トップ
>
糺
>
ただ
ふりがな文庫
“
糺
(
ただ
)” の例文
それには、
定助郷
(
じょうすけごう
)
嘆願の趣ももっともには聞こえるが、よくよく村方の原簿をお
糺
(
ただ
)
しの上でないと、容易には仰せ付けがたいとある。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私はもう一度かの僧を呼び止めて、元禄武士に対する彼の
詐
(
いつわ
)
らざる意見を問い
糺
(
ただ
)
して見ようかと思ったが、彼の迷惑を察してやめた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
よく聞き
糺
(
ただ
)
して見ると、しかく平気な男も、時々は歓楽の
飽満
(
ほうまん
)
に疲労して、書斎のなかで精神を休める必要が起るのだそうであった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「神? だが我々は神にその真偽を
糺
(
ただ
)
す方法は持たない。兎に角、一人の男は機上から姿を消し、一人の男は惨殺されているのだ」
旅客機事件
(新字新仮名)
/
大庭武年
(著)
どちらが先に生れたのかときき
糺
(
ただ
)
したところ、田中さんは頭をなでなで、「それは君、鶏がさきか卵がさきかというようなものだよ。」
西隣塾記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
▼ もっと見る
その叔父が
苦
(
にが
)
りきって、
罵倒
(
ばとう
)
するのだから、拙者もちょッと面食らった。——で理由を
糺
(
ただ
)
すと、法月弦之丞は決して死んではおるまい。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何故なら、『諦める』等と云ふ事は、彼女の平素の主張からも、またこの苦悶の出処を
糺
(
ただ
)
すだけでも、肯定する事は出来なかつた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
安宅が噂の真偽を問い
糺
(
ただ
)
したときも、眼にきつい光を走らせただけで、噂の否定もしなかったし、ひとことの弁明もしなかった。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「はア」と、曖昧な挨拶を返してしまつたので、それを今更ら問ひ
糺
(
ただ
)
すのも
角
(
かど
)
が立つだらうと思ひ、もぢ/\する心を煙草でごまかした。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
けれども看護婦は刈るにしてもその毛の位置について博士に聞き
糺
(
ただ
)
したが、博士はそこらの長いのから刈りたまえと言った。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「それはあまりに簡単すぎやしませんか。恐怖の理由をもっと深く
問
(
と
)
い
糺
(
ただ
)
すべきでしたね。真の原因は、もっともっと深いところにあると思う」
断層顔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
丁度その時刻には、自分は
市村座
(
いちむらざ
)
で芝居を観ていたという。芝居茶屋へ訊い
糺
(
ただ
)
して見ると、来た時刻も帰った時刻もちゃんとウマが合っている。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
刑事はその男についていろいろと訊き
糺
(
ただ
)
したが、ただ波瑠子とは以前からの知り合いらしかったということだけで、名前さえ知る者はなかった。
宝石の序曲
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
二人は侍に
糺
(
ただ
)
されるのをひどく当惑がる様子であったが、おとどしの暮に大手の酒井様のお邸で悪い事をして逃げた
仲間
(
ちゅうげん
)
の亀蔵の事だと云った。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
よく事情も
糺
(
ただ
)
さず、一途に、思いつめて行動したのだが、若さから来る客気の頼りなさを、したたかに、思い知らされた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
着いたのは昨日の六時、姉の家に行って聞き
糺
(
ただ
)
せば昨夜何時頃に帰ったか解るが、今日はどうした、今はどうしている?
