トップ
>
涅槃
>
ねはん
ふりがな文庫
“
涅槃
(
ねはん
)” の例文
(
聖教量
(
しやうげうりやう
)
、「スペクラチオン」)逍遙子は
豈
(
あに
)
釋迦
(
しやか
)
と共に
法華
(
ほつけ
)
涅槃
(
ねはん
)
の經を説いて、
有
(
う
)
に非ず、空に非ず、亦有、亦空といはむとするか。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
離れて
涅槃
(
ねはん
)
の道に引導すべければ是より我が
庵
(
いほり
)
に參られよとて夫より上新田村の無量庵へ
同伴
(
どうはん
)
なし
懇切
(
ねんごろ
)
に弔ひければ安五郎は
厚
(
あつ
)
く禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
涅槃
(
ねはん
)
の瀧といふのが何處かに有つたら知らぬこと、華嚴は高華偉麗の世界である、白牡丹花に蟻の這ひ上るのはまだしも許し得るとしても
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
この
涅槃
(
ねはん
)
の
証
(
さとり
)
へ達するには、どうしても、この智目と行足とが必要なのです。智慧の目と、実行の足、それは
清涼池
(
さとり
)
への唯一の道なのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
自分が解脱することはこの
絆
(
きずな
)
を断ち切って彼女を夢より醒すことでもある。そして共に真実自由な
涅槃
(
ねはん
)
海に落着けるのである。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
この門前の椿岳
旧棲
(
きゅうせい
)
の梵雲庵もまた
劫火
(
ごうか
)
に亡び玄関の正面の梵字の円い額も左右の柱の「能発一念喜愛心」及び「不断煩悩得
涅槃
(
ねはん
)
」の両
聯
(
れん
)
も
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
太子の念じ
給
(
たま
)
える「和」とは超政治的な「和」、
究竟
(
くっきょう
)
「
涅槃
(
ねはん
)
」であったと思う。僕はこの一語に宿る深い夢を思いつづけた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
思無邪
(
おもいよこしまなし
)
であり、
浩然
(
こうぜん
)
の気であり、
涅槃
(
ねはん
)
であり天国である。忙中に閑ある余裕の態度であり、死生の境に立って認識をあやまらない心持ちである。
俳諧の本質的概論
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
こいつを、フッフッと吹きながら、すぺりと古道具屋の
天窓
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でるかと思うと、次へ飛んで、あの
涅槃
(
ねはん
)
に入ったような、
風除葛籠
(
かざよけつづら
)
をぐらぐら
揺
(
ゆす
)
ぶる。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さいなまん ただ苦業こそよけれ ただに
涅槃
(
ねはん
)
をおもい 顔色を和らげ 善きことせん 無声もて 善きことせん
口業
(新字新仮名)
/
竹内浩三
(著)
佛陀が
涅槃
(
ねはん
)
の同じ日に息を引き取つたさうだが、そんなにまでして往生の素願を遂げようとも、折角内から燃えて來る焔を自分で塞いでしまつたのでは
久米の仙人
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
例えば
仏陀
(
ぶつだ
)
の幽玄な哲学は、一切の価値を否定することに於て、逆に価値の最高のもの(
涅槃
(
ねはん
)
)を主張している。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
涅槃
(
ねはん
)
主義者となり、
福音
(
ふくいん
)
信者となり、仏教信者となり——その他自分でもよくはわからなかったが——喜んであらゆる罪悪を許し、とくに
淫逸
(
いんいつ
)
な罪悪を許し
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
二月十五日の
涅槃
(
ねはん
)
の日に作る食物に、
釈迦
(
しゃか
)
の頭だの、おしゃか様の鼻くそだのというのがあるのも解しかねるが、それよりもさらに縁がなさそうに思われるのは
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ショーペンハウエルの意志否定はかなり根元的の否定であるが、しかし彼の解脱——意志なき認識や
涅槃
(
ねはん
)
などにおいては、なお真実に自己を活かすことが出来ると思う。
自己の肯定と否定と
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
流転
(
るてん
)
、無常を差別相の形式と見、
空無
(
くうむ
)
、
涅槃
(
ねはん
)
を平等相の原理とする仏教の世界観、悪縁にむかって諦めを説き、運命に対して静観を教える宗教的人生観が背景をなして
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
涅槃
(
ねはん
)
経に「善男子正法を護持せん者は五戒を受けず威儀を修せずして刀剣
弓箭鉾槊
(
きゅうせんぼうさく
)
を持すべし」
最終戦争論
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
