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影法師
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かげぼうし
ふりがな文庫
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影法師
(
かげぼうし
)” の例文
すると、金色の骨ぐみは、まったくかくれてしまって、そこには、まっ黒な三つの
影法師
(
かげぼうし
)
のようなものが、立っているばかりでした。
怪奇四十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「白鳥の歌」の十四曲中、「アトラス」「都会」「セレナード」「
憩
(
いこ
)
いの地」「海辺にて」「
影法師
(
かげぼうし
)
」などはわけても珠玉的である。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
が、どちらが
正体
(
しょうたい
)
でどちらが
影法師
(
かげぼうし
)
だか、その辺の際どい消息になると、まだ俊助にははっきりと見定めをつける事がむずかしかった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤道直下
(
せきどうちょっか
)
だから正午には太陽は頭のま上にあるのだ。筏の上に立つと
影法師
(
かげぼうし
)
が見えない。よく探して見れば、影法師は足の下にあるのだ。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さっきのようなことがたびたび続いたら——と、彼女はうしろの壁に映る自分の痩せた
影法師
(
かげぼうし
)
を思わず見返らねばならなかった。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
「何を言ってるんだい。何がばかなことなんだい。
影法師
(
かげぼうし
)
を踊らせようとするのが、何がばかなことなんだい。おもしろいことじゃないか」
影法師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
と
袈裟
(
けさ
)
をはずして
釘
(
くぎ
)
にかけた、
障子
(
しょうじ
)
に
緋桃
(
ひもも
)
の
影法師
(
かげぼうし
)
。
今物語
(
いまものがたり
)
の
朱
(
しゅ
)
にも似て、
破目
(
やれめ
)
を
暖
(
あたたか
)
く燃ゆる
状
(
さま
)
、
法衣
(
ころも
)
をなぶる
風情
(
ふぜい
)
である。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黄金色
(
きんいろ
)
のお日さまの光が、とうもろこしの
影法師
(
かげぼうし
)
を二千六百寸も遠くへ投げ出すころからさっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、夕方は
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
何度も、何度も、墨江は更科の二階の
燈
(
ひ
)
を振り
仰
(
あお
)
いだ。そこの障子には、大勢の
影法師
(
かげぼうし
)
が
映
(
さ
)
していて、時々、笑いくずれる声が往来まで流れてくる。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この自分のほうを目ざしてやって来る大きな
影法師
(
かげぼうし
)
が人間であるはずがなかった——わたしのまだ知らないなにかのけものか、またはおそろしい大きな夜鳥か
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それから、じぶんの
影法師
(
かげぼうし
)
も、じぶんのするとおりに、一しょにおどり上ったり、走ったりしてついて来ました。男の子にはそれがゆかいでたまりませんでした。
岡の家
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
部屋
(
へや
)
の中は、
障子
(
しょうじ
)
も、
壁
(
かべ
)
も、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
も、ちがいだなも、昼間のように明るくなっていた。おばあさまの
影法師
(
かげぼうし
)
が大きくそれに
映
(
うつ
)
って、
怪物
(
ばけもの
)
か何かのように動いていた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
月夜になるとな、蟹は馬鹿じゃせに、わがの
影法師
(
かげぼうし
)
をお
化
(
ば
)
けかと思ってびっくりして、やせるんじゃ。やみ夜になると、影法師がうつらんさかい、安心してみがつくんじゃど。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
自分の意気地なさ、だらしなさ、情けなさが身にしみ、自分の
影法師
(
かげぼうし
)
まで、いやになって、なんにも
取縋
(
とりすが
)
るものがないのです。星影あわき太平洋、意地のわるい黒い海だった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
田圃の中の俗に言う竹屋敷に卍の富五郎が女房と一緒に潜んでいることを嗅ぎ出したのが浅草馬道の目明し
影法師
(
かげぼうし
)
の三吉、昨夜子の刻から丑へかけて、足拵えも厳重に同勢七人
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうだ、ぼくの
影法師
(
かげぼうし
)
、おまえはそんなふうにして、
一働
(
ひとはたら
)
きしてきてもらいたいものだ。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
