左側ひだりがは)” の例文
もん左側ひだりがはに、井戸ゐど一個ひとつ飮水のみみづではないので、きはめてしほからいが、そこあさい、かゞんでざぶ/″\、さるぼうでらるゝ。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夜具のなかから両手をして、大きく左右にひらくと、左側ひだりがはに男が女をつてゐる絵があつた。彼はすぐほかページを移した。其所そこには学校騒動が大きな活字で出てゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたし左側ひだりがはにゐる中根なかね等卒とうそつはもう一時間じかんまへから半分はんぶんくちをダラリとけて、ねむつたままあるいてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
出てふら/\本町二丁目へ來懸きかゝりし所に左側ひだりがはに肥前屋と書たる暖簾のれんかゝり居たりしかば是も肥前ひぜんの者ならん彼の小猿めもおなじ國なりしが今は如何いかゞ成しや我は元同國片村の名主の腹より出たる者なるが此體に成果たり併し此間迄は三百兩の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
階下のらう左側ひだりがはしつから
二人ふたりまたてらからにして連立つれだつてた。山門さんもんとほりをほゞちやうほどおくると、左側ひだりがは蓮池はすいけがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御緩ごゆつくさまで、』と左側ひだりがはの、たゝみ五十畳ごじふでふばかりの、だゞつぴろ帳場ちやうば、……真中まんなかおほきつた、自在留じざいとめの、ト尾鰭をひれねたこひかげから、でつぷりふとつたあかがほして亭主ていしゆふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけうち横丁よこちやうあたつて、一番いちばんおく左側ひだりがはで、すぐの崖下がけしただから、多少たせう陰氣いんきではあるが、そのかはとほりからはもつとへだゝつてゐるだけに、まあ幾分いくぶん閑靜かんせいだらうとふので、細君さいくん相談さうだんうへ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
丁度ちやうど左側ひだりがはを、二十はたちばかりのいろしろをとことほつた。旦那だんなやゝにごつたこゑ調子高てうしだか
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
下女げぢよしまいろ判然はつきりうつらない夜具やぐなかに、土龍もぐらごとかたまつててゐた。今度こんど左側ひだりがはの六でふのぞいた。がらんとしてさみしいなかに、れい鏡臺きやうだいいてあつて、かゞみおもて夜中よなかだけすごこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かたかたく、あしがふるへて、その左側ひだりがはうち水口みづくちへ。……
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
青山あをやま御所のすこし手前迄ると、電車の左側ひだりがはちゝあに綱曳つなびきいそがしてとほつた。挨拶あいさつをするひまもないうちにちがつたから、向ふは元より気がかずにぎ去つた。代助はつぎの停留所でりた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)