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町家
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ちょうか
ふりがな文庫
“
町家
(
ちょうか
)” の例文
端唄
(
はうた
)
が現す恋の苦労や浮世のあじきなさも、または浄瑠璃が歌う義理人情のわずらわしさをもまだ経験しない幸福な富裕な
町家
(
ちょうか
)
の娘
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『今、ちらと、
町家
(
ちょうか
)
の者の声を聞けば——今度は浅野の家来だと云ったが——今度はと云えば、吾々の先にも、
早打
(
はやうち
)
が通ったのか』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嘉永版
(
かえいばん
)
の『
東都遊覧年中行事
(
とうとゆうらんねんちゅうぎょうじ
)
』にも、『六月
朔日
(
ついたち
)
、
賜氷
(
しひょう
)
の
節
(
せつ
)
御祝儀
(
ごしゅうぎ
)
、加州侯より氷献上、お
余
(
あま
)
りを
町家
(
ちょうか
)
に下さる』と見えている。
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
前夜の夜歩きの時に見かけた浪人ども——それと芹沢が奪い来ったという
町家
(
ちょうか
)
の女房との間に脈絡があるように思われてならぬ。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「深夜の
小田原
(
おだわら
)
に怪人が二人現れたそうです。そいつが乱暴にも寝静まっている小田原の
町家
(
ちょうか
)
を、一軒一軒ぶっこわして歩いているそうです」
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
その僧侶はどこへ泊り込むかというと一般に
町家
(
ちょうか
)
です。町家では一室なり二室なりを明渡して僧侶に貸すというのがラサ市民の義務になって居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
これはあの
衣紋
(
えもん
)
のクリコミ加減でもお解りになります通り、或る
町家
(
ちょうか
)
の娘で、
芸妓
(
げいしゃ
)
に売られておった者で御座いますが、なかなかの手取りと見えて
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こっちは
八坂寺
(
やさかでら
)
を出ると、
町家
(
ちょうか
)
の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条
京極
(
きょうごく
)
辺の
知人
(
しりびと
)
の家をたずねました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
叔父は武家奉公は面倒だから
町家
(
ちょうか
)
へ
往
(
ゆ
)
けと申しまして
彼方此方
(
あちらこちら
)
奉公にやりますから、私も
面当
(
つらあて
)
に駈出してやりました
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
江戸入りは三人になったが、厳しい
藩邸
(
やしき
)
の門はさすがにくぐらせられない。出入りの
町家
(
ちょうか
)
に預けておくうちに母親は
鳶頭
(
かしら
)
のところへ娘を連れて再縁した。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
見物は、がいして
町家
(
ちょうか
)
の者である。教育のありそうな者はきわめて少ない。美禰子はその間に立って振り返った。首を延ばして、野々宮のいる方を見た。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
薄寒い二月の夜、月が
町家
(
ちょうか
)
の屋根の上から出かかって、
四方
(
あたり
)
は
金粉
(
きんぷん
)
を
撒
(
ま
)
いたような光が
薫
(
くん
)
じます。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒棚
(
くろだな
)
、
御廚子
(
みずし
)
、
三棚
(
みつだな
)
の
堆
(
うずたか
)
きは、われら
町家
(
ちょうか
)
の
雛壇
(
ひなだん
)
には
些
(
ち
)
と
打上
(
うちあが
)
り過ぎるであろう。
箪笥
(
たんす
)
、
長持
(
ながもち
)
、
挟箱
(
はさみばこ
)
、
金高蒔絵
(
きんたかまきえ
)
、
銀金具
(
ぎんかなぐ
)
。小指ぐらいな
抽斗
(
ひきだし
)
を開けると、中が
紅
(
あか
)
いのも美しい。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は
勿論
(
もちろん
)
幼少だから
手習
(
てならい
)