車の
動揺
(
どうよう
)
のために、ともすると、よろけそうになるのを、じっとふみこらえて、ランプを
片
(
かた
)
すみにさしつけると、大きな
大入道
(
おおにゅうどう
)
のような
影法師
(
かげぼうし
)
がうしろの
板
(
いた
)
かべにいっぱいうつった。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
若者の
背後
(
はいご
)
には何ものにもまさって黒い
彼
(
かれ
)
の
影法師
(
かげぼうし
)
が、
悪魔
(
あくま
)
のように不気味な
輪廓
(
りんかく
)
をくっきり芝生の上に
画
(
えが
)
いていた。老人は若者の背後にまわってそのかげのはしを両足でしっかりふまえた。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
花ならば
海棠
(
かいどう
)
かと思わるる幹を
背
(
せ
)
に、よそよそしくも月の光りを忍んで
朦朧
(
もうろう
)
たる
影法師
(
かげぼうし
)
がいた。あれかと思う意識さえ、
確
(
しか
)
とは心にうつらぬ間に、黒いものは花の影を踏み
砕
(
くだ
)
いて右へ切れた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すくみ行くや馬上に氷る
影法師
(
かげぼうし
)
芭蕉
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ロマンチックな蝋燭の光が、その静脈から流れ出したばかりの血の様にも、ドス黒い色をした垂絹の表に、我々七人の異様に大きな
影法師
(
かげぼうし
)
を投げていた。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
自分たちの
墨絵
(
すみえ
)
の
影法師
(
かげぼうし
)
が、
塀
(
へい
)
からぬけ出して踊りはねるというんですから、待ちきれませんでした。翌朝は早くから眼をさまして、皆誘い合わせました。
影法師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
日が強く
照
(
て
)
るときは岩は
乾
(
かわ
)
いてまっ白に見え、たて
横
(
よこ
)
に走ったひび
割
(
わ
)
れもあり、大きな
帽子
(
ぼうし
)
を
冠
(
かむ
)
ってその上をうつむいて歩くなら、
影法師
(
かげぼうし
)
は黒く
落
(
お
)
ちましたし
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
さもなければ
雑
(
ざっ
)
とうの
巷
(
ちまた
)
が安全だった。そこでは
影法師
(
かげぼうし
)
のことなんか誰も注意していないから。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あなたはおそらく、ゆめにもわたしが、このような安らかなきょうぐうにいようと、お考えになったことはありますまいな。あなた、ごじぶんのむかしの
影法師
(
かげぼうし
)
をお見忘れですか。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夜はいよいよ暗かったが、この黒い
影法師
(
かげぼうし
)
は星明かりにはっきりと見えた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
小鳥が鳥もちからはなれようとするように、
若者
(
わかもの
)
は手足をばたばたやって
努力
(
どりょく
)
した。そして満身に鉄のような力をこめて、やっと一足歩いたとき、若者はその
影法師
(
かげぼうし
)
からはなれることができた。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
私は黒い
影法師
(
かげぼうし
)
のようなKに向って、何か用かと聞き返しました。Kは大した用でもない、ただもう寝たか、まだ起きているかと思って、便所へ行ったついでに聞いてみただけだと答えました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
放して
退
(
すさ
)
ると、別に
塀際
(
へいぎわ
)
に、
犇々
(
ひしひし
)
と材木の
筋
(
すじ
)
が立って並ぶ中に、
朧々
(
おぼろおぼろ
)
とものこそあれ、学士は自分の影だろうと思ったが、月は無し、
且
(
か
)
つ我が足は
地
(
つち
)
に釘づけになってるのにも
係
(
かかわ
)
らず、
影法師
(
かげぼうし
)
は
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
影法師
(
かげぼうし
)
かもしれなかった。玄関の電燈の下を誰かが通って、その影が映ったのではないかと、大急ぎで曲がり角からのぞいてみたが、人のけはいはない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
影法師が一晩のうちに
塀
(
へい
)
いっぱいに大きくなるなんて、そんなことがあるものか。その男が塀をまっ黒に塗りつぶして、皆の
影法師
(
かげぼうし
)
をなくしてしまったのだ。
影法師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「しゅ、
戻
(
もど
)
れったら、しゅ、」雪童子がはねあがるようにして
叱
(
しか
)
りましたら、いままで雪にくっきり落ちていた雪童子の
影法師
(
かげぼうし
)
は、ぎらっと白いひかりに変り
水仙月の四日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
文六ちゃんの屋敷の外囲いになっている
槙
(
まき
)
の
生垣
(
いけがき
)
のところに来ました。
