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千尋
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ふりがな文庫
“
千尋
(
ちひろ
)” の例文
「どうしても、身を投げると仰有るのでしたら、
千尋
(
ちひろ
)
の底までもお供いたします。一人残されては、
一時
(
いっとき
)
たりと生きようとは思いませぬ」
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
海にほろびたる平家の一門、かばねは
千尋
(
ちひろ
)
の底に葬られても、たましいは此世にとどまって、百年も千年も尽きぬ恨みをくり返すのであろうよ。
平家蟹
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
舟若し高く岩頭に吹き上げられずば、必ず岩根に
傍
(
そ
)
ひて
千尋
(
ちひろ
)
の底に
壓
(
お
)
し沈めらるべし。われは翁と共に
艣
(
ろ
)
を握りつ。ジエンナロも亦少年を
扶
(
たす
)
けて働けり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「この暗い海を見ていると、
千尋
(
ちひろ
)
の底には、きっとおどろくべき秘密がかくされているように思えてくるんだ。船にのりつけないじぶんの気まぐれかしら」
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
翁
(
おきな
)
は
布団
(
ふとん
)
翻
(
はね
)
のけ、つと
起
(
た
)
ちあがりて、紀州よ我子よと呼びし時、
目
(
め
)
眩
(
くら
)
みてそのまま布団の上に倒れつ、
千尋
(
ちひろ
)
の底に落入りて波わが頭上に砕けしように覚えぬ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
この瓶もし
千尋
(
ちひろ
)
の海底に沈まずば、この瓶もし千丈の
巖石
(
がんせき
)
に砕けずんば、この地球上にある
何人
(
なにびと
)
かは、何時か世界の果に、一大秘密の横たわる事を知り得べし
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
千尋
(
ちひろ
)
のなわを腰につけ、もしこの玉をとり得たらば、このなわを動かすべし、その時人々ちからをそえ——
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ヨナは生きた地獄の穴に呑みこまれ、水は
千尋
(
ちひろ
)
の底に彼をひきこんだので、海草は
頭
(
こうべ
)
にまとい、あらゆる海の
苦患
(
くげん
)
はヨナのうえにはげしく波うった……ヨナは大いに悔いた。
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
十歩に一棧と言った恐ろしