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はふ
ふりがな文庫
“
投
(
はふ
)” の例文
百貫位の石を
投
(
はふ
)
ります。頭の上から百貫位の石が落て來ると隨分困る(笑聲起る)。四人位掛らなければ動かせない石を投るです。
元時代の蒙古人
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
このあひだの時に牢屋へでも
投
(
はふ
)
り込んでしまへばいゝものを、町内預けにして無事に歸してよこしたお奉行樣の氣が知れないねえ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「馬鹿にしちやいけねえ、金は小判といふものをうんと持つて居るよ。それを
投
(
はふ
)
るやうな強い相手が出て來ないだけのことさ」
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
矢張海浜院へ入つて居た患者のことだ。若い人と見えて、海岸へ行つて石を
投
(
はふ
)
つて遊んだ。すると間もなく血を吐いて死んだ。
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
冗談に紛らせたくらゐでは到底
面子
(
メンツ
)
(体面)の保てないのを知ると、いきなり陶は——墨をたつぷり含んでゐる筆を額めがけて
投
(
はふ
)
りつけた。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
▼ もっと見る
と言つて、平べつたい鼻に
皺
(
しわ
)
を寄せた。そして畳むかはりに、くる/\と丸めて押入の隅へ
投
(
はふ
)
りこんでしまつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
常子は呆れたやうに、
投
(
はふ
)
りつけるやうに言つて、そのまゝ静かに歩いた。かれ等の前には肥つた半白の父親と背の低い丸髷の母親とが並んで歩いて行つてゐた。
草みち
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
遊びに
耽
(
ふけ
)
れば是非思はぬいたづらもするもので、私は
此
(
この
)
日父の
言
(
いひ
)
つけを忘れてウツカリ桃の実を屋根へ
投
(
はふ
)
り挙げ、二階座敷へ近ごろいれた大版のガラス二枚
破
(
こは
)
し升た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
一生の重荷となれば、憎くもなり、
投
(
はふ
)
りだしたくなる方が道理で、これは『
細君
(
つま
)
』であるからの退屈ではない。花火的の情熱の
對手
(
あひて
)
なら、猶更その負擔と欠伸は早く來る。
こんな二人
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
といふが
疾
(
はや
)
いか、ケンドンに
投
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
した、
卷煙草
(
まきたばこ
)
の
火
(
ひ
)
は、ツツツと
橢圓形
(
だゑんけい
)
に
長
(
なが
)
く
中空
(
なかぞら
)
に
流星
(
りうせい
)
の
如
(
ごと
)
き
尾
(
を
)
を
引
(
ひ
)
いたが、
𤏋
(
ぱつ
)
と
火花
(
ひばな
)
が
散
(
ち
)
つて、
蒼
(
あを
)
くして
黒
(
くろ
)
き
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
へ
亂
(
みだ
)
れて
落
(
お
)
ちた。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
洒落
(
しやれ
)
た
御主人
(
ごしゆじん
)
で、
夫
(
それ
)
から
牡丹餅
(
ぼたもち
)
を
引出
(
ひきだ
)
して
終
(
しま
)
つて、生きた
蛙
(
かへる
)
を一
疋
(
ぴき
)
投
(
はふ
)
り
込
(
こ
)
んで
置
(
お
)
きました。
日本の小僧
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
我国で古く屍体を始末することはハフル(葬)と云うていたが、この
語
(
ことば
)
には、二つの意味が含まれていた。即ち第一は
投
(
はふ
)
るの意(投げ棄てる事)で第二は
屠
(
ほふ
)
るの意(截り断つ事)である。
本朝変態葬礼史
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
あすこに
投
(
はふ
)
り込んどきや、
鼠
(
ねずみ
)
の
餌
(
ゑ
)
になるか、飢ゑ死にするか、どつちみちおれの秘密がもれることはない。おれも、ブレツをお前たちに渡しや、もう仕事もないから、いゝ加減、見切りを
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
に十
円札
(
ゑんさつ
)
を
投
(
はふ
)
り
込
(
こ
)
み
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
して
拝
(
をが
)
んでゐた
時
(
とき
)
である。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
そして今しがた皆で食卓につく際にも、信徳は母親のために火絶えを用心して、石炭を沢山
投
(
はふ
)
りこんで置いた、その事を今云つたのである。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
それは、サク/\と土を掘つて、大地へ
投
(
はふ
)
りあげる音でした、が、馴れない仕事に疲れたものか、時々は手を休めては、息を吐いて居ります。
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう一里も前に行つて居るといふ有様、若い者などがよく村の
中央
(
まんなか
)
で
邂逅
(
でつくは
)
して、石などを
投
(
はふ
)
りつけて
遣
(
や
)
る事が
幾度
(
いくたび
)
もある相だすが、中々一人や二人では
敵
(
かな
)
はない。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
勉強
(
べんきやう
)
は
出來
(
でき
)
ず、
稼業
(
かげふ
)
の
仕事
(
しごと
)
は
捗取
(
はかど
)
らず、
持餘
(
もてあま
)
した
身體
(
からだ
)
を
春寒
(
はるさむ
)
の
炬燵
(
こたつ
)
へ
投
(
はふ
)
り
込
(
こ
)
んで、
引被
(
ひつかつ
)
いでぞ
居
(
ゐ
)
たりけるが、
時々
(
とき/″\
)
掛蒲團
(
かけぶとん
)
の
襟
(
えり
)
から
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
して、あゝ、うゝ、と
歎息
(
ためいき
)
して、ふう
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
直
(
すぐ
)
に
風呂敷
(
ふろしき
)
の結び目がずつと
抜
(
ぬ
)
けてしまつて、
後
(
うしろ
)
