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天辺
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てっぺん
ふりがな文庫
“
天辺
(
てっぺん
)” の例文
旧字:
天邊
頭の
天辺
(
てっぺん
)
から足の爪先まで、極端な派手ずくめの低級趣味で男を引き付けた。その女達特有の毒悪な安香水は千束町香水と呼ばれた。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「いや、こんなところじゃない、わしは、ずっと前から思いついていたのじゃ、ほれ、大菩薩峠の
天辺
(
てっぺん
)
へ持って行って立てるつもりだ」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
実際この学生は、今し方まで地上にいたかと思うと、たちまちにして
胡桃
(
くるみ
)
の木の
天辺
(
てっぺん
)
に上っているようなことが
度々
(
たびたび
)
あったのだ。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
道筋の
藁葺
(
わらぶき
)
の家が並んでいる。それが皆申合せたように屋根という屋根に
天辺
(
てっぺん
)
に草を生やし、中には何か花の咲きかけているのもあった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
人待石に
憩
(
やす
)
んだ時、道中の慰みに、おのおの一芸を
仕
(
つかまつ
)
ろうと申合す。と、鮹が
真前
(
まっさき
)
にちょろちょろと松の木の
天辺
(
てっぺん
)
へ
這
(
は
)
って、脚をぶらりと
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
裏通りを
隔
(
へだ
)
てて向う側に高いゴシック式の教会の塔がある。その塔の灰色に空を刺す
天辺
(
てっぺん
)
でいつでも鐘が鳴る。日曜はことにはなはだしい。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頭の
天辺
(
てっぺん
)
の薄くなった亭主が、
銅
(
あか
)
の
延片
(
のべぎれ
)
を型へ入れて巻いている。すると、櫛巻の女房が小さい
焼鏝
(
やきごて
)
を焼いて、管の合せ目へ、ジューとハンダを流す。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
その上には美しい
羊歯
(
しだ
)
や
躑躅
(
つつじ
)
が一面に生え、
天辺
(
てっぺん
)
には枝ぶりの面白い、やせた松が一本生えていた。岩には洞穴があり、その入口の前には小さな池があった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
翌
(
あく
)
る朝とても早く眼を覚ますと、さっそく顔を洗い、水をしませた海綿で頭の
天辺
(
てっぺん
)
から足の爪先まで
躯
(
からだ
)
をよく
拭
(
ぬぐ
)
った——これは日曜日にだけすることであったが
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
空がよく晴れて十三日の月がその
天辺
(
てっぺん
)
にかかりました。小吉が門を出ようとしてふと足もとを見ますと門の横の田の
畔
(
くろ
)
に
疫病除
(
やくびょうよ
)
けの「源の大将」が立っていました。
とっこべとら子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お登女さまの方へ頭の
天辺
(
てっぺん
)
を向け、
肱枕
(
ひじまくら
)
をして、北側にある小窓の外を眺めていた。杉林の木の間越しに遠くずっと高く、残雪のある峰がほんの僅かばかり
覗
(
のぞ
)
いていた。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
中にも薄気味の悪い、最もあくどい奴は口をおッぴろげて笑っていやがる。乃公は頭の
天辺
(
てっぺん
)
から足の
爪先
(
つまさき
)
までひいやりとした。解った。彼らの手配がもうチャンと出来たんだ。
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
あたい達は屋根のない
火車
(
かしゃ
)
に乗って、山の
天辺
(
てっぺん
)
や、谷底や、猿の沢山いる所を通って、随分遠くまでやって来たんだ……
騙
(
だま
)
されたんだ……騙されたんだ……兄さん、
口惜
(
くや
)
しい
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
小手をかざして塔の上の方を
見上
(
みあげ
)
るならば、五重塔の
素
(
す
)
ッ
天辺
(
てっぺん
)
、
緑青
(
ろくしょう
)
のふいた
相輪
(
そうりん
)
の根元に、青色の
角袖
(
かくそで
)
の半合羽を着た儒者の質流れのような人物が、左の腕を九
輪
(
りん
)
に絡みつけ
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
孤立した山頂の
天辺
(
てっぺん
)
にある観測所で、人家からは、どの道を採っても二
里
(
り
)
近くはある。そういう隔絶した地点にある建物のこととて、泥棒にはいる気になれば、極めて容易である。
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
デメッティの記念碑は礼拝堂のような
恰好
(
かっこう
)
をして、
天辺
(
てっぺん
)
には天使の像がついていた。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
支線を派して、谷へ走りこみ、その谷の向うには、赤沢岳が聳えて、三角測量が、