どころの話でないが、
最
(
も
)
う十歳ばかりになる兄と七、八歳になる姉などが手習をするには、
倉屋敷
(
くらやしき
)
の中に手習の師匠があって、
其家
(
そこ
)
には
町家
(
ちょうか
)
の小供も来る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
『
塵塚談
(
ちりづかだん
)
』という書物は、ちょうどこれから少し後に生まれた老人の、若いころの見聞をしるしたものだが、これには
目抜
(
めぬ
)
きの大通りだけでなく、山の手
端
(
はし
)
ばしの
武家
(
ぶけ
)
町家
(
ちょうか
)
ともに
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
さも欲し相に
覗
(
のぞ
)
いている装身具の類を見ても、「あれ、いいわねえ」などと、往来の
町家
(
ちょうか
)
の娘達の身なりを
羨望
(
せんぼう
)
する言葉を聞いても、
可哀相
(
かわいそう
)
に彼女のお里は、すぐに知れて了うのであった。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どこか
坂下
(
さかした
)
の
町家
(
ちょうか
)
でたたく、追いかけるような日蓮宗の
拍子木
(
ひょうしぎ
)
の
音
(
ね
)
。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ああいう
敏捷
(
びんしょう
)
な女だから、かえってこっちの裏をかいて、
明々
(
あかあか
)
と
町家
(
ちょうか
)
の灯が往来を照らしている中を、
洒然
(
しゃぜん
)
とあるいているかも知れない。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
(
ど
)
ういう訳で左様に長い物を
振
(
ふる
)
って
町家
(
ちょうか
)
をお荒しなさいまする、その次第を一応手前にお告げ下さいと云って出ろ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこで彼等はまず神田の
裏町
(
うらまち
)
に仮の宿を定めてから
甚太夫
(
じんだゆう
)
は怪しい
謡
(
うたい
)
を唱って
合力
(
ごうりき
)
を請う浪人になり、
求馬
(
もとめ
)
は
小間物
(
こまもの
)
の箱を
背負
(
せお
)
って
町家
(
ちょうか
)
を廻る
商人
(
あきゅうど
)
に化け
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今日日
(
きょうび
)
は、花柳界もどきの、そんなふうな磨き道具を素人でも持つが、
町家
(
ちょうか
)
の女房ではまずない図だった。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
帽子を被らないのは当人の自由としても、
羽織
(
はおり
)
なり着物なりについて判断したところ、どうしても中流以下の活計を営んでいる
町家
(
ちょうか
)
の年寄としか受取れなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行列の道筋にあたる
武家
(
ぶけ
)
町家
(
ちょうか
)
では、もう十三日から家の前に
桟敷
(
さじき
)
をかまえ、
白幕
(
しらまく
)
やら紫幕。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
或者は
紅
(
べに
)
を
唇
(
くちびる
)
に塗り或者は
剃刀
(
かみそり
)
にて顔を
剃
(
そ
)
りつつあり。遊女は
頤
(
おとがい
)
の下に読みさしの書物を
挟
(
はさ
)
みつつその帯を前にて結び
町家
(
ちょうか
)
の女は反対に両手を
後
(
うしろ
)
に
廻
(
まわ
)
して帯を引締めんとせり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
小僧たちの雷のような
喚
(
わめ
)
きに迎えられて、この店へ入って来たのは切下げ髪に
被布
(
ひふ
)
の
年増
(
としま
)
、ちょっと見れば大名か旗本の
後家
(
ごけ
)
のようで、よく見れば
町家
(
ちょうか
)
の出らしい
婀娜
(
あだ
)
なところがあって
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一度赤い風が吹くと、防火設備はあったにしても、マッチ箱を並べたような江戸の
町家
(
ちょうか
)
——無分別にも建込みすぎた木造家屋は、ほとんど無抵抗に、無防禦に、際限もなく燃えて行ったのです。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
殿の手がついて出来たのがお賤だと仰しゃったが、
私
(
わたし
)
も其の深見新左衞門の次男に生れ、小さい時に家は改易と成ったので
町家
(
ちょうか
)
で育ったもの、腹は違えど
胤
(
たね
)
