ちゅう)” の例文
のみならず、式家の長子広嗣はその妻を元昉に犯され、激怒のあまり反乱を起してちゅうせられ、その一族に朝敵の汚名すらもこうむっていた。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
厳島いつくしま合戦は、毛利元就が主君の為めに、陶晴賢をちゅうした事になっているが、秀吉の山崎合戦のように大義名分的なものではないのである。
厳島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
太子は従者に運ばせた牡豚を殺して父にちかわしめ、太子としての己の位置を保証させ、さて渾良夫の如き奸臣はたちどころにちゅうすべしと迫る。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
この年万治三年に入っては、さらに細川越中守、稲葉能登守のとのかみ、中川佐渡守さどのかみの領地で、天主教徒を捕えてちゅうしております。
それ我に悪因を結べば善果来たり、我に善因を結べば悪果来たる。こうぬすむ者はちゅう、国を窃む者は侯、侯の門仁義存す。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
(父子、世嗣よつぎの問題にまで、才気をさし挟むはいかに才ありとも、奸佞かんねいの臣たるをまぬかれぬ。いつかは、ちゅうすべきぞ)
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小西行長が肥後半国を治めていたとき、天草、志岐は罪を犯してちゅうせられ、柄本だけが残っていて、細川家に仕えた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
されば事に任ずる者、口にくことを得て、殿下文臣をちゅうすることを仮りて実は漢の王の七国にとなえて晁錯ちょうさくを誅せんとしゝにならわんと欲したもうと申す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
戦国の世によくある慣いで父将軍はちょっとした落度をたてに政敵から讒言ざんげんを構えられ秦王のちゅうを受けた。母と残された麗姫はこのときまだこどもであった。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その父を尋ぬればさんぬる平治の乱にちゅうせられし悪右衛門督信頼卿の舎兄民部少輔みんぶのしょう基成とて奥州平泉へ流され給ふ人の乳母子めのとご宮内判官くないほうがん家長いえながといひし人の娘なり
殊に軍憲から発表された大杉外二名の一人がマダ可憐かれんな小児であると思うと、三族をちゅうする時代の軍記物語か小説かでなければ見られない余りの残虐に胸が潰れた。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そこに籠って諸人を苦しめ悪行を尽くしておりましたところご老師のためにちゅうせられましたれば人界の運は尽きたれど魂は虚空を伝わって白山山中へ帰りました筈。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かん高祖こうそ丁公ていこうりくし、しん康煕こうき帝がみん末の遺臣いしん擯斥ひんせきし、日本にては織田信長おだのぶなが武田勝頼たけだかつより奸臣かんしん、すなわちその主人を織田に売らんとしたる小山田義国おやまだよしくにはいちゅう
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
また曰く、「およそ不辜ふこを殺す者は、その不祥を得、鬼神のちゅうせんこと、かくのごとく憯遬しんそくなり、と。この書の説をもってこれをみれば、すなわち鬼神のあること、あに疑うべけんや」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
薩長の真意が慶喜をちゅうし、同時に会津の松平容保かたもりと桑名の松平定敬さだのりとを誅戮ちゅうりくするにあることが早く名古屋城に知れ、尾州の御隠居はこの形勢を案じて会桑かいそう二藩の引退を勧告するために
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
このたびの刃傷の始中終しちゅうじゅうを事こまかに書きしたため、殿の御許しも無く百右衛門をちゅうした大罪をび、この責すべてわれに在りと書き結び、あしたすぐ殿へこの書状を差上げよと家来に言いつけ
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「四十万石を差しあげても、極悪の不臣堀主水の一類をちゅうさねばならぬ」
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
将軍は景帝を立てたのであるが、その景帝のためにたちまちちゅうせられた。
ゆえに令すれば行われ、禁ずればむ。もし天下の人おのおのその心をもって心とせば、日に百刑を施すといえども行われず。かつ天下の人、あによくこぞりちゅうすべけんや。いわんや政府もまた人なり。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
楊国忠ようこくちゅう楊貴妃ようきひちゅうに伏す……と年代記に在る
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「皆死んだよ。城中の男女数百人をやぐらに置いて自ら火をかけ、党類三十余人はちゅうせられて首を京師けいしに送った——とある」
而していよいよこれを聴かざるときにおいては、「退かざればこれをとりこにし、これをちゅうし、而してこれと戦うのみ」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
政宗の毒味番が毒にあたって苦悶くもん即死したから事あらわれて、政宗は無事であったが、其為に政宗は手ずから小次郎季氏をり、小次郎のもり小原縫殿助おばらぬいのすけちゅう
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すでに、三老臣をちゅうして、信雄の胸にも、やや悔いのあったところである。それとまた、三郎兵衛には園城寺でも、秀吉に組せず、真を自分に告げた功もある。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが昌幸に邪魔された秀忠の怒りは、容易にけなかったが、信幸父をちゅうせらるる前に、かく申す伊豆守に切腹仰せつけられ候えと頑張りて、遂に父弟の命を救った。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ちゅうされてない今は御獄冠者の居間として、華美はなやかであった装飾など総て一切取り去られ、いかにも武将の住居すまい場所らしく、弓矢鉄砲刀鎗によって、さもいかめしく装われている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『書紀』に小碓命おうすのみこと少女の装いで川上梟師たけるちゅうしたと出で、婦女男装して復仇したり、役者が女装して密通したりなど往々聞くが(『拾遺御伽婢子おとぎぼうこ』三の三、『甲子夜話』続二一)
