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爲方
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しかた
ふりがな文庫
“
爲方
(
しかた
)” の例文
新字:
為方
「坊樣暗う御座いますよ」と言つたぎり、女と共に登つて
了
(
しま
)
つたから僕も
爲方
(
しかた
)
なしに其後に
從
(
つ
)
いて暗い、狹い、急な梯子段を登つた。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
けれども其の
埒外
(
らちぐわい
)
に
逸
(
ゐつ
)
することの出來ないのが
運命
(
うんめい
)
なのだから
爲方
(
しかた
)
がない、
性格悲劇
(
せいかくひげき
)
といふ
戯曲
(
ぎきよく
)
の
一種
(
いつしゆ
)
があるが、僕等が
丁度
(
てうど
)
其だ。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それならば
爲方
(
しかた
)
がない。が、
怪猫
(
ばけねこ
)
は
大袈裟
(
おほげさ
)
だ。
五月闇
(
さつきやみ
)
に、
猫
(
ねこ
)
が
屋根
(
やね
)
をつたはらないとは
誰
(
たれ
)
が
言
(
い
)
ひ
得
(
え
)
よう。……
窓
(
まど
)
の
燈
(
ひ
)
を
覗
(
のぞ
)
かないとは
限
(
かぎ
)
らない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二日も三日も汽船が出ないとなると
爲方
(
しかた
)
がなしに人足を雇つてはその峠へかゝつてゆく
女連
(
をんなづれ
)
子供連
(
こどもづれ
)
の客が見かけられます。
樹木とその葉:32 伊豆西海岸の湯
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
然し唯それだけでは、あの革命的色彩に富んだ文學者の胸中を了解するに、何となく不十分に思はれて
爲方
(
しかた
)
がなかつた。
硝子窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
出す
隙
(
ひま
)
の有べきや其方は
情
(
なさけ
)
なき
爲方
(
しかた
)
なり是には何か
樣子
(
やうす
)
あらんと
云
(
いは
)
れしかば
粂之進
(
くめのしん
)
心中
(
しんちう
)
憤
(
いきど
)
ほり
小身
(
せうしん
)
なりとも
某
(
それが
)
しも上の
御扶持
(
ごふち
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
し
殊
(
こと
)
に人の
理非
(
りひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
こんな
勝
(
すぐ
)
れた
歌
(
うた
)
が、しかも
非常
(
ひじよう
)
に
貴
(
たふと
)
い
方々
(
かた/″\
)
のお
作
(
さく
)
に
出
(
で
)
て
來
(
き
)
てゐるに
拘
(
かゝは
)
らず、
世間
(
せけん
)
の
流行
(
りゆうこう
)
は、
爲方
(
しかた
)
のないもので、だん/\、
惡
(
わる
)
い
方
(
ほう
)
へ/\と
傾
(
かたむ
)
きました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
その誤解の
爲方
(
しかた
)
が、餘りに眞正直らしい先生の性格から産み出された物であると考へた時、その激怒の表情を痛ましく思つたのは私ばかりではなかつたらう。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「あれは
爲方
(
しかた
)
が無いよ。タンク見たやうな三田公や、名にし負ふ蟒を相手にしちやあ、とても堪らないよ。わいはお米さんと二人で、しんみり飮み度いんだ。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
幾ら
贔屓
(
ひいき
)
だつたと云つたつて、
死骸
(
しがい
)
まで持つて來るのはひどいと云つて、こちらからは掛け合つたが、色々談判した
擧句
(
あげく
)
に、
一旦
(
いつたん
)
いけてしまつたものなら
爲方
(
しかた
)
が無いと云ふことになつたと
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
『
其樣
(
そん
)
なに
爲
(
し
)
なくたつて、逃げも隱れもしやしねえ。』と松公は
何處迄
(
どこまで
)
も素直に出て、『
眞實
(
ほんとう
)
に惡かつたよ。だけど、二三日體が惡くて、店へも出なかつたんだから、
爲方
(
しかた
)
がねえぢやねえか。』
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ええ。
爲方
(
しかた
)
がありません。私は貴方を助けなきやなりませんもの。これで私の心が分るでせう。之からまだ段々分つて來ます。さうしたら貴方は、かはいさうだと思つて下さるでせう。ねえ。」
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
凝如
(
じつ
)
としていても
爲方
(
しかた
)
が無いので、バレツトも
平筆
(
ふで
)
も、臺の上に
放
(
ほう
)
ツたらかしたまゝ、ふいと
起
(
た
)
ツて
室
(
へや
)
の内を
歩
(
あるき
)
廻ツて見る。それでも氣は變らない。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
如何に機敏なる新聞も、唯敍上の事實と、及び彼等被檢擧者の平生に就いて多少の報道を爲す外に
爲方
(
しかた
)
が無かつた。
所謂今度の事:林中の鳥
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「顏を快活にしろつたつて、これは持前だから
