だん)” の例文
旧字:
地質は多分塩瀬しおぜであろう、表は上の方へ紅地に白く八重梅やえうめもんを抜き、下の方にから美人が高楼にして琴をだんじている図がある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それで、うそがさえずっていたので、秀公ひでこうが、ことだんじているといったんだそうだ。ぼく、なんのことかわからなかったのさ。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こん夜も、がけにのぞんだ高床たかゆかひさしのうちには、ポチと小さい明りがすだれ越しに見え、室にはうつつなく平家をだんじている一法師の影がある。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きまくだん×(16)あらしなか生命せいめいしてたゝかふおまへたちおれたちの前衛ぜんゑい、あゝ×××××(17)
君子の音は温柔おんじゅうにしてちゅうにおり、生育の気を養うものでなければならぬ。昔しゅん五絃琴ごげんきんだんじて南風の詩を作った。南風のくんずるやもって我が民のいかりを解くべし。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
涙をソッと押さえてJOAKのスタディオにだんずるのは、奇しい運命の下に活躍した紅子べにこだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
新にもくする者は必ずかんだんし、新に浴する者は必ず衣を振うとは、身を重んずるのいいなり。我が身、金玉なるがゆえに、いやしくも瑕瑾かきんを生ずべからず、汚穢おわいに近接すべからず。
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
装填そうてんし照準を定め牽索ひきなわを張り発射しまた装填するまで、射的場の精確さらに実戦の熱を加えて、火災は起こらんとするに消し、だんは命ぜざるに運び、死亡負傷はたちまち運び去り
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
だんじほれたるイイダ姫は、暫く心附かでありしが、かの笛の音ふと耳に入りぬと覚しくにわかにしらべをみだりて、楽器のはこくだくるやうなる音をせさせ、座を起ちたるおもては、常よりあおかりき。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
するとこれはまた意外いがいのことに、法師がただひとり、安徳天皇あんとくてんのうのみささぎの前にたんして、われを忘れたように、一心いっしんふらんに、びわをだんじ、だんうら合戦かっせんきょくぎんじているのでありました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ひばりのダムダムだんがいきなりそらに飛びだせば
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ついはいってみるになって、ひさしからおくへはいると、うつくしいおじょうさんが、ことだんじていた。ちょうど、そのときいた、美妙びみょうことおもす。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
序戦の街亭がいていえきには、自身陽平関にまで迫ったが、孔明は楼上に琴をだんじて、彼の疑い退しりぞくを見るや、風の如く漢中へ去ってしまい、両々相布陣して
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だんは弾と空中に相うって爆発し、海は間断なく水柱をけ上げて煮えかえらんとす。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
だんじほれたるイイダ姫は、しばらく心づかでありしが、かの笛の音ふと耳に入りぬと覚しくにわかにしらべを乱りて、楽器のはこも砕くるようなる音をせさせ、座をたちたるおもては、常より蒼かりき。
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その声につれてだんずるびわの音は、また縦横じゅうおうにつき進む軍船ぐんせんの音、のとびかうひびき、甲胄かっちゅうの音、つるぎのり、軍勢ぐんぜいのわめき声、大浪おおなみのうなり、だんうら合戦かっせんそのままのありさまをあらわしました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
どくガスだん
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
むかしあるおひめさまが、悪者わるもののためにさらわれていって、おきしまで、一しょうひとりさびしくことだんじておくると、んでから、そのたましいがうそになったというのだよ。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いとを調べ、を問いながら、小首をかたげて、細い眼すじをなお細くしていたが、やがて一だん二弾、序ノばちかろく。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平家へいけ物語ものがたり——だんうらだんじてください。」
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
あねひめは、この景色けしきをあかずながめていられました。そして、ってきた竪琴たてごとだんじてひとこころなぐさめていました。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
宴は、けてゆき、この夜も、後醍醐はおそばの廉子やすこが案じるほど、いくたびか大杯をかたむけられた。そして、やがては御自身、琵琶を抱いて、だんじられた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きょう、秀公ひでこうといっしょにかえったら、鳥屋とりやまえで、いろいろのとりいているのをて、ああ、うそが、ことだんじているといったんだよ。」とはなしました。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆうは、小侍を顧みて、一面の筑紫琴つくしごとをかりうけ、月明りのす月の間から、琴をだんじた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは、私のだんじる琵琶のわざが足らないかと思ってひたいに汗をして語りましたが、やはりそうではありません。芸味はすべて聴くもの聴かす者が一体になった時にしんに入ります。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのかすかな音にうなずいて、覚一はふたたび、忠度都落ちの一節をだんじ直した。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに紹由は、次の間の床わきに、一面の琵琶びわが立てかけてあるのを見つけ、吉野に琵琶を所望した。彼女のだんじる一曲を聞いて、それをしおに、今夜の散会としようではないかと提議する。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だん、二弾、げん掻鳴かきならして。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嘈々切々 錯雑さくざつだんずれば
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)