御主君は、今度は逆臣をちゅうし、大儀をただすのを名として陳に兵を進めた筈です。それが、もし夏姫を納られることになれば、淫を貪らんがために、兵を起したといわれても仕方の無いことになります。
妖氛録 (新字新仮名) / 中島敦(著)
第三にかれをちゅうせらるる事は下策也(此事易くして易かるべし)
地球図 (新字新仮名) / 太宰治(著)
また、そのちゅうし方も、べつな「総見記」の記載を見ても、実に、思いきって惨烈なものだったらしい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三司郡県将校さんしぐんけんしょうこう、皆あだを失うを以てちゅうせられぬ。賽児は如何いかがしけん其後踪跡そうせきようとして知るべからず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それからちゅうものは、少しくしゃくさわる者あればすなわち指さして殺すので、天帝すこぶる逆鱗あり、ヴィシュニュの前身フラ・ナライ(那羅延)に勅して彼をちゅうせしむと来た。
きたる七日正午、首を洗って道灌山どうかんやまにきたりわれらのちゅうりくをまつべし。もしおくれてきたらざるにおいては、大腰ぬけのウジ虫太郎と改名、江戸三千里の外に退散すべきものなり。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
故に大君にそむくものあれば、親兄弟たりといえども、すなわちこれをちゅうして君に帰すること、我国の大義なり。いわんや官禄いただく人々は世にいう三代相伝の主人などという類にあらず。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一、越前の橋本左内二十六歳にしてちゅうせらる、実に十月七日なり。左内東奥に坐する五、六日のみ。勝保同居せり。後勝保西奥に来り、余と同居す。余勝保の談を聞いて、益々左内と半面なきを嘆ず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「養生をなされ。長生きをして、わしが畢生ひっせいの剣を持って、武蔵にちゅうを加える日を見るように」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けだし元帝兵を挙げて賊をちゅうけいに入らんことを図る。時に河東かとう王誉おうよ、帝に従わず、かえって帝の子ほうを殺す。帝鮑泉ほうせんりて之を討たしめ、又おう僧弁そうべんをして代って将たらしむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
羅摩すなわち猴軍を先に立て、熊軍をこれに次がせて、新たに成った地峡を通り、楞伽城を攻め、勝敗多回なりしもついに敵を破って鬼王をちゅうし、私陀を取り戻し、故郷へ帰った。
ちゅうせられたマドリド司僧には男女二人の遺児わすれがたみがあるとのこと、今頃は既によい年頃、恐らく二人とも木曽のお館を父の仇敵かたきと思い詰めて、付け狙いおるも計れず、いやいや人てに聞くところでは
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彭義がちゅうされたことによって、遠隔の地にある孟達も、さてはと、身に危急を感じだした。彼にはもともと、離反の心があったものとみえ、その部下、申耽しんたんと申儀の兄弟は
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関羽は、于禁うきんを生捕り、龐徳ほうとくちゅうし、魏の急援七軍の大半以上を、ことごとく魚鼈ぎょべつの餌として、勢い八荒に震い、彼の名は、泣く子も黙るということわざのとおり天下にひびいた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もし、この度のご命令もまた失敗するようでありましたならば、その時になってやむを得ぬことでございます。二つの罪によって、彼をちゅうすればよろしいでございましょう」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むしろ今、ちゅうを加えて、禍いの根を断ったほうがよろしいかと存じたのでありますが、わが君がそれほどまで、ご不愍ふびんをおかけ遊ばすものを、孔明とて、如何とも致し方はありません
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大奸をちゅうして、万歳の声は、禁門の内から長安の市街にまで溢れ伝わったが、なお
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ご辺は、平治のころにも、すでにちゅうせられる所であったのを、小松内府こまつないふが、身に代えて、その首をつないでやったのではないか。さるを、その恩を忘れて、当家を傾けんとは、憎い為打しうち
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「不肖徐盛にその大任を仰せつけ給わるならば、一死かならず、魏の大軍を粉砕してお目にかけます。もし成らざるときは、九族をちゅうして、罪をただし給うとも、決してお恨みとは存じませぬ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
叔父御の振舞ふるまいは、別所一族の名に、可惜あたら、一点の泥をなすったもの、もし天がこれを見れば天もちゅうし、地これを知れば地もいかろう。おことらが手にかけたとはいえ、それは予に代ってなしたものだ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義龍の子、龍興たつおきに至っては、その暗愚を、信長は僥倖ぎょうこうとはしているが、問題にはしていない。それを討つにはまた、自分にはしゅうとにあたる道三山城守をしいしたる逆子をちゅうす——という人道の旗がある。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張温をちゅうしたのは、ゆえなきことではない。彼は、予に叛いて、南陽の袁術と、ひそかに通謀したからだ。天罰といおうか、袁術の使いが密書を持って、過って呂布の家へそれを届けてきたのじゃ。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今にして、鬼賊をちゅうせずんば、天下知るべきのみ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)