インド思想と共通な
涅槃
(
ねはん
)
を説きながら、その基調においては悩しき青春の爛熟期の哲学である。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
形ある者は天命あり。三界の
教主
(
けうしゆ
)
さへ、
耆婆
(
きば
)
が藥にも及ばずして
跋提河
(
ばつだいが
)
の
涅槃
(
ねはん
)
に入り給ひき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
涅槃
(
ねはん
)
大学校という誰でも無試験で入学できる学校の印度哲学科というところへ、
栗栖按吉
(
くりすあんきち
)
という極度に漠然たる構えの生徒が、
恰
(
あたか
)
も忍び込む煙のような
朦朧
(
もうろう
)
さで
這入
(
はい
)
ってきた。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
仏家は曰く、「煩悩即菩提、生死即涅槃。」(
煩悩
(
ぼんのう
)
はすなわち
菩提
(
ぼだい
)
、
生死
(
しょうじ
)
はすなわち
涅槃
(
ねはん
)
)
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
岸本はあの四本の柱で
支
(
ささ
)
えられた、四つのアーチのどの方面からも見られるカソリック風な御堂の中に、愛の
涅槃
(
ねはん
)
のようにして置いてあった極く静かな二人の寝像を思出した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
第三は、
梵語
(
ぼんご
)
で花酔境と訳される。そこは、遠くからみれば大乳海を呈し、はいれば、たちこめる花香のなかで生きながら
涅槃
(
ねはん
)
に入るという、ラマ僧があこがれる
理想郷
(
ユートピア
)
である。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
併し、此は無理かも知れない。短歌の天寿は早、
涅槃
(
ねはん
)
をそこに控えて居る。私は又、此等の人々から、印象批評でもよい、どうぞ分解しないで、其まま聞かして貰いたいと思う。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
仏説ではこの変化を、諸行無常と申しまして、太極すなわち
涅槃
(
ねはん
)
の境地でござりましょう
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
妾を撲るお前達の鞭こそ、
涅槃
(
ねはん
)
に導く他力だとな! 妾はお前達に礼を云う。妾を
燻
(
く
)
べた
松火
(
たいまつ
)
の火こそ、真如へ導く導火だとな! おお人々よ慾を捨てよ! 慾こそは
輪廻
(
りんね
)
を産む。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私を棄て慾を去り二元を越えた究竟の境地を「
涅槃
(
ねはん
)
寂静」と呼び、これに帰る事が悲願となった。「茶美」は詮ずるに「寂の美」である。これをやさしく「貧の美」といってもよい。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「東方の人」はこの「衛生学」を大抵
涅槃
(
ねはん
)
の上に立てようとした。老子は時々
無何有
(
むかいう
)
の郷に
仏陀
(
ぶつだ
)
と挨拶をかはせてゐる。しかし我々は皮膚の色のやうにはつきりと東西を
分
(
わか
)
つてゐない。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
最早
(
もはや
)
我望もこの上は小さくなり得ぬほどの極度にまで達したり。この次の時期は希望の
零
(
ゼロ
)
となる時期なり。希望の零となる時期、
釈迦
(
しゃか
)
はこれを
涅槃
(
ねはん
)
といひ
耶蘇
(
ヤソ
)
はこれを救ひとやいふらん。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
心中を
涅槃
(
ねはん
)
にくつつけたやうなところがあるが、
生中
(
なまなか
)
さういふ小乗に行かなかつたところに、却つてかれの勇者たり智者たるところがあるのであつて、
這個
(
しやこ
)
仏性
(
ぶつせい
)
ありと言はずには居られない。
西鶴小論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
さいごの息づかいらしいのが窺われたとき、ぼくたち兄妹は、ひとり余さず、母の周囲に顔をあつめて、
涅槃
(
ねはん
)
の母に、からだじゅうの慟哭をしぼった。腸結核は、じつに苦しげなものである。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
永劫
(
えいごう
)
はこれただ瞬時——
涅槃
(
ねはん
)
はつねに掌握のうち、不朽は永遠の変化に存すという道教の考えが彼らのあらゆる考え方にしみ込んでいた。興味あるところはその過程にあって行為ではなかった。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
僧正は一代の高徳、今や
涅槃
(
ねはん
)
の境に入って、
復
(
ま
)
た世塵の来り触るるを許さないのであるが、余りにうるさく勧められるので、遂に
筆硯
(
ひっけん
)
を命じて一書を作り、これを衆弟子に授けて
後
(
の
)
ち
入寂
(
にゅうじゃく
)
した。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
