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しだい/\
が、もの
音、
人聲さへ
定かには
聞取れず、たまに
駈る
自動車の
響も、
燃え
熾る
火の
音に
紛れつゝ、
日も
雲も
次第々々に
黄昏れた。
さして
何とは
言はれねども
次第々々に
心細き
思ひ、すべて
昨日の
美登利の
身に
覺えなかりし
思ひをまうけて
物の
恥かしさ
言ふばかり
無く
「その
積が
好くないぢやないか」と
答辯する
樣なものゝ、
此問題は
其都度次第々々に
背景の
奧に
遠ざかつて
行くのであつた。
月は
白晝のやうに
明だが、
小蒸滊船の
形は
次第々々に
朧になつて、
殘る
煙のみぞ
長き
名殘を
留めた。
其内凝としてゐる
身體も、
膝頭から
痛み
始めた。
眞直に
延ばしてゐた
脊髓が
次第々々に
前の
方に
曲つて
來た。
宗助は
兩手で
左の
足の
甲を
抱える
樣にして
下へ
卸した。
湖の
殿堂を
志す、
曲折算ふるに
暇なき、この
長い
廊下は、五
町右に
折れ、十
町左に
曲り、二つに
岐れ、三つに
裂けて、
次第々々に
奥深く、
早きは
瀬となり、
静なるは
淵となり、
奔るは
湍となり
すべて
如何なる
惡獸でも、
人間の
眼光が
鋭く
其面に
注がれて
居る
間は、
决して
危害を
加へるものでない、
其眼の
光が
次第々々に
衰へて、
頓て
茫乎とした
虚を
窺つて、
只一息に
飛掛るのが
常だから