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脹
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は
ふりがな文庫
“
脹
(
は
)” の例文
倒れた傷跡が大きな紫色の
痣
(
あざ
)
になってる
脹
(
は
)
れた顔を見た時、そこにいる人は死にかかってるのだとわかった時、彼はふるえだした。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
朝になっても、体中が
脹
(
は
)
れふさがっているような痛みを感じて、お島はうんうん
唸
(
うな
)
りながら、寝床を離れずにいるような事が多かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
平次は隣の室へ声をかけると、すっかり目を泣き
脹
(
は
)
らしたお倉は、平次の女房のお静に手を引かれて転げるように出て来ました。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ある時佐助
齲歯
(
むしば
)
を病み右の頬が
夥
(
おびただ
)
しく
脹
(
は
)
れ上り夜に入ってから苦痛
堪
(
た
)
え難きほどであったのを
強
(
し
)
いて
怺
(
こら
)
えて色に表わさず折々そっと
合嗽
(
うがい
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と激しく
叱責
(
しっせき
)
されたが、その時に乳母が眼を真赤に
脹
(
は
)
らして、オイ/\泣声を上げたので、野村は之は大へんな事が起ったのだなと思った。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
八時少し前に起きたので、眼の周囲が
脹
(
は
)
れぼったくて少し心持が悪い。さぞ荒れたような皮膚をして居ることだろうと思う。
日記:04 一九一七年(大正六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
おまけにおれのなぐつた所が、
小鬢
(
こびん
)
の禿から顋へかけて、まるで面が
歪
(
ゆが
)
んだやうに、
脹
(
は
)
れ上つてゐようと云ふものだ。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
右の頬が見る間に
脹
(
は
)
れふくらんで来るのだつた。信一郎は、ボンヤリつツ立つてゐる運転手を、再び叱り付けた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「どうです。何か見付かりましたか」彼は捜査課長の不眠に
脹
(
は
)
れぼったくなった顔を見ると、
斯
(
こ
)
う声をかけた。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
癌は一時小さくなって、また前より
脹
(
は
)
れを増した。とうとう痛みが来るようになった。医者も隠し切れなくなったか
肺臓癌
(
はいぞうがん
)
がここに吹出したものだと宣告した。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「さア次は
坊
(
ぼ
)
んだす。たんと塗つてあげなはれ。」と、お駒も眼の縁を赤く泣き
脹
(
は
)
らして、
背後
(
うしろ
)
を向いた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「おお可哀そうに。おお恐ろしい。肩からあんなに血が出ているよ。紫色に
脹
(
は
)
れ上がっているよ——」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と
頓狂
(
とんきょう
)
な返事がして、うたた寝でもしていたのか、一人の女中が
脹
(
は
)
れぼったい顔をして出て来た。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お岩の顔は紫色に
脹
(
は
)
れあがっているうえに、左の
瞼
(
まぶた
)
が三日月形に突き
潰
(
つぶ
)
したように垂れていた。それは二目と見られない物凄い顔であった。伊右衛門はさすがに驚いた。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
葉子は、泣いたために妙に
脹
(
は
)
れぼったく赤くなって、てらてらと光る木村の鼻の先が急に気になり出して、悪いとは知りながらも、ともするとそこへばかり目が行った。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
顔は硫酸で火傷したので、三つ四つ
膏薬
(
こうやく
)
を
貼
(
は
)
ってある。鼻は二倍程大きく
脹
(
は
)
れ上っている。お春さんは笑い出した。無論乃公も笑った。けれども姉さんは転げるくらい笑った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この間から歯が痛いとか
頬
(
ほお
)
が
脹
(
は
)
れたとかいって、それは大騒ぎをしているんですよ。……もう一遍いって雪岡さんがいらしったんですから、そのままでいいから降りておいでッて
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
きのう
耳下腺
(
じかせん
)
のあたりが
