平伏へいふく)” の例文
繩目なはめまゝにて跑踞かしこまる同人妻せん與惣次もつゝしん平伏へいふくなし何れも遠國片田舍の者始めて天下の決斷所けつだんしよへ召出されあをめの大砂利おほじやり敷詰しきつめ雨覆あめおひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
といったまま、また祐筆ゆうひつにむかってなにか文言ぶんげんをさずけている。と、福島正則ふくしままさのり和田呂宋兵衛わだるそんべえ蚕婆かいこばばあ修道士イルマンを連れてはるかに平伏へいふくさせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幼君えうくんたゞちに御披見ごひけんありて、「こは一段いちだん思附おもひつき面白おもしろ取合とりあはせなり。如何いかなんぢこゝろにもこれにてしとおもへるか」と御尋おたづねに、はツと平伏へいふくして
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
造麻呂 (次第次第に平伏へいふくして行く)……それは、それは……ちっとも存じ上げませんでした。……何と云う勿体ないことでござりましょう。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
あまがえるはすっかりおそれ入って、ふるえて、すきとおる位青くなって、その辺に平伏へいふくいたしました。そこでとのさまがえるがおごそかにいました。
カイロ団長 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あやしげなようすをした、せいひくうらなしゃは、おうさまのあしもとに平伏へいふくしていましたが、このとき、そのくろい二つのばかりがきらきらとするかおげました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
六兵衛はとんまですからあまりおどろきませんでしたが、それでもおどおどしながら殿様の御前ごぜん平伏へいふくしました。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
水戸黄門や乃木将軍の浪花節で、あわれな善人が助けられ、にくい悪人が「ヘヘエ」と平伏へいふくするところなども、何かゾクゾクとするどく心を打つものがある。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
平民と同格なるはすなわち下落ならんといえども、旧主人なる華族かぞくと同席して平伏へいふくせざるは昇進しょうしんなり。下落をきらわば平民に遠ざかるべし、これをむる者なし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私は先生の咽喉のどを締めあげた腕を解き、その場に平伏へいふくして非礼をびるしかなかった。そしてその日、私は私の両の腕を先生に買取って貰ってから、そこを辞した。
大脳手術 (新字新仮名) / 海野十三(著)
口子くちこはその雨の中をもいとわず、皇后のおへやの前のびたへ平伏へいふくしますと、皇后は、つんとして、いきなり後ろの戸口の方へ立って行っておしまいになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
緩端えんばた平伏へいふくしたる齋藤茂頼、齡七十に近けれども、猶ほ矍鑠くわくしやくとしてすこやかなる老武者おいむしや、右の鬢先より頬をかすめたる向疵むかふきずに、栗毛くりげ琵琶びはもゝ叩いて物語りし昔の武功忍ばれ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
すると武兵衛は驚き周章あわてて絵馬堂から大地へ飛び下りたが、これもそのまま平伏へいふくして
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
およびもつかんこと御座ござります、勿體もつたいないことで御座ござります。』と權藏ごんざう平伏へいふくしました
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
カピはおどおどした様子で、平伏へいふくした。わたしはかれのかたっぽの耳から血の出ているのを見た。わたしはそれで様子をさとった。ゼルビノはこの憲兵けんぺいたたかいをしかけてきたのである。
むこうに、碁盤ごばんを前に、これもお奉行所で見たことのある、下ぶくれのした豊かな顔がある。言われたとおりあとを閉めて、へへッ! と、もう一度平伏へいふくした時、大岡様が言い出していた。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いくつもいくつも曲がったり折れたり五〜六段の段を下ったり上ったり向こうから来る人が自分が下だとなると廊下に片よって座って平伏へいふくしてしまって私どもが通ってしまうまで頭も上げません。
私の思い出 (新字新仮名) / 柳原白蓮(著)
役人はその前に平伏へいふくしながらじぶん背後うしろにおる僧侶に指をさした。
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
爺さんはその威光いこうに打たれて、平伏へいふくしてしまいました。
天狗の鼻 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
きり/\と卷上まきあぐれば御城代堀田相摸守殿平伏へいふくいたされ少しかしらを上て恐れ乍ら今般如何いかゞなる事ゆゑ御上坂ごじやうはん町奉行へ御屆おんとゞけもなく理不盡りふじん御紋付ごもんつきの御幕を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頭に半白はんぱくしもいただいた帯刀は、胴丸の火鉢のふちを撫でまわしながら、招かんばかりに虎松に声をかけた。——虎松はじっと一礼して、二、三尺近よっては平伏へいふくをした。
くろがね天狗 (新字新仮名) / 海野十三(著)
また足軽は一般に上等士族に対して、下座げざとて、雨中うちゅう、往来に行逢ゆきあうとき下駄げたいで路傍ろぼう平伏へいふくするの法あり。足軽以上小役人格の者にても、大臣にえば下座げざ平伏へいふくを法とす。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
伊豆守幸豐君いづのかみゆきとよぎみ御手おんてひざたまひ、かうべ得上えあげで平伏へいふくせる何某なにがしをきつと
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蠍が沢山たくさんの手をついて平伏へいふくして薬をのみそれから丁寧ていねいにお辞儀じぎをします。
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
と、やりぶすまにひるまぬ八風斎も、うたれたように平伏へいふくした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せし天一樣は將軍樣の若君樣わかぎみさまなりしかさればこそ急にみすの中へ入せられ御住持樣ぢうじさまうちかはり御主人の樣に何事も兩手りやうてつい平伏へいふくなさると下男共は此等の事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
前刻ぜんこくより無言むごんにて平伏へいふくしたる恩田杢おんだもく此時このときはじめてかうべもた
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とのみいって、半助は平伏へいふくしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くじらが頭をかいて平伏へいふくしました。
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
仔細しさいを物語って、平伏へいふくした。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)