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薄荷
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はっか
ふりがな文庫
“
薄荷
(
はっか
)” の例文
丈
(
たけ
)
なす
薔薇
(
ばら
)
、色鮮やかな
衝羽根朝顔
(
つくばねあさがお
)
、小さな
淡紅色
(
ときいろ
)
の花をつけた見上げるような
莨
(
たばこ
)
の
叢立
(
むらだ
)
ち、
薄荷
(
はっか
)
、
孔雀草
(
くじゃくそう
)
、
凌霄葉蓮
(
のうぜんはれん
)
、それから
罌粟
(
けし
)
。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
長さも
左
(
さ
)
のみならざる
棟
(
むね
)
に、一重の梅や八重桜、桃はまだしも、菊の花、
薄荷
(
はっか
)
の花の
眼
(
め
)
も及ばぬまで
濃
(
こまか
)
きを浮き彫にして
香
(
にお
)
う
計
(
ばか
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
甘草
(
かんぞう
)
に、
肉桂粉
(
にっけいふん
)
に
薄荷
(
はっか
)
といったようなものを二寸四方位の板に練り固めて、縦横十文字に切り型を入れて金粉や銀粉がタタキ付けてある。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
庭には紫の花をつけた大きな
栴檀
(
せんだん
)
の樹があって、その樹の蔭のじめじめしたところに、雑草と交って
薄荷
(
はっか
)
が沢山生えていた。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
長男
薄荷
(
はっか
)
みたいにすうっとするね。ぼくなんだか、心が軽くなったみたいだ。わくわくするなあ、さあ早くいこうよ。
病む子の祭
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
苹果
(
りんご
)
や
梨
(
なし
)
やまるめろや
胡瓜
(
きゅうり
)
はだめだ、すぐ枯れる、稲や
薄荷
(
はっか
)
やだいこんなどはなかなか強い、牧草なども強いねえ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鐵「へえーお医者で、
私
(
わっち
)
どもはいけぞんぜえだもんだから、お医者と相宿になってると皆も気丈夫でごぜえます、
些
(
ちっ
)
とばかり
薄荷
(
はっか
)
があるなら
甜
(
な
)
めたいもんで」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それこそ、
薄荷
(
はっか
)
入りの
海風
(
うみかぜ
)
のようなすがすがしいものが、皆の心に吹き込んで、胸をいっぱいに
膨
(
ふく
)
らせる。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……寝棺に納められた妻の白い衣に、彼は
薄荷
(
はっか
)
の液体をふりかけておいた。顔のまわりに、髪の上に、胸の上に合掌した手のまわりに、花は少しずつ置かれて行った。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
かの女の躍起となった瞳から、かの女の必死に掴んだ指から、千代重が今まで栖子からうけたことのない感覚が、
薄荷
(
はっか
)
を擦り込むような痛さと共に骨身に浸み込んだ。
唇草
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
頭を垂れたり、あるいは
薄荷
(
はっか
)
パイプを
啣
(
くわ
)
えたりして、熱い砂を踏んで行く人の群を眺めると、丁度この濠端に、同じような高さに揃えられて、枝も葉も切り捨てられて
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
全体刺撃物や香料の配合は衛生上から割出してあって玉子に唐辛、豆類に
薄荷
(
はっか
)
、
無花果
(
いちじく
)
に
丁子
(
ちょうじ
)
、牛肉に
芥子
(
からし
)
、梨や芋類に肉桂という
風
(
ふう
)
な合い物という事が出来ています。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
永山
(
ながやま
)
、
比布
(
ぴっぷ
)
、
蘭留
(
らんる
)
と、
眺望
(
ながめ
)
は次第に淋しくなる。
紫蘇
(
しそ
)
ともつかず、麻でも無いものを苅って畑に
乾
(
ほ
)
してあるのを、車中の
甲乙
(