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
お角は問い
糺
(
ただ
)
されて、おのずから
口籠
(
くちごも
)
ります。その口籠るので、若党、草履取はお角にようやく不審の疑いをかけると
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
中村警部は、川手氏の行方不明について、もっと詳しく聞き
糺
(
ただ
)
そうとしていたのだが、今はそれも忘れて、膝を乗り出さないではいられなかった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それから老婆に向って、
市
(
まち
)
に誰か代人なり、または知合いで、登記の
手続
(
てつづき
)
やその他必要なことを全部委任することの出来る人はないかと聞き
糺
(
ただ
)
した。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
彼は両脇腹へ勿体振った手を置き、わたくしに何処から来たのか、名前は何んというなど仔細らしく問い
糺
(
ただ
)
しました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
特に彼女達に知られないように気を付けていなかった
越度
(
おちど
)
はあるので、こうなって見ると、雪子の手前、自分がお春を
糺
(
ただ
)
さねばならない責任を感じた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
天和
(
てんな
)
の制法にありて養子は同姓より致すとあるも筋目を
糺
(
ただ
)
すべき制法につき
某
(
なにがし
)
殿寄
(
どのより
)
には以後養子を致すとも娘取り致すとも縁金と申すことを
停止
(
ちょうじ
)
せしめ
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「諸君の訴えるようなことが、もし事実であるとしたなら、これは十分とり
糺
(
ただ
)
さねばならぬことである。負傷した者は千住の屯所まで同道してもらいたい」
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
食べ物の工合も変って来たし、飯を食べると、後から
嘔吐
(
はきけ
)
を催すことも間々あった。母親に
糺
(
ただ
)
してみると、母親もどちらとも決しかねて、首を
傾
(
かし
)
げていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
更に政府の非違を
厭
(
あ
)
くまで
糺
(
ただ
)
し、十分に議員をしてその監督の任に当らしむるためには、政府をして議会に対し政治上の責に任ぜしむることが必要である。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
帳場と呼ばれた男はその事なら飲み込めたという風に、時々
上眼
(
うわめ
)
で
睨
(
にら
)
み
睨
(
にら
)
み、色々な事を彼れに
聞
(
き
)
き
糺
(
ただ
)
した。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
しかるにこの理想は文部大臣にならなければ実現ができないという人をよく
糺
(
ただ
)
してみると、真に教育のためにつくしたい
志
(
こころざし
)
よりは、他に望みがあるのが多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
確かに亡霊の上着に触れたかどうかを
糺
(
ただ
)
してみたが、いつも彼女は謙遜して、「もしも私の感覚に間違いがないならば、私は確かにその上着に触れたと思います」
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
畢竟、この孝行の説も、親子の名を
糺
(
ただ
)
し上下の分を明らかにせんとして、無理に子を責むるものならん。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかしこれは私が極めるので、どうも自分の事を自分で極めるだけでは気が済まぬから、なお私の師匠のガンデン・チー・リンボチェについてこの事を問い
糺
(
ただ
)
す。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
時
経
(
た
)
たば素性履歴を聞き
糺
(
ただ
)
し、身に叶うべきほどならば、力となりて得させむず、と
性質
(
うまれつき
)
たる好事心。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少しでも間違つた事はどこまでも本を
糺
(
ただ
)
さねば承知せず、明白に誤りさへすれば直にゆるして呉れまして、此の後は斯く/\せねばならぬぞと丁寧に教へて呉れました。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
マリユスは前に説明したとおり、結婚前にもフォーシュルヴァン氏に向かって問い
糺
(
ただ
)
すことをせず、結婚後にもジャン・ヴァルジャンに向かって問い糺すことを恐れた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
以前すべての動物至って仲よく暮したが、その
後
(
のち
)
犬が野で兎などを殺して食ったので、諸獣の訴えにより上帝犬を
糺
(
ただ
)
すと、他に食うべき物がなければやむをえぬと答えた。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しかし
昨日
(
きのう
)
、同地方出身の友人に会いましたから、それとなく様子を聞き
糺
(
ただ
)
