)——のちにひきものにたせてかへす、ほとん籠城ろうじやううまあら傳説でんせつごとき、すご寸法すんぱふがあると仄聞そくぶんした。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのあし恰好かくかうわるさといつたらない。うつくしい、金魚きんぎよおよいでる尾鰭をひれ姿すがたや、ぴら/\と水銀色すゐぎんいろかゞやかしてねてあがるあゆなんぞの立派りつぱさには全然まるでくらべものになるのぢやあない。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふと足元あしもとると、真下ました土間どま金魚きんぎよがひらひらとれておよぐ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)