造作ざうさ)” の例文
(あたゝかなるやうに土中にうづめ又はわらにつゝみ桶に入れてこほらざらしむ)其外雪の用意ようい種々しゆ/″\造作ざうさをなす事ふでつくしがたし。
ちたひくたけ垣根かきねつよ筋力きんりよくもつ破壤はくわいするになん造作ざうさもないはずであるが、先端せんたんれしめることさへ出來できないでるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
母から出してもらつた資本や、仲間の援護で始めた木山のさゝやかな店がぴしやんこになるのに造作ざうさはなかつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
二七七 總て造作ざうさせられたる物は無常なり、と、慧にて知るときは是に由つて苦を厭ふ、是れ淨に到る道なり。
法句経 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とうさんはまだ幼少ちひさかつたものですから、おうちぢいやに手傳てつだつてもらひまして、造作ざうさなく出來できたこつくりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見ればさいはひ、芦の中からなかば沼へさし出てゐる、年経としへた柳が一株ある。あすこから沼へ飛びこみさへすれば、造作ざうさなく水の底にある世界へかれるのに違ひない。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
こはれたすゞりのはしをのこぎりつきつて、それを小さな小判形(印章屋では二分小判と称する)に石ですりまろめて、恰好かつかうをとゝのへたが、刻るのは造作ざうさなかつた。
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
何方どつちつても造作ざうさりません、きですよ。岩「それでも極楽ごくらくは十まん億土おくどだとふぢやアないか。重「其処そこ停車場ステンシヨンりますから、汽車きしやに乗れば、すうツときにかれますよ。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
小僧こぞうさんたちもののほころびでもれたならわたしうちつておいで、おうち御多人數ごたにんず内儀かみさんのはりつていらつしやるひまはあるまじ、わたし常住じやうじゆう仕事しごと疊紙たゝうくびぴきなればほんの一針ひとはり造作ざうさ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こゑけて、たゝいて、けておくれとへば、なん造作ざうさはないのだけれども、せ、とめるのをかないで、墓原はかはら夜中よなか徘徊はいくわいするのは好心持いゝこゝろもちのものだと、ふた言爭いひあらそつてた、いまのさき
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其所へ投出し置増々ます/\ゑひに乘ずる體なれば彼町人の曲者くせもの假令たとへ武者修行むしやしゆぎやうにもせよはづさず充分に酒を強付しひつけ醉潰ゑひつぶれたる時にうばはゞ造作ざうさもなしと心にたくみ頻りに後藤の機嫌きげんを取強付々々しひつけ/\酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
梅廼屋うめのやに聞くのは造作ざうさもない事だ。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これも造作ざうさはありません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まだそれほどふかくもなしおむかひもいままゐらんゆるりなされと好遇もてなさるゝほど猶更なほさらどくがたくなりて何時いつまでちてもえませねばはゞかりながらくるまひとねがひたしと婢女はしため周旋しうせんのほどたのればそれはなん造作ざうさもなきことなれどつひちがひにおむかひのまゐるまじともまをされず今少いますこしおまちなされてはと澁々しぶ/\にいふは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)