脹
(
は
)
れる痛みで悩んでた母は脹れてしまったきょうは痛みもなくらくらくとしてまたみみずく顔になった。ぶくぶくしたところに
皺
(
しわ
)
がすいすいとよっている。
母の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
井戸端で足を洗っているらしく、
釣瓶
(
つるべ
)
の音や水のはじける音がし、それに交って何かひそかに話し合っている。納戸に寝ていたいねは
脹
(
は
)
れ物のひいたように初めて大きな息をした。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ただまるで
桶
(
おけ
)
のように
脹
(
は
)
れあがって、体が痩せてしまったのですよ。以前はどうしてどうして、とても太ってましたけど、今はもうまるで針でも飲んだように痩せてしまいましてね
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
丸顔で、眉と目とのあいだがひろく、一重瞼の目がいささか
脹
(
は
)
れぼったい。
指尖
(
ゆびさき
)
でつまみあげたような、ちんまりとした小さな鼻。色が白く、口紅のほかにはお化粧のあとのない肌。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
これ以上、まだ、あなたは、わたしらに、なにを
堪
(
こら
)
えろというのかね? 若い男と女、惚れた
脹
(
は
)
れたの浮気はつきもの、一時の気まぐれとして、忘れてしまえば、ええじゃないですか
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
花子は定の腕の中に
仰向
(
あおむ
)
けに抱きかかへられたまま薄眼を開いてゐた。
脹
(
は
)
れぼつたい唇が暗紫色に染まりその間から小さな舌の
尖
(
さき
)
があらはれてゐた。定は
裳
(
もすそ
)
をひき上げて花子の
創痕
(
きずあと
)
をしらべた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
午前も午後も教室で為事をし、夕食のとき
維也納
(
ウインナ
)
から来たきのふのT翁に逢つたところが、私の世話した“
Hospitz
(
ホスピツツ
)
”で昨夜南京虫に襲はれたことを報じ、頸のあたりの赤く
脹
(
は
)
れた
痕
(
あと
)
を示した。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と言つて、肌が紫色に
脹
(
は
)
れ上るまで笞を続けさせたといふ事だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
土手には一ぱい
触
(
さわ
)
れば手足も
脹
(
は
)
れ痛む
鬼薊
(
おにあざみ
)
が茂っています。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
目を泣き
脹
(
は
)
らす八重ざくら
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
脹
(
は
)
れてるんじゃァない?
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
平次は隣の
室
(
へや
)
へ聲をかけると、すつかり目を泣き
脹
(
は
)
らしたお倉は、平次の女房のお靜に手を引かれて轉げるやうに出て來ました。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
背が高く、強壮で、その顔は、
顳顬
(
こめかみ
)
や額のほうは狭くて
痩
(
や
)
せ、下の方は広く長く、
頤
(
あご
)
の下が
脹
(
は
)
れていて、ちょうど
干乾
(
ひから
)
びた
梨
(
なし
)
のようだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お庄はまだ
目蓋
(
まぶた
)
の
脹
(
は
)
れぼったいような顔をして、寝道具をしまった
迹
(
あと
)
を掃いていた。お鳥は急いで
襷
(
たすき
)
をかけて、次の間へハタキをかけ始めた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その前の晩もやはり夜通し泣きつづけて、彼女も要もほとんど寝られなかったので、さし向いになった夫婦は
孰方
(
どっち
)
も
脹
(
は
)
れぼったい眼をしていた。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
殊に
頸
(
くび
)
が細かったの、腹が
脹
(
は
)
れていたのと云うのは、
地獄変
(
じごくへん
)
の
画
(
え
)
からでも思いついたのでしょう。つまり鬼界が島と云う所から、
餓鬼
(
がき
)
の形容を使ったのです。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
全身、
蒼黒
(
あおぐろ
)
くなりその上、
痩
(
やせ
)
さらばう骨の
窪
(
くぼ
)
みの皮膚にはうす紫の
隈
(
くま
)
まで、漂い出した中年過ぎの男は
脹
(
は
)
れ
嵩張
(
かさば
)
ったうしろ
頸
(
くび
)
の
瘤
(
こぶ
)
に背を
跼
(
くぐ
)
められ
侏儒
(
しゅじゅ
)
にして餓鬼のようである。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
