しこう)” の例文
しこうしてその破裂の勢は、これを蔵むるのいよいよ堅固にして、時日のいよいよ久しきその割合にしたがいて、いよいよ劇烈なるべし。
経世の学、また講究すべし (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうして徳川時代における偏理的儒教は、早くも神道しんとうと抱合し、尊王賤覇せんぱ、大義名分、倒幕復古、祭政一致の理想を聯亙れんこうするに到れり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
子澄が曰く、しからず、燕はあらかじめ備うること久しければ、にわかに図り難し。よろしく先ずしゅうを取り、燕の手足しゅそくり、しこうして後燕図るべしと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
学生なら学校生活、職工ならその労働、会社員は会社の仕事、各々おのおのの生活をすればいい。しこうして、小説を書く修業をするのが本当だと思う。
しこうしてこの三社の詩風もまた大抵相同じであった。徂徠の古文辞派が唐詩を模範となしたのに反し、寛政以降化政の詩人はもっぱら宋詩をとうとんだ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
時の日和ひよりで、あっちへべったり、こっちへべったり、木曾が出頭すれば木曾に、義経が迫れば義経に、頼朝が怒れば頼朝に依存して、しこうして
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しこうして露国またそのきょじょうぜんとす。その危機きき実に一髪いっぱつわざるべからず。し幕府にして戦端せんたんを開かば、その底止ていしするところいずれへんに在るべき。
しこうして異日学生諸君が卒業の後、政党に加入せんと欲せば、一にな諸君が本校に得たる真正の学識に依てみずからこれを決すべし(謹聴、大喝采)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
彼は怫然ふつぜんとして孔子に喰って掛かる。「人臣の節、君の大事に当りては、ただ力の及ぶ所を尽くし、死してしこうして後にむ。夫子何ぞ彼を善しとする?」
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
後世までその人をの辺りに見られるが如き生き抜いた活書、しこうして美的含有量の豊かな何人も一見優雅を感ぜずにはいられないまでの美書、いずれにしても
世才せさいある風の任意まにまにただよい行く意味にあらずして、世界の大勢に応じ、なお個人性を失わず、しこうして世界の潮流にさきだちて進むを以て教育の最大目的とせねばならぬ。
教育の最大目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
もっぱらひとりを慎んで古聖賢の道をきわめ、学んでしこうして時にこれを習っても、遠方から福音の訪れ来る気配はさらに無く、毎日毎日、忍び難い侮辱ばかり受けて
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
あの左伝の、目迎えてしこうしてこれを送ると云う文句だねえ。あれをあべこべに女の方で遣っているのだ
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
道元禅師どうげんぜんじは「しこうして後」という言葉を好まれなかったと申しますが、深い意味が漂うと思われます。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そしてかかる日本の封建思想を完成せしめた孔子は実に自由人であり、永遠の現代人であり、しこうして彼の現身うつしみは保守家ではなく、反逆者であつた。彼は自由を闘つた反逆者だ。
私の小説 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
さらば黒馬博士、クロクロ島へ帰れ。しこうして、余よりの新しき命令を待て。余鬼塚元帥は重ねて博士に対し、深甚なる敬意を表す。——これで、元帥からの電文は、おしまいですわ
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
秋「貴君あなたはお堅いがね小野うじ、僕もいろ/\丹誠して癒らんければ名にもかゝわるから、おいやでもお娘子をおつかわしになれば、目薬料が出て御全快になって、しこうしてのちのことでございます」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しこうしてその利益はすなわち木村軍艦奉行ぐんかんぶぎょう知遇ちぐうたまものにして、ついわするべからざるところのものなり。芥舟先生は少小より文思ぶんしみ、また経世けいせいしきあり。常に筆硯ひっけんを友としておいの到るを知らず。
Et hinc illæ iræ(しこうして、このゆえにこの怒りあり)さ!
