口調くてう)” の例文
けれどふ言ふのが温泉場をんせんばひと海水浴場かいすゐよくぢやうひと乃至ないし名所見物めいしよけんぶつにでも出掛でかけひと洒落しやれ口調くてうであるキザな言葉ことばたるをうしなはない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのくせ朝湯あさゆけるは、屹度きつと寐坊ねばうなさるのね」と細君さいくん調戲からかやう口調くてうであつた。小六ころくはらなかこれあに性來うまれつき弱點じやくてんであるとおもんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すると今度こんどかはづ歩兵ほへいが、おなおごそかな口調くてう繰返くりかへしました、たゞわづ言葉ことばじゆんへて、『女王樣ぢよわうさまより。球投まりなげのおもよほしあるにつき公爵夫人こうしやくふじんへの御招待状ごせうたいじやう
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、若しこのおほ袈裟な口調くてうで自分の考へを發表すれば、地獄のゆかをも踏み破つて、而も天上に須佐之男すさのをの暴威の雄たけびをやつて見たいほど絶望的だ。
「ようございますとも。」メァリーも持前らしい愛嬌の無い、しかし眞實味しんじつみのある口調くてうで繰り返した。
「どうせらあ、佳味うめえつたつてさうだにほどでもふべぢやなし、かまやしねえが」卯平うへい皮肉ひにくらしい口調くてうでいつた。勘次かんじたゞだまつてむしや/\と不味相まづさうんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
容貌きりようのわるいつまつぐらゐ我慢がまんもなるはづ水呑みづのみの小作こさくとして一そくとびのお大盡だいじんなればと、やがては實家じつかをさへあえあはれて、ひとくちさがなし伯父そぢ伯母おば一つになつてあざけるやうな口調くてう
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あげおほせの如く此久八は元三州藤川宿の町外れに捨置すておかれし身に御座候(これより久八の履歴ことがらは六右衞門が申立の讀續よみつゞきなれども人情にんじやう貫徹つらぬかざる所も有により讀本よみほん口調くてうかゆれば諸君みなさん怪給あやしみたまふなかれ)
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
溶け入るやうな白い頬の魅惑みわく、おど/\した大きい眼、丸ぽちやで、笑くぼが淀んで、阿里道子のえり子のやうな無邪氣な口調くてうなど、フエミニストの八五郎を、有頂天にさせるには充分でした。
ん ┃ そんな口調くてうがちやんとひとり
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
『そしてほこりますか。そして其出身そのしゆつしんたることを感謝かんしやしますか』とへした兒玉こだま口調くてうはやゝげきしてた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
これぼくいもとだ」といふ言葉ことばもちひた。宗助そうすけは四五ふん對坐たいざして、すこ談話だんわはしてゐるうちに、御米およね口調くてう何處どこにも、國訛くになまりらしいおんまじつてゐないこといた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うをかほした歩兵ほへい其腋そのわきしたからほとんど自分じぶん身長せいぐらゐもありさうなおほきな手紙てがみして、れをモ一人ひとり歩兵ほへい手渡てわたしながらおごそかな口調くてうで、※公爵夫人こうしやくふじんもと毬投まりなげのおもよほしあるに
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さけつてい』と三月兎ぐわつうさぎ催促さいそくがましい口調くてうひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)