見る見るうちに眉が
脹
(
は
)
れた。そうして獅子顔を現じ出した。ポロリと小指が一本取れた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
口から流れている血の筋は、
何時
(
いつ
)
の間にか、段々太くなっていた。右の頬が見る間に
脹
(
は
)
れふくらんで来るのだった。信一郎は、ボンヤリつッ立っている運転手を、再び
叱
(
しか
)
り付けた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼女の涼しい目は眠られないふた晩に醜く
脹
(
は
)
れ
上
(
あ
)
がり、かわいい
靨
(
えくぼ
)
の宿った
豊頬
(
ほうきょう
)
はげっそりと
痩
(
や
)
せて、耳の上から崩れ落ちたひと握りの
縺毛
(
もつれげ
)
が、その
尖
(
とが
)
り
出
(
で
)
た
頬骨
(
ほおぼね
)
にはらりとかかっていた。
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
胆石です といって、出てしまえばなんでもない と腹部をあちらこちら ここはどうです とおさえられるのが
的
(
まと
)
にあたって痛い。苦しさにまぎれて見もしなかったが肝臓のへんが
脹
(
は
)
れてるらしい。
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
「だって歯が痛いとか、頬が
脹
(
は
)
れたとかいっているんでしょう」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
脹
(
は
)
れぼつたいやうな
目遣
(
めづか
)
ひの
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
顏立ちもよく整つて、恰幅も見事ですが、戀に狂ふ型の人間によくある、やゝ
肥
(
ふと
)
り
肉
(
じし
)
の多血質で
脹
(
は
)
れつぽい眼、多い毛などが妙に人目につきます。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
気が向くと徹夜で仕事して翌朝
脹
(
は
)
れぼったい顔をして帰って来ることもあり、寝泊りはさせない
筈
(
はず
)
だったのが、だんだんそうも行かなくなっていた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
午
(
ひる
)
ごろまで床にはいっていて、たがいの室の
扉
(
とびら
)
を開け放しながら、たがいに話し合った。鏡の中でたがいに見合わして、疲れに
脹
(
は
)
れたうれしい顔をながめた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
叔母の母親は、ひとしきり仏の前へ行って来ると、
脹
(
は
)
れ
爛
(
ただ
)
れたような
目縁
(
まぶち
)
を赤くして、茶の
室
(
ま
)
の方へ入って来た。そして母親と一緒に茶を飲んだり、煮物を
摘
(
つま
)
んだりしていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ところが
彼是
(
かれこれ
)
お
午
(
ひる
)
時分、ふと顔を
擡
(
もた
)
げたのを見ると、腫物のあつた下唇だけ、丁度赤いお薩のやうに
脹
(
は
)
れ上つてゐるではございませんか? しかも熱の高いことは妙に輝いた眼の色だけでも
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
細クテスッキリシテイルノダケレドモ、膝ノ下カラ
踝
(
くるぶし
)
ニ至ル線ガ外側ヘ曲ッテイテ、靴ヲ
穿
(
は
)
イタ足首ト
脛
(
すね
)
トノ接合点ガ妙ニ
脹
(
は
)
レボッタク
膨
(
ふく
)
ランデイル。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
平次の馴れた眼で見ると、死に顏に苦惱の痕があり、——顏も少しは
脹
(
は
)
れてゐると——それはお角が平靜な心持に
還
(
かへ
)
つた時、平次の引出した言葉でした。
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
身体がずんぐりしていて、頭が大きく、まっ白なほどの
金褐色
(
きんかっしょく
)
をした頭髪と
眉毛
(
まゆげ
)
、ごくうすい青色の眼、広い
蒼白
(
あおじろ
)
い
頬
(
ほお
)
、太い
唇
(
くちびる
)
、多少
脹
(
は
)
れた顔、赤い小さな手をしていた
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その家では、
衆
(
みんな
)
がぞろぞろ起きて、
脹
(
は
)
れぼッたいような顔をして茶の
室
(
ま
)
へ集まった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
頸
(
くび
)
細くして腹大きに
脹
(
は
)
れ、色黒うして足手細し。人にして人に非ず。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
脹
漢検準1級
部首:⾁
12画
“脹”を含む語句
膨脹
腫脹
蚯蚓脹
下脹
脹脛
青脹
膨脹力
脹満
泣脹
脹切
着脹
火脹
水脹
蒼脹
鼓脹
膨脹律
通貨膨脹
酒脹
腫脹上
三段膨脹
...