は一つ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ここはずっと
町家
(
ちょうか
)
のない
土塀
(
どべい
)
続きになっていますから、たとい昼でも人目を避けるには、一番
御誂
(
おあつら
)
えの場所なのですが、甚内はわたしを見ても、格別驚いた
気色
(
けしき
)
は見せず
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鴛鴦
(
おしどり
)
に
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
をかけたり、ゆいわた島田にいったり、
高島田
(
たかしまだ
)
だったり、赤い襟に、着ものには
黒繻子
(
くろじゅす
)
をかけ、どんなよい着物でも、
町家
(
ちょうか
)
だから
前
(
まえ
)
かけをかけているのが多かった。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
町家
(
ちょうか
)
の
内儀
(
ないぎ
)
らしい
丸髷
(
まるまげ
)
の女が
七
(
なな
)
、
八
(
やっ
)
ツになる娘の手を引いて門の
内
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
って行った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
町家
(
ちょうか
)
を避けて山へ追い込み、そこで充分に
仕遂
(
しと
)
げるつもりだな」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「四ツ目屋へ持ってきた
伊太利珊瑚
(
イタリヤさんご
)
、あれは、どこからおめえ持ち出して来た。なみの屋敷や
町家
(
ちょうか
)
の土蔵じゃあるまい。あれ程の品がある穴なら、まだまだ、存分、金目な品が
埋
(
う
)
ずまっているはず、案内してくれというのはその穴だ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
道の
両側
(
りょうがわ
)
はいつのまにか、ごみごみした
町家
(
ちょうか
)
に変っている。
塵埃
(
ちりぼこ
)
りにまみれた
飾
(
かざ
)
り窓と広告の
剥
(
は
)
げた電柱と、——市と云う名前はついていても、都会らしい色彩はどこにも見えない。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
槍を立って歩ける身の上、不幸にして腹にあるうち、母が石井の家へ帰りまして、
私
(
わたくし
)
は
町家
(
ちょうか
)
で生立ちまして、それゆえ貴方がお役で御出張になりましても、つい向う前に居りながら
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
むかしの無頼漢が
町家
(
ちょうか
)
の店先に尻をまくって
刺青
(
ほりもの
)
を見せるのと同しである。
申訳
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その次には、おそろしく
衣裳
(
いしょう
)
を飾ってお化粧をした
町家
(
ちょうか
)
の
年増
(
としま
)
。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お
高
(
たか
)
は二千五百石で一色宮内様と仰しゃる、血筋でございますけれども、
此方
(
こちら
)
は
町家
(
ちょうか
)
に育ちましたから𢌞船問屋で名主役も勤めて居り、目通りは出来ますが、お
兄様
(
あにいさま
)
という事も出来ず
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
丁度嘉永の六年に
亜米利加船
(
あめりかぶね
)
が日本へ渡来をいたしてから、諸藩共に鎖国攘夷などという事を称え出し、そろ/\ごたつきはじめましたが、
町家
(
ちょうか
)
では
些
(
ちっ
)
とも気が附かずに居ったことでござります。
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山三郎は十一二の頃物心を知ってから己は二千五百石の一色宮内の
胤
(
たね
)
、世が世なれば鎗一筋の立派な武士、運悪くして
町家
(
ちょうか
)
に
生立
(
おいた
)
ったが生涯町家の家は継がん、此の家は
父親
(
てゝおや
)
の違う妹のお藤に譲って
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
重「これ/\
其処
(
そこ
)
に待って居れ、
町家
(
ちょうか
)
を騒がしては済まぬから」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“町家”の意味
《名詞》
町中にある家。
町人、商人の家。
町中。
(出典:Wiktionary)
町
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“町家”で始まる語句
町家風
町家娘