たれかれ
)
が評議して居たが、
薄荷
(
はっか
)
だと丙が説明した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
のみならず
眉
(
まゆ
)
は両方から
逼
(
せま
)
って、中間に数滴の
薄荷
(
はっか
)
を点じたるごとく、ぴくぴく
焦慮
(
じれ
)
ている。鼻ばかりは軽薄に鋭どくもない、遅鈍に丸くもない。
画
(
え
)
にしたら美しかろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
麝香草
(
じゃこうそう
)
や
薄荷
(
はっか
)
や
薔薇
(
ばら
)
の咲き乱れた花壇が
彼方此方
(
かなたこなた
)
に設けられ、そして甃の両側には、緑の街路樹が
眼路
(
めじ
)
の限りに打ち続き、その葉陰に真っ白な壁、磨き上げたような円柱
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これはマンドウ草といって、やはり葉は花時に採って
喘息
(
ぜんそく
)
の薬にする。こちらのは
薄荷
(
はっか
)
だ。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……映像はしだいにはっきりとなる。それ、広い平野、
葦
(
あし
)
の茂み、新鮮な草や
薄荷
(
はっか
)
の匂いがする微風に波打っている畑の作物。至るところに花が咲いている、矢車草、
罌粟
(
けし
)
、
菫
(
すみれ
)
。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
以来は三度の食事も
省略
(
しょうりゃく
)
するほどに時を
惜
(
おし
)
み、夜も眠らず、
眠気
(
ねむけ
)
がさせば眼に
薄荷
(
はっか
)
までさして、試験の準備に余念ない三千ちかくの青年が、第一高等学校の試験場に
群
(
むらが
)
り来たり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
サイダーの静脈内注射はどうだろう? 頭に穴をあけて脳を
薄荷
(
はっか
)
水で洗ってみようか? それとも、心臓に液体酸素のボンベをつないで血管の中へ冷たい酸素を送ってやろうか?──
ロザリオの鎖
(新字新仮名)
/
永井隆
(著)
芍薬
(
しゃくやく
)
一本、我庭園中の最も
艶
(
えん
)
なる者なり。
八車
(
やぐるま
)
、
孔雀草
(
くじゃくそう
)
、
天竺牡丹
(
てんじくぼたん
)
、
昼照草
(
ひでりそう
)
、
丁子草
(
ちょうじそう
)
、
薄荷
(
はっか
)
などあり。総ての花皆うつくしとのみ見し中に孔雀草といふ花のみひとり
厭
(
いと
)
はしく思ひぬ。
わが幼時の美感
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
先刻
(
さっき
)
、横浜駅前の(現今の
桜木町
(
さくらぎちょう
)
駅)
鉄
(
かね
)
の橋を横に見て、いつもの通り、
尾上町
(
おのえちょう
)
の方へ出ようとする
河岸
(
かし
)
っぷちを通ると、
薄荷
(
はっか
)
を製造している薄荷の
香
(
にお
)
いが、
爽快
(
そうかい
)
に鼻をひっこすった
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「甘い
薄荷
(
はっか
)
入りの粟の水あめでござーい」といって売りに来るかと思えば
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
「なんだか
薄荷
(
はっか
)
みたいな香りがするわね。薄荷草というのじゃないこと?」
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それからもう何年かたった、ある寒さの厳しい夜、僕は従兄の家の茶の
間
(
ま
)
に近頃始めた
薄荷
(
はっか
)
パイプを
啣
(
くわ
)
え、従姉と差し向いに話していた。
初七日
(
しょなのか
)
を越した家の中は気味の悪いほどもの静かだった。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
薄荷
(
はっか
)
のようにひりひりする唇が微笑している。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
さては
薄荷
(
はっか
)
菊の花まで今
真盛
(
まっさか
)
りなるに、
蜜
(
みつ
)
を吸わんと飛び
来
(
きた
)
る
蜂
(
はち
)
の羽音どこやらに聞ゆる
如
(
ごと
)
く、耳さえいらぬ事に迷っては
愚
(
おろか
)
なりと
瞼
(
まぶた
)