しこうして此腕環を得し人は、同時に更に多くの宝物を得べき幸運を有す
黄金の腕環:流星奇談 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
脂肪と含水炭素と共に不足すれば蛋白質を消耗せしめて人体はおとろうるに至る。家庭料理をつかさどる者はこの理を忘るべからず。しこうして三成分の人体に必要なる分量は『食道楽』の本文を見るべし。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
国家に捧げたるの至誠は永く銘して忘るべからざる所なりしこうして軍隊の凱旋は本月を以てほとんど終了を告げんとす依って本会は来る二十五日を期し本区内一千有余の出征将校下士卒に対し本区民一般を
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しこうしてよき風鈴を釣りたまへ
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
しこうしてその勉強の成跡は発明工風にして、本人一個の利益に非ず、日本国の学問に富を加えて、国の栄誉に光を増すものというべし。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
吾人ごじんは時勢の概括的観察を為さざるべからず。しこうしてこれにさきだちて、さらにその淵原来歴をつまびらかにせざるべからざるの必要を感ず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しかれども賽児の徒、はじめより大志ありしにはあらず、官吏の苛虐かぎゃくするところとなってしこうして後爆裂迸発へいはつしてほのおを揚げしのみ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しこうしてその原書を授くるや、これを独逸に取らず、これを仏蘭西に取らず、却てこれを英語に取るものは、そもそもこれ偶然の事にあらざるべし(拍手)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
枕山は出遊の途次結城を過ぎ請わるるがままに、『論語』の「学ンデしこうシテ時ニコレヲ習フマタたのシカラズヤ。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しこうして先生は二人のほか何人なんびとにも示さざれば決して他にるるはずなきに、往々これを伝写でんしゃして本論は栗本氏等の間に伝えられたるものなりなどの説あるを見れば
瘠我慢の説:01 序 (新字新仮名) / 石河幹明(著)
しこうして人間の娯楽にはすこしく風流の趣向、または高尚の工夫なくんば、かの下等動物などの、もの食いてのどを鳴らすの図とさも似たる浅ましき風情と相成果申すべく
不審庵 (新字新仮名) / 太宰治(著)
... 挽回ばんかいせんのみ。四万々生霊を水火塗炭とたんの中に救はんのみ。けだし大和民族の天職は殆ど之より始まらんか。」思うに「二十世紀の最大問題はそれ殆ど黄白人種の衝突か。」しこうして
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
立上りしこうして歩む春惜しむ
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
彼が政治的経歴およそ二十年、しこうしてこの二十年は、家斉いえなり将軍下半期の治世にして、文恬ぶんてん武煕ぶき、幕政の荒廃既に絶頂に達したるの日なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しこうしてその旧、必ずしも良なるに非ず、そのしん、必ずしも悪しきに非ず。ただいたずらに目下の私に煩悶するのみ。けだしそのゆえは何ぞや。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
蔵春は秉忠へいちゅうの号なり。盧溝は燕の城南に在り。この劉文貞に傾倒することはなはだ明らかに、其の高風大業を挙げ、しこうして再拝一哭いっこくすというに至る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いわく、我邦学問の独立せざる久し、しこうしてその未だ独立せざるものは、つとめとして、学者に与うるに名誉と利益とを以てせざるに因る、これを以て、今の時に当て
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
「別墅ノ谷中ニアル者園ヲ賜春トなづク。多ク春花ヲ植ヱ、氷川ニアル者園ヲ錫秋ししゅうト名ク。多ク秋卉しゅうきウ。しこうシテ石浜ニ鴎窼おうかアリ。溜池ためいけニ八宜アリ。青山ニ聴松アリ。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
良家を作るの法は、兄弟姉妹をして友愛ならしめ、親子をして親ならしむるにあり。しこうしてその本源は、夫婦の倫理に発するものと知るべし。
読倫理教科書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうして其家を興すは即ち婦人の智徳にして争う可らざるの事実なるに、みだりに之を評して無智と言う、漫評果して漫にして取るに足らざるなり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうして明治年間の公議輿論は何によりて生じたるものなりやと尋ぬれば、三十年前、我が開国と、ついで政府の革命、これなりと答えざるをえず。
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうして今日の男女が今日の社会に処する道を如何いかんきやと云ふに、古来道徳の教、一にしてらずといえども、徳教は人文の進歩と共に変化するの約束にして
修身要領 (新字旧仮名) / 福沢諭吉慶應義塾(著)
しこうしてそのこれを教うるの方法如何いかんを聞けば、学校に寄宿せしめたりとていかにも安心せるものの如し。
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
然りしこうして一尺の能力ある者は、これをその諸能力に割合して各二寸また三寸ずつを発育し、これをして一方に偏せしめざるをもって教育の本旨となすといえども
文明教育論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうしてその教の種類には、儒もあり、仏もあり、また神道、耶蘇もあり、たいてい同様のものならん。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかしこうして幕府解散の始末しまつは内国の事に相違なしといえども、おのずから一例を作りたるものというべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうしてその相撲の大関または碁将棋の九段なる者が、太政大臣と同一様の栄誉を得ざるは何ぞや。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かりにその上書建白をして御採用の栄を得せしめ、今一歩を進めて本人も御抜擢ごばってきの命を拝することあらん。しこうしてその素志そし果して行われたるか、案に相違の失望なるべし。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうしてその智力は権衡けんこうもってはかるべきものに非ざれば、その増減を察すること、はなはだかたし。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうしてこの体面と栄名とを張るにいささかにてもえきすべきものはこれを採り、害すべきものはこれを除かんとするもまた、日本国民の身においてまさに然るべき至情なるべし。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうしてその黙するや、これをいうを忘れたるに非ず、時あっていうときは、その言もまた適切にして、忌憚きたんするところなきがゆえに、時としては俗耳を驚かすことなきに非ざれども
経世の学、また講究すべし (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)