へ荷物を
投
(
はふ
)
り出し、
直
(
すぐ
)
と
匕首
(
あひくち
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
追剥
(
おひはぎ
)
と
闘
(
たゝか
)
ふくらゐでなければ、
迚
(
とて
)
も
薬屋
(
くすりや
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ、
私
(
わたし
)
が
行
(
ゆ
)
けば大丈夫でございます
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大分たつてから一度
薫
(
かをる
)
に勧められて、父や母に内密で、そつと
旧
(
もと
)
の古巣へ行つて見た。そして勝手口から台所へあがつて見た。竹の皮や皿小鉢の散乱した食卓が
投
(
はふ
)
り出されてあつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかして時間的に言えば
投
(
はふ
)
るが先で
屠
(
ほふ
)
るが後なのである。
本朝変態葬礼史
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
何といふ
横着
(
わうちやく
)
さ、半之丞が
呆
(
あき
)
れて默つて居ると、若い釆女は手文庫の中から二十五兩包を二つ出してポンと
投
(
はふ
)
りました。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
投
(
はふ
)
つたまゝにして置いた
万年青
(
おもと
)
の鉢だの、
丈
(
せい
)
の低い痩せこけた芭蕉だの、ボケだの、薔薇だのが見えた。時には明るい日影が射したり、雨がしめやかに降つてゐたりした。
紅葉山人訪問記
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「今度一つ、
投
(
はふ
)
り込んで行くところを、うまく
捕
(
つか
)
まへようかな。」
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
鳥冠
(
とりかぶと
)
の根は
豫
(
かね
)
て庭から掘つて用意して居た筈だ。下女のお大がお勝手をあけると、お前はそれを
鍋
(
なべ
)
に
投
(
はふ
)
り込み、自分が一番先に死ぬ氣で二杯も重ねた。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
子供等は後には犬を見ると石を
投
(
はふ
)
つた。
中秋の頃
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
平次はさう言つて、
懷
(
ふところ
)
の中の
小錢
(
こぜに
)
を鳴らすのです。それを
投
(
はふ
)
らずに濟んだのが、反つて嬉しさうでもあります。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その刀は、私の物でございます。若い時分に持つて歩いた品ですが、今では入用もないので、納戸の
箪笥
(
たんす
)
に
投
(
はふ
)
り込んで居りました。まさか、それで伜を——」
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
七坪か八坪の小さい家、コジあけた雨戸は庭に
投
(
はふ
)
り出して、多勢の者が立ち騷いでをります。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人の目の屆かぬ折を覗つてあの松の枝に
攀
(
よ
)
ぢ登り、主人が松の下で、月を眺め乍ら、苦吟をして居る隙を見計らつて、投げ
罠
(
わな
)
を
投
(
はふ
)
り、主人の首に絡んで松の大枝に吊り上げ
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
外へ
投
(
はふ
)
り出して、開けて置いた木戸から入つて、後を締めて置きさへすれば宜いわけだから
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香爐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
到頭お吉を
納戸
(
なんど
)
に
投
(
はふ
)
り込んで、利助が鵜の目鷹の目で見張ることになつてしまひました。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「臼を持つて、窓から乘出し加減に、左の方へ
投
(
はふ
)
れば、出來ないこともありませんね」
銭形平次捕物控:260 女臼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「隱密なら、御用人の大垣さんへ、あんな底を割つた結び文などを
投
(
はふ
)
り込む筈はない」
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
沖釣に行つて捨てゝ來る
術
(
て
)
もあり、家の中で
寵
(
かまど
)
の下か風呂場の
鐵砲
(
てつぱう
)
に
投
(
はふ
)
り込む
術
(
て
)
もある
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人の
怨
(
うらみ
)
も隨分買つてゐるわけで、此間からたちの惡い惡戯が引つ切りなしだ、塀や羽目は落書きで一パイだし、石を
投
(
はふ
)
る者、店先へ泥を飛ばす者、出入の
鳶頭
(
かしら
)
の半次が見張つた位ぢや
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「唯今、お勝手口へこんなものを
投
(
はふ
)
り込んで行つた者が御座います」
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この邊は場末で、ろくな下水もなく井戸に沈める手もあるが、水を呑む者は不氣味だし、流れなどに
投
(
はふ
)
り込むとすぐ見付かる。細くて小さい剃刀なら大地に突つ立てて隱すのが一番手輕ぢやないか」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの、今、こんなものを、お勝手へ
投
(
はふ
)
り込んだ人がありますが」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「どうした、今頃外へ
投
(
はふ
)
り出されて?」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その矢を窓の中へ
投
(
はふ
)
り込んでくれ」
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“投”の意味
《名詞》
(トウ) 野球で、投手力。
《動詞》
なげる。
(課題などを)提起する。
投入する。
投獄する。
光などを投げかける。
放棄する。
資力・労力などをつぎ込む。
薬などを投与する。
身を入れる。身を置く。
乗る。
投宿する。
投降する。
一致する。合う。
(出典:Wiktionary)
投
常用漢字
小3
部首:⼿
7画
“投”を含む語句
投込
投出
打投
巴投
背負投
投網
投遣
投函
身投
投錨
投機
投身
投懸
間投詞
投棄
投付
投入
投擲
投捨
投下
...