堅
(
かた
)
く
閉
(
と
)
じ、
掻巻
(
かいまき
)
頭
(
こうべ
)
を
蔽
(
おお
)
うに
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
果して大原珍らしそうに「お登和さん、これはどうしたのです」お登和嬢「それは羊の
腿
(
もも
)
を二時間半ばかりロースにして、ジャガ芋も一緒にロースにして、
薄荷
(
はっか
)
のソースを ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
薬草と
葫
(
にんにく
)
とバタとこね合せたパテを作って置き、それに引き出した身をまぶし再び殻に詰め込み火鍋にかける。薬草の混ぜ合せに秘伝がある。それへ
薄荷
(
はっか
)
草の入ることは確だ。
食魔に贈る
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いっぱいに開け放した
硝子扉
(
ケースメント
)
から、
薄荷
(
はっか
)
入りの、
清
(
すが
)
すがしい朝の
海風
(
うみかぜ
)
が吹き込んでくる。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
いつも晴れ着の裾や
袂
(
たもと
)
からすうッと風が
薄荷
(
はっか
)
のように体へ
沁
(
し
)
みたのを
未
(
いま
)
だに記憶しているが、その肌寒さはあたかも梅見頃の陽気の
爽
(
さわ
)
やかさに似てぞくぞくしながらもここちよく
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
忍冬
(
すいかずら
)
や
常春藤
(
きづた
)
の
纏
(
まと
)
わり付いた
穹窿
(
アーチ
)
形の門があり、門をくぐると、荒れ果ててはいたが、花の一杯に乱れ咲いた前庭があり、その前庭には
赭熊百合
(
しゃぐまぐさ
)
や
白菖
(
マートル
)
や、
薄荷
(
はっか
)
や
麝香草
(
じゃこうそう
)
や、
薔薇
(
ばら
)
や
菫
(
すみれ
)
や
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
各
綴
(
つづ
)
り音のまわりには、百里香かあるいは野生
薄荷
(
はっか
)
の
香
(
かお
)
りのように、弾力性の
律動
(
リズム
)
を有する南欧のあでやかな抑揚が踊っていた。アルル国のオフェリア姫ともいうべき不思議な幻影だった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
仄暗い廊下のようなところに突然、目がくらむような隙間があった。その隙間から
薄荷
(
はっか
)
の
香
(
かお
)
りのような微風が吹いてわたしの頬にあたった。見ると、向うには真青な空と赤い
煉瓦
(
れんが
)
の
塀
(
へい
)
があった。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「
薄荷
(
はっか
)
パイプを吸っていると、余計寒さも身にしみるようだね。」
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして一人
留守番
(
るすばん
)
のときの用心に、いつものように入口に
鍵
(
かぎ
)
をかけ、
電燈
(
でんとう
)
を消して、
蚊帳
(
かや
)
の中に
這入
(
はい
)
り、万一
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
むものがあるときの
脅
(
おど
)
しに使う
薄荷
(
はっか
)
入りの水ピストルを
枕元
(
まくらもと
)
へ置いた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それは蝸牛の肉を
茹
(
ゆ
)
でて
軟
(
やわら
)
かくしたものを上等のバタと細かく
刻
(
きざ
)
んだ
薄荷
(
はっか
)
とをこね
合
(
あわ
)
せたものと一緒にして
殻
(
から
)
に詰めるだけのことである。
然
(
しか
)
しこの簡単な料理にもなかなか
熟練
(
じゅくれん
)
を要するという。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“薄荷”の意味
《名詞》
薄荷(はっか)
シソ科ハッカ属の植物の総称。
1.のうち、日本薄荷やペパーミントのこと。
(出典:Wiktionary)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
荷
常用漢字
小3
部首:⾋
10画
“薄荷”で始まる語句
薄荷糖
薄荷草
薄荷水
薄荷酒
薄荷莢蒾
薄荷入
薄荷火酒