闇の
涅槃
(
ねはん
)
に、痛ましく惱まされたる
優心
(
やさごゝろ
)
。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
はし近く
涅槃
(
ねはん
)
かけたる野寺かな
樹鳳
(
じゅほう
)
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
涅槃
(
ねはん
)
がこの地上に実現したように
死の淵より
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
樂園
涅槃
(
ねはん
)
の土のにほふところ
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
仏教の
涅槃
(
ねはん
)
を想い起こす。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
しばし
涅槃
(
ねはん
)
に
入
(
い
)
るごとく
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
涅槃
(
ねはん
)
という言葉が
捨吉
(旧字新仮名)
/
三好十郎
(著)
あの「いろは」歌でいえば、「あさきゆめみじ、ゑひもせず」という最後の一句は、「
寂滅為楽
(
じゃくめついらく
)
」という「
涅槃
(
ねはん
)
の世界」をいったものです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
不動のなかの動は、その
涅槃
(
ねはん
)
への
幽
(
かす
)
かな誘いなのかもしれない。千三百年間、ついぞ安定を知らなかった現在まで、こうして佇立しているのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
弁持も洲崎に
馴染
(
なじみ
)
があってね、洲崎の塩竈……松風
空風
(
からかぜ
)
遊びという、菓子台一枚で、女人とともに
涅槃
(
ねはん
)
に
入
(
い
)
ろう。……その一枚とさえいう処を、台ばかり。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
タゴオルが
若
(
も
)
しか
涅槃
(
ねはん
)
の国へでも往つたら、早速訪ねて往つて、お釈迦様か阿弥陀様かに紹介状を
認
(
したゝ
)
めて貰ひ度いといふのは、かういふ日本人に一番多からう。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お釈迦様の
供
(
とも
)
をさせるという処もあり、あるいは
猫
(
ねこ
)
と
鼠
(
ねずみ
)
が
喧嘩
(
けんか
)
をして、
涅槃
(
ねはん
)
の席に間に合わなかった故に、この二種の動物の形だけは作らぬといっている土地もある。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかもその地獄から解脱するには、
寂滅為楽
(
じゃくめついらく
)
の
涅槃
(
ねはん
)
に入るより仕方がないのだ。
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と、何遍唱えたところでピリヨードがない。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
パリー人の魂はこの劇の中に反映していた。そしてこの劇は、
追従
(
ついしょう
)
的な画面のように、彼らの
萎靡
(
いび
)
した宿命観、化粧室の
涅槃
(
ねはん
)
境、柔弱な
憂鬱
(
ゆううつ
)
、などの
象
(
すがた
)
を映し出していた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
儒家の仁、
浮屠氏
(
ふとし
)
の
涅槃
(
ねはん
)
、老、莊、カントが道も逍遙子が沒理想とおなじやうに世にあらはれたるを、鴎外が見たらましかば、その反難に逢ふことは沒理想におなじかるべし。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
もっと一般に言えば宇宙のエントロピーが次第に減少し、世界は平等から差別へ、
涅槃
(
ねはん
)
から
煩悩
(
ぼんのう
)
へとこの世は進展するのである。これは実に驚くべき大事件でなければならない。
映画の世界像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
早く
真如
(
しんにょ
)
、
涅槃
(
ねはん
)
の岸に至りて、最楽至安の地位に住する希望なれども、ひとたび生死海面に漂って波をあげたる上は、習慣性の規則によりて永くその動勢を保たんとするために
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
“涅槃”の解説
涅槃(ねはん)、ニルヴァーナ()、ニッバーナ()とは、一般にヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教における概念であり、繰り返す再生の輪廻から解放された状態のこと。
インド発祥の宗教においては、涅槃は解脱(モークシャ मोक्ष または ムクティ मुक्ति mukti)の別名である。すべてのインドの宗教は、涅槃は完全な静寂、自由、最高の幸福の状態であるだけでなく、誕生、生、死の繰り返しである輪廻からの解放と終了であると主張している。
(出典:Wikipedia)
涅
漢検1級
部首:⽔
10画
槃
漢検1級
部首:⽊
14画
“涅槃”で始まる語句
涅槃会
涅槃像
涅槃経
涅槃仏
涅槃図
涅槃堂
涅槃桜
涅槃那
涅槃妙心