してみますと、その岩形圭吾氏と申しますのは本年の二月に肺炎で死亡致しておりますそうで……
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それとお気づきになって、奇怪なこととして、何事かあったのかと夫人を
糺
(
ただ
)
そうとされる。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その乗艦の所在を
糺
(
ただ
)
して至急の報を発せる
間
(
ま
)
に、いらちにいらちし武男が母は早
直接
(
じき
)
談判と心を決して、その使節を命ぜられたる山木の車はすでに片岡家の門にかかりしなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
吃驚
(
びっくり
)
した伊助、飛んで行ってお藤を抱き起し、いろいろと問い
糺
(
ただ
)
してみたものの、ただ
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
我もと神にあらず仏にあらず、只これ非情なり。非情のものとして、人の善悪を
糺
(
ただ
)
し、それにしたがふべきいはれなし。善を
一一〇
撫で悪を
罪
(
つみ
)
するは、天なり、神なり、仏なり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
共々
嬉
(
うれ
)
しく帰朝して我は
軽
(
かろ
)
からぬ役を拝命する
計
(
ばかり
)
か、
終
(
つい
)
に姓を冒して人に尊まるゝに
付
(
つい
)
てもそなたが母の室香が
情
(
なさけ
)
何忘るべき、家来に
吩附
(
いいつけ
)
て段々
糺
(
ただ
)
せば、
果敢
(
はか
)
なや我と
楽
(
たのしみ
)
は
分
(
わ
)
けで
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その時おそらく将軍家より、お浦儀お書き附けをお預かりいたし……さらにお浦に
糺
(
ただ
)
しましたところ、将軍家その時後継者に関し、涙催され何事やら、申されましたと申すこと……
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お家来の衆を
遙々
(
はるばる
)
紀州へおつかわしになりました時など、事の真相を
糺
(
ただ
)
すというよりも、あれは嘘だと申す証拠を掴みたがって居られるようにさえ感ぜられましたのでございました。
殺された天一坊
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
主人
(
あるじ
)
帰り
来
(
きた
)
りしかば、こうこうと物語りしに、
主人
(
あるじ
)
色を変じて容貌
風体
(
ふうてい
)
などを
糺
(
ただ
)
し、それこそ
今日
(
きょう
)
手に
掛
(
かけ
)
たる女なり、役目とは云いながら、罪作りの
所為
(
わざ
)
なり、以来は為すまじき事よと
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
一度自分はもどかしさの余り、三峰参詣の人に頼んで山の名を聞き
糺
(
ただ
)
して貰った時、其人は雲取山の名を
齎
(
もたら
)
し帰ったのは好いが、可笑しいことにはどの山が夫であるか遂に分らなかった。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そう思って、宿にかえり、自分の部屋に通って、
火鉢
(
ひばち
)
の傍に
一旦
(
いったん
)
坐って、心を落ち着けようとしてみたが、とても、もっと委しい事情を訊き
糺
(
ただ
)
さねばそのままに寝られるどころではない。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
貫一はかの一別の後
三度
(
みたび
)
まで彼の
隠家
(
かくれが
)
を訪ひしかど、
毎
(
つね
)
に不在に会ひて、二度に及べる消息の返書さへあらざりければ、安否の
如何
(
いかが
)
を満枝に
糺
(
ただ
)
せしに、変る事無く
其処
(
そこ
)
に住めりと言ふに
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それは教師が、起立を命じた生徒に、ものを問い
糺
(
ただ
)
すような、口調であった。
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
早う嫁さんを
娶
(
と
)
りなさいな。
小串
(
をぐし
)
に丁度よさゝうなのがあつて、東屋の爺さんが話を持つて來たから、も一度よく
問
(
と
)
ひ
糺
(
ただ
)
して、成るべくならそれにでも極めたいと、お父さんが云うて居つた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
自分の手に入れるまでは達て無垢不染で置たかったのだ、だからその実否を
糺
(
ただ
)
すと云っても、実でないことを祈る方に力が這入って、つまり自分が一時の安心を求めに行くようなものであった
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
深沢が見咎めて
糺
(
ただ
)
せば
詞
(
ことば
)
窮して担いかけし障子
襖
(
ふすま
)
を
其所
(
そこ
)
へ捨て逃げ去りしなりというに、東京という所の
凄
(
すさま
)
じさ、白昼といい人家稠密といい、人々見合う中にて人の物を掠め去らんとする者あり。
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
糺
漢検1級
部首:⽷
7画
“糺”を含む語句
糺問
糺明
問糺
相糺
聞糺
取糺
糺弾
訊糺
糺命
糺問所
御糺
聴糺
内蔵助糺
糺附近
糺河原
糺明所
糺明中
取糺中
御糺明下
糺問使
...