天辺
(
てっぺん
)
につんとしている、これから尾根伝いに行かれるはずの小槍ヶ岳(中の岳)には、雪が縦縞に
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
彼は舷檣の
天辺
(
てっぺん
)
にむかって飛んだ。それから再び飛ぶと、彼はすでに氷の上にあって、かの蒼白い朦朧たる物の足もとに立ったのである。彼はそれを抱くように両手を
衝
(
つ
)
と差し出した。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
仲通り一帯の多くの建物にははいり口が沢山ついていて、そして或会社なり事務所なりは、
天辺
(
てっぺん
)
の部屋までその会社や事務所で占領して、ほかとは全然区別していなければ通用しなかった。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
まるで、エッフェル塔の
天辺
(
てっぺん
)
に
鵠
(
こうのとり
)
が巣をかけたようね。
遊星植民説
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
うしろからその兜の
天辺
(
てっぺん
)
へ斬りつけた者があった。
兜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頭の
天辺
(
てっぺん
)
から足の爪先まで新聞の興味に満ちた人だから、多少が気に入らないようだった。堀尾君は拙いことを言ってしまったと思って
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
信州
戸隠山
(
とがくしやま
)
の奥の院というのは普通の人の登れっこない難所だのに、それを
盲目
(
めくら
)
が
天辺
(
てっぺん
)
まで登ったから驚ろいたなどという。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まあまあ、
緒
(
いとぐち
)
から引き出して話をする。そもそも兄貴とおれとが、甲府のお城のお天守の
天辺
(
てっぺん
)
でしたあのいたずらから事の筋が引いてるんだ。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たまらない痛みがズキンと頭の
天辺
(
てっぺん
)
まで響いたが、その拍子にまたも烈しい咳があとからあとから出て来て、往来の物音も何も聞こえなくなった。
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
幇間
(
たいこもち
)
が先へ廻って、あの五重の塔の
天辺
(
てっぺん
)
へ上って、わなわな震えながら
雲雀笛
(
ひばりぶえ
)
をピイ、はどうです。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼等はこの高い丘を、その禿げた
天辺
(
てっぺん
)
まで登ろうという、大した意気込みで家を出たのであった。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
そこで洋服の紳士(各事務室の重役連中は
天辺
(
てっぺん
)
(九階)の西洋料理の方に天上するのだそうで、各階からここに天下るのは、主に雇人即ち洋服細民の部に属するということを誰かから聞いた。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
夢のように
彷徨
(
さまよ
)
い、また消えようとするとき、二、三分の間、雪の高嶺に、鮮やかな光が
這
(
は
)
って、山の三角的
天辺
(
てっぺん
)
が火で洗うように
耀
(
かがや
)
く、山は自然の心臓から
滴
(
た
)
れたかと思う純鮮血色で一杯に染まる
雪の白峰
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
赤ん坊の時、猿に抱かれて
天辺
(
てっぺん
)
まで登った木だ。当人の正晴君は知らないが、十ばかり年上の玉男さんはその折の大騒ぎを能く覚えている。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
禿
(
は
)
げた側面は巨人の
斧
(
おの
)
で
削
(
けず
)
り去ったか、鋭どき平面をやけに谷の底に
埋
(
うず
)
めている。
天辺
(
てっぺん
)
に一本見えるのは赤松だろう。枝の間の空さえ
判然
(
はっきり
)
している。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも五十近くになって頭の
天辺
(
てっぺん
)
がコッ
禿
(
ぱ
)
げて来ているのに恋愛小説なんかアホらしくって読む気になれない。
私の好きな読みもの
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「変ったどころではございません、今ここで煙草の火をつけて、霧が捲くから用心しろとおっしゃったかと思うと、もう二十八丁目の
天辺
(
てっぺん
)
へ飛んで行ってしまいました」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この丘の頂上は、
尖
(
とが
)
った峰でもなく、大きな
円味
(
まるみ
)
を持った
天辺
(
てっぺん
)
でもなく、かなり広い平地、つまり高台になっていて、少し向うの方に、
納屋
(
なや
)
のある家が一軒建っていた。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
吃驚
(
びっくり
)
したですだ、お前ん……ただ
居
(
お
)
りゃ袖も
擦合
(
すりあ
)
うけれども、手を出すと、富士の山の
天辺
(
てっぺん
)
あたりまで、スーと雲で
退
(
の
)
かれたで、あっと云うと俺、尻餅を
搗
(
つ
)