爲方
(
しかた
)
がない……」みんなは冷嘲的にわつと笑つた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
強制
(
きようせい
)
せられて
爲方
(
しかた
)
なしやつてゐるのと、
自
(
みづか
)
ら
進
(
すゝ
)
んでやつてゐるのと
違
(
ちが
)
ふわけであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「今更
如何
(
どう
)
と言つて
爲方
(
しかた
)
がないじやアないか。」
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「まあ坐らないか。騷々しくて
爲方
(
しかた
)
が無い。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
致せば武士
堅氣
(
かたぎ
)
無實の
惡名
(
あくみやう
)
附
(
つけ
)
られてはと怒つてどんな間違に
成
(
なら
)
うも知ねば
明日
(
あした
)
にても氣の
落附
(
おちつい
)
た其時に吾儕が
徐々
(
なんとか
)
に云ますから何卒
和君
(
あなた
)
からはお話なくハイ夫は承知しましたが餘り
憎
(
にく
)
い
爲方
(
しかた
)
ゆゑ明日に成たら親父に話して急度掛合にと
飽
(
あく
)
まで
籠
(
こも
)
る親切を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これは當時に有つては、確かに進歩した批評の
爲方
(
しかた
)
であつた。然し
今日
(
こんにち
)
になつて見れば、其所謂識者の理解なるものも、決して徹底したもので有つたとは思へない。
所謂今度の事:林中の鳥
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
其樣
(
そん
)
な
嘘
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
くもんぢやない。お
祖樣
(
ぢいさん
)
は能く知ツてゐるぞ。其の螢籠は
何
(
な
)
んだ、」
失敗
(
しま
)
ツた! 自分は螢籠を片手にぶらさげてゐた。
此
(
か
)
うなツてはもう
爲方
(
しかた
)
が無い。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
この
人
(
ひと
)
は、さういふ
歌
(
うた
)
を
詠
(
よ
)
むことが
上手
(
じようず
)
だつたけれども、
本式
(
ほんしき
)
の
文學
(
ぶんがく
)
らしいものを
作
(
つく
)
ることは、ほとんど
出來
(
でき
)
ませんでした。さうして
見
(
み
)
ると、やはり
下手
(
へた
)
といふより
爲方
(
しかた
)
がありません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
爲方
(
しかた
)
がないから、
御酒
(
ごしゆ
)
で
蟲
(
むし
)
を耐へてゐたのが、何時か
眞
(
ほ
)
んとののむべいになつて了ツたんですけれども、そりや誰だつて好んでのむべいになる者アありやしませんよ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
其の道の技師を
一人
(
ひとり
)
雇ふでもないヤワな
爲方
(
しかた
)
で、素人の釀造法は第一回目からして腐ツて了ツた。それで叔父も財産を煙にして了へば、綾さんの父も
息
(
いき
)
ついて、會社は解散。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
爲方
(
しかた
)
がないから、ギリ/\齒噛をしながらも、
強
(
つよ
)
い心でおツ
耐
(
こら
)
へてゐる。其れがまた
辛
(
つら
)
い。其の辛いのを耐へて、無理に製作を
續
(
つゞ
)
ける。
軈
(
や
)
がて眼が
血走
(
ちはし
)
ツて來、心が
惑亂
(
わくらん
)
する。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
餘
(
あまり
)
の事と學生は振返ツた……其の
鼻
(
はな
)
ツ
頭
(
つら
)
へ、風を
煽
(
あふ
)
ツて、
扉
(
ドアー
)
がパタンと
閉
(
しま
)
る……響は高く其處らへ響渡ツた。學生は唇を噛み
拳
(
こぶし
)
を握ツて口惜しがツたが
爲方
(
しかた
)
が無い。
悄々
(
しを/\
)
と仲間の後を追ツた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
何處
(
どこ
)
かの森で
梟
(
ふくろ
)
の啼いてゐる。それが谷間に反響して、恰どやまびこのやうに
聞
(
きこ
)
える。さて立ツてゐても
爲方
(
しかた
)
が無いから、
後
(
あと
)
へ引返す積りで、ぼつ/\
歩
(
ある
)
き始めたが方角とても
確
(
しか
)
と解ツてゐなかツた。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「何うするツて、壽命なら
爲方
(
しかた
)
がないではないかノ。」
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「それぢや
爲方
(
しかた
)
が無いぢやありませんか。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「
眞個
(
まつたく
)
爲方
(
しかた
)
が無いのさ。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
爲
部首:⽖
12画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“爲”で始まる語句
爲
爲事
爲樣
爲難
爲合
爲替
爲出
爲替相場
爲給
爲來