なぐ)” の例文
宗助そうすけこの可憐かれん自白じはくなぐさめていか分別ふんべつあまつて當惑たうわくしてゐたうちにも、御米およねたいしてはなはどくだといふおもひ非常ひじやうたかまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのさまれに遠慮ゑんりよらず、やなときやといふがよし、れを他人たにんをとこおもはず母樣はヽさまどうやうあまたまへとやさしくなぐさめて日毎ひごとかよへば
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれど小供こどもこそまこと審判官しんぱんくわんで、小供こどもにはたゞ變物かはりもの一人ひとりとしかえない。嬲物なぶりものにしてなぐさむに丁度ちやうどをとことしかえない。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかし母の病気全快の上は又再遊さいゆうの出来るようにして遣るからと、なぐさめるように云うのは、狂言がうまく行われたと心中得意になって居るに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
したりしと空頼そらだのみに心をなぐさめ終に娘お文が孝心を立る事に兩親ふたおやとも得心なせばお文はよろこび一まづ安堵あんどはしたものゝ元より堅氣かたぎぺんの十兵衞なれば子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかはあれ泣菫子が為めには、こもまたあだなる花の開落にあらずして、人生迷悟の境なりき。花ごよみと品さだめとの軽びたるこころなぐさならで、天啓に親しむ機縁なりき。
『二十五絃』を読む (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
やさしくつて、りしもあれかぜひとしきり、無慙むざんにもはかなくなつた幾萬いくまんひとたちの、けし黒髮くろかみかと、やなぎげし心臟しんざうかと、つるの、ちうにさまよふとゆるのを、なぐさむるやうに
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其内そのうちにはまた屹度きつとことがあつてよ。さう/\わることばかりつゞくものぢやないから」とをつとなぐさめるやうことがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
搜索さがし出して修羅しゆら靈魂みたまなぐさめん南無阿彌陀佛/\とくびいだきしめしばらく涙にれ居たり夫より回向院ゑかうゐんの下屋敷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
心配しんぱいしないでまじなひでもしてつがいさとなぐさめるやうな朋輩ほうばい口振くちぶりりきちやんとちがつてわたしには技倆うでいからね、一人ひとりでもにがしては殘念ざんねんさ、わたしのやうなうんるいものにはまじなひなにきはしない
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
徒然つれづれなぐさに愛の一曲ひとふし
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
御米およねはうから、すゝんでおとうと讒訴ざんそでもするやうだと、しかるにしろ、なぐさめるにしろ、かへつて始末しまついとかんがへるときもあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
して田舍者ゐなかものと笑はれなと心の有たけかき口説くどきまた夫十兵衞に打向ひ隨分ずゐぶん道中だうちうを用心して濕氣しつけに當り給はぬ樣娘の事は呉々もよきやうにはからひ給へと懇切ねんごろに言なぐさめ互ひに名殘なごり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)