背
(
せ
)
戸口
(
どぐち
)
の方の小さい木戸をあけて中にはいりながら、文六ちゃんは、じぶんの小さい
影法師
(
かげぼうし
)
を見てふと、ある心配を感じました。
狐
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
眼を
斜
(
なな
)
めにするとやっと二人の
影法師
(
かげぼうし
)
が見えるくらいに近づいた。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あなたの
影法師
(
かげぼうし
)
を、よく見てごらんなさい」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その横あるきと、底の黒い三つの
影法師
(
かげぼうし
)
が、合せて六つ
踊
(
おど
)
るようにして、やまなしの円い影を追いました。
やまなし
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
顔も黒い
覆面
(
ふくめん
)
で、かくしていた。暗闇の中へ
影法師
(
かげぼうし
)
みたいなやつが、ヌーッとはいってきたんだよ。
夜光人間
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
兵十の
影法師
(
かげぼうし
)
をふみふみいきました。
ごん狐
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
お日さまの
黄金色
(
きんいろ
)
の光は、うしろの桃の木の
影法師
(
かげぼうし
)
を三千寸も遠くまで投げ出し、空はまっ青にひかりましたが、誰もカイロ団に仕事を
頼
(
たの
)
みに来ませんでした。
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ただ、ちょっと気になるのは、廊下をさまよい、トラックのまわりをうろついたという、例の怪しい
影法師
(
かげぼうし
)
であったが、それもこうして車が走り出してしまえばなんの事もない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
タネリは、青い
影法師
(
かげぼうし
)
といっしょに、ふらふらそれを追いました。かたくりの花は、その足もとで、たびたびゆらゆら燃えましたし、空はぐらぐらゆれました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
三十分あまりしんぼうしてみはっていますと、警官が通りすぎるすきを待っていたように、片桐さんの門の中から黒い
影法師
(
かげぼうし
)
が四人、ひとかたまりになって、いそぎ足に出てきました。
仮面の恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その秋風の
昏倒
(
こんとう
)
の中で私は私の
錫
(
すず
)
いろの
影法師
(
かげぼうし
)
にずいぶん
馬鹿
(
ばか
)
ていねいな
別
(
わか
)
れの
挨拶
(
あいさつ
)
をやっていました。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
春のある夕方のこと、
須利耶
(
すりや
)
さまは
雁
(
かり
)
から来たお子さまをつれて、町を通って
参
(
まい
)
られました。
葡萄
(
ぶどう
)
いろの
重
(
おも
)
い雲の下を、
影法師
(
かげぼうし
)
の
蝙蝠
(
こうもり
)
がひらひらと飛んで
過
(
す
)
ぎました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
(ぼくは
立派
(
りっぱ
)
な
機関車
(
きかんしゃ
)
だ。ここは
勾配
(
こうばい
)
だから
速
(
はや
)
いぞ。ぼくはいまその
電燈
(
でんとう
)
を通り
越
(
こ
)
す。そうら、こんどはぼくの
影法師
(
かげぼうし
)
はコンパスだ。あんなにくるっとまわって、前の方へ来た)
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
殊
(
こと
)
に一番いいことは、
最上等
(
さいじょうとう
)
の外国犬が、
向
(
むこ
)
うから黒い
影法師
(
かげぼうし
)
と
一緒
(
いっしょ
)
に、
一目散
(
いちもくさん
)
に走って来たことでした。
実
(
じつ
)
にそれはロバートとでも名の
附
(
つ
)
きそうなもじゃもじゃした大きな犬でした。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そうそう、どちらもまだ
挨拶
(
あいさつ
)
を忘れていた。ぼくからさきにやろう。いいか、いや今晩は、野はらには小さく切った
影法師
(
かげぼうし
)
がばら
播
(
ま
)
きですね、と。ぼくのあいさつはこうだ。わかるかい。
かしわばやしの夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
悪い事をしたものなら頭の上に黒い
影法師
(
かげぼうし
)
が口をあいているからすぐわかる。お星さま方。こちらへお
出
(
い
)
で下さい。王の所へご案内申しあげましょう。おい、ひとで。あかりをともせ。こら、くじら。
双子の星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
みんなの
影法師
(
かげぼうし
)
が草にまっ黒に落ちました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
“影法師”の意味
《名詞》
光の遮蔽により壁や地上などに写し出された影。
(出典:Wiktionary)
影
常用漢字
中学
部首:⼺
15画
法
常用漢字
小4
部首:⽔
8画
師
常用漢字
小5
部首:⼱
10画
“影法師”で始まる語句
影法師越