岩角いはかど)” の例文
岩角いはかどまつまつにはふぢき、巌膚いははだには、つゝじ、山吹やまぶきちりばめて、御仏みほとけ紫摩黄金しまわうごんおにした、またそう袈裟けさ、また将軍しやうぐん緋縅ひおどしごとく、ちら/\とみづうつつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこへ追つて来たおくまは岩に片足をかけてねらひさだめてきがねを引くとズドーンとこだましてつゝをはなれた弾丸たま旅人たびゞとかみをかすつてむかうの岩角いはかどにポーンとあたりました。
かまのやうな新月しんげつ物凄ものすご下界げかいてらしてたが、勿論もちろんみち案内しるべとなるほどあかるくはない、くわふるに此邊このへんみちいよ/\けわしく、とがつた岩角いはかどわだかま無限むげん行方ゆくてよこたはつてるので
『でもここいらの岩角いはかどちつけられちや、なんぼでも生命いのちいにきまつてらあ。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
たすくる人はなくとも雪さへきえなば木根きのね岩角いはかどとりつきてなりと宿へかへらんと、雪のきゆるをのみまちわび幾日といふ日さへわすれ虚々うか/\くらししが、熊は飼犬かひいぬのやうになりてはじめて人間のたふとき事を
祕密の山に常夜のともしびなければ、あなたの木の根、こなたの岩角いはかどに膝を打ち足をくじきて、仆れんとする身をやうやさゝへ、主從手に手を取り合ひて、顏見合す毎に彌増いやまさる太息の數、春の山風身に染みて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
雪のひだ眼もすさまじくなりにけりあまそそり立つくろ岩角いはかど
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一の岩角いはかど蹲居うづくまつてしきりと吐息といきもらしてました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
碎けて深き海原うなばら岩角いはかどに立つ若鷲は
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ば、苦桃にかもゝ岩角いはかどこし打懸うちかけ、ちん
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
岩角いはかど木株こかぶ細流せゝらぎ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かざしりぬ岩角いはかど
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
またばかり大蛇おろちうねるやうなさかを、山懐やまふところ突当つきあたつて岩角いはかどまがつて、めぐつてまゐつたが此処こゝのことであまりのみちぢやつたから、参謀本部さんぼうほんぶ絵図面ゑづめんひらいてました。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
目も澄むや、岩角いはかどや、よく開きて
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かぜは……昼間ひるまあをんだやまかひからおこつて、さはつてえだ岩角いはかど谷間たにあひに、しろくものちぎれてとりとまるやうにえたのはゆきのこつたのか、……とおもふほど横面よこづらけづつてつめたかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)