いたですが。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
西暦一千九百二年秋忘月忘日白旗を寝室の窓に
翻
(
ひるが
)
えして下宿の婆さんに降を乞うや否や、婆さんは二十貫目の
体躯
(
たいく
)
を三階の
天辺
(
てっぺん
)
まで運び上げにかかる
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此処へ来たら五重の塔へ登るものだとあって、埃だらけの材木の間を息の切れるほど
攀
(
よ
)
じ
潜
(
くぐ
)
った末、
天辺
(
てっぺん
)
から花曇りと煤煙に
鬱陶
(
うっとう
)
しそうな大都会を見渡した。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その前に並べた
酒袋
(
しゅたい
)
の座布団と、吉野
春慶
(
しゅんけい
)
の
平膳
(
ひらぜん
)
が
旅籠
(
はたご
)
らしくなかった。頭の
天辺
(
てっぺん
)
に
桃割
(
ももわれ
)
を載せて、鼻の頭をチョット白くした小娘が、かしこまってお酌をした。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「三重の塔の
天辺
(
てっぺん
)
にいるんだよ、月がいいからおいでよ」「待っておいで」——そこで弁信が
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
味方の
砲弾
(
たま
)
でやられなければ、勝負のつかないような
烈
(
はげ
)
しい
戦
(
いくさ
)
は
苛過
(
つらす
)
ぎると思いながら、
天辺
(
てっぺん
)
まで
上
(
のぼ
)
った。そこには
道標
(
どうひょう
)
に似た
御影
(
みかげ
)
の
角柱
(
かくちゅう
)
が立っていた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてとうとう一番
天辺
(
てっぺん
)
まで来ると、小僧は鳥のように隣りの木の枝へ飛び移って、スルスルと地面へ
辷
(
すべ
)
り降りて砂原へ来て、十三人の子供を船に乗せて帆を揚げた。
猿小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
萠円山人
(著)
そんならほんとうに棒の
天辺
(
てっぺん
)
へ刃物をくっつけるぞ、さあこれだ、これをちゃあんと棒の先へつけて槍に組み立てるように仕掛が出来てるんだ、これで突いたら命はねえんだからなそう思え
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然
(
そ
)
うです。それでも
天辺
(
てっぺん
)
と両側に未だ相応残っていましたよ。伸しさえすれば何うにかなると思って待っていると、漸くのことで少将に進級しました。しかし大佐と少将の間が長過ぎたのですな。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この亭主は
額
(
ひたい
)
が長くって、
斜
(
はす
)
に頭の
天辺
(
てっぺん
)
まで
引込
(
ひっこ
)
んでるから、横から見ると
切通
(
きりどお
)
しの坂くらいな
勾配
(
こうばい
)
がある。そうして上になればなるほど毛が
生
(
は
)
えている。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何が出たのかと言えば、
真紅
(
まっか
)
な
提灯
(
ちょうちん
)
がたった一つ、お城の天守の屋根の
天辺
(
てっぺん
)
でクルクル廻っているのであります。大方、提灯だろうと思われるけれども、それとも天狗様の玉子かも知れない。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私にはそれが何の意味だか解りませんでしたが、別に聞き返す気も起らずに、とうとう
天辺
(
てっぺん
)
まで
上
(
のぼ
)
りました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春先
(
はるさき
)
弁当でも持って
遊
(
あそび
)
に来るには
至極
(
しごく
)
結構だが、ところが満洲だけになお珍らしい。余は痛い腹を
抑
(
おさ
)
えて、とうとう
天辺
(
てっぺん
)
まで登った。するとそこに小さな
廟
(
びょう
)
があった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
牢屋に似た箱の
上
(
のぼ
)
りつめた頂点は、小さい石山の
天辺
(
てっぺん
)
であった。そのところどころに背の低い松が
噛
(
かじ
)
りつくように青味を添えて、単調を破るのが、夏の眼に
嬉
(
うれ
)
しく映った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
台所の
廂
(
ひさし
)
から
家根
(
やね
)
に飛び上がる方、家根の
天辺
(
てっぺん
)
にある
梅花形
(
ばいかがた
)
の
瓦
(
かわら
)
の上に四本足で立つ術、
物干竿
(
ものほしざお
)
を渡る事——これはとうてい成功しない、竹がつるつる
滑
(
す
)
べって爪が立たない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしその丸い顔を半分
傾
(
かたぶ
)
けて、高い山の黒ずんで行く
天辺
(
てっぺん
)
を妙に
眺
(
なが
)
めた時は、また
可愛想
(
かわいそう
)
になった。それからまた少し物騒になった。なぜ物騒になったんだかはちょっと疑問である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
辺
常用漢字
小4
部首:⾡
5画
“天”で始まる語句
天
天井
天鵞絨
天狗
天晴
天幕
天窓
天気
天地
天竺