あら)” の例文
秦王しんわうのちこれい、ひとをしてこれゆるさしむれば、すでせり。申子しんし韓子かんしみなしよあらはし後世こうせいつたふ、(一二一)學者がくしやおほり。
ところで、最初それと類推させたものを話すことにしよう。マームズベリー卿があらわした『ジョン・デイ博士鬼説』という古書がある。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
もし粟野さんも芸術を、——少くとも文芸を愛したとすれば、作家堀川保吉は一篇の傑作をあらわすことに威厳を保とうと試みたであろう。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いかに多く馬琴のあらわした小説中の枝葉の部分に見出さるるかという点には必ず御心づきになる事であろうと信じます。
彼はその時心のうちで、この松本という男は世にあらわれない学者の一人なのではなかろうかと疑ぐったくらい、妙な理窟りくつをちらちらとひらめかされた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これは自分の娯楽のために人間を造るのである。第二例は、英吉利イギリスのシェレーという婦人のあらわした、『フランケンスタイン』という小説にある話だ。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ついに大夫の命婦としてこれに報いるということになったので、府君が本司にくだして、今すでに之を福籍ふくせきあらわした
富貴発跡司志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
穗「そんな読みようはない、みん樓英ろうえいあらわした医学綱目いがくこうもくという書物がある、そのうち蘆膾丸ろかいがんというのが宜しい」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先にあらわしたる一冊を初編となし、なおその意をおしひろめてこのたびの二編を綴り、次いで三、四編にも及ぶべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
猴に関する民俗を述ぶるに、まず猴崇拝の事から始めると都合がよろしい。『大英百科全書』十一板二巻動物崇拝の条に、インドで猴神ハヌマンもっともあらわる。
雅家まさいえ北畠きたばたけと号す——北畠親房きたばたけちかふさその子顕家あきいえ顕信あきのぶ顕能あきよしの三子と共に南朝なんちょう無二の忠臣ちゅうしん楠公なんこう父子と比肩ひけんすべきもの、神皇正統記じんのうしょうとうきあらわして皇国こうこくの正統をあきらかにす
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
あつまるを精気となし、散ずるを遊魂となす。あつまるときは物をなし、散ずるときは変をなす。聚散しゅうさんをみるときは、すなわち鬼神の情状あらわる。万物の終始、聚散を
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
西峠は一名を「墨坂」という、「墨坂」の名は古代史にあらわる。「鳥立とだちたづぬる宇陀うだ御狩場みかりば
自分はつつましく木の枝に光の半をおほふ風な星に対してよりも、あらはに自らを投げ出して
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
カーライルがこの書をあらわすのは彼にとってはほとんど一生涯の仕事であった。チョット『革命史』を見まするならば、このくらいの本は誰にでも書けるだろうと思うほどの本であります。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
トルストイは有名な『飢饉論』や『怖るべき問題』などの論文を書いて世論に訴え、コロレンコも現地報告『凶作の年に』をあらわして、ナロードニキー陣営最後のホープとしての輿望よぼうに答えた。
抄録の文書と共にあらわされたものに違いなかろう。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初めて学問的に研究して世にあらわしたバジル・ホール・チャンバレン Basil Hall Chamberlain 氏の祖父に当る Captain Basil Hall の率いた英吉利イギリス船が帰航の途に聖ヘレナ島に立寄って船長の口から流竄りゅうざん中の那翁に沖縄島の話を
あるいは書をあらわし、あるいは新聞紙を出版するなど、およそ国民たるの分限に越えざることは忌諱をはばからずしてこれを行ない、固く法を守りて正しく事を処し
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今の首相も、せんだっての新聞に載せてあるところを見ると、何とかいう高尚な書物をあらわしている。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
夜の友となりて六月内に彼を衰死せしむと信ず(エントホウエンの『グジャラット民俗記』一〇七および一五二頁)、かく諸方に多い婬鬼の中でアスモデウス最もあらわる。
私のあらわした文学論はその記念というよりもむしろ失敗の亡骸なきがらです。しかも畸形児きけいじの亡骸です。あるいは立派に建設されないうちに地震じしんたおされた未成市街の廃墟はいきょのようなものです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(一三)關令くわんれい尹喜ゐんきいはく、『まさかくれんとす、ひてめにしよあらはせ』と。ここおい老子らうしすなは書上下篇しよしやうかへんあらはし、道徳だうとくふこと五千餘言よげんにしてれり。をはところし。
相法三巻、信ぜざるものは、目して陋書ろうしょとなすと雖も、ことごとしりぞからざるものあるに似たり。忠徹も家学を伝えて、当時に信ぜらる。其のあらわすところ、今古識鑑ここんしきかん八巻ありて、明志みんし採録す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一八九〇年サガレン島へおもむき、流刑地および徒刑に関する一書をあらわした。その日その日に書きなぐった雑文類を除き、私が文学生活二十年間に発表した小説は、印刷全紙にして三百台分を超える。
あらはになりて見えし時
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
隣家の世帯を見て不取締りと思わば、みずからこれを自家に試むべし。人の著書を評せんと欲せば、みずから筆を執りて書をあらわすべし。学者を評せんと欲せば学者たるべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
韓非かんぴかん(四四)諸公子しよこうしなり刑名法術けいめいはふじゆつがくこのむ、しかうして(四五)其歸そのき黄老くわうらうもとづく。ひと口吃くちきつし、(四六)道説だうぜいすることあたはず、しかうしてしよあらはす。李斯りしとも荀卿じゆんけいつかふ。
これより予は一汎にあらわれたる合祀の悪結果を、ほぼ分項して記さんに
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
あるいは後年にいたって大老井伊掃部頭いいかもんのかみは開国論を唱えた人であるとか開国主義であったとか云うような事を、世間で吹聴ふいちょうする人もあればほんあらわした者もあるが、開国主義なんて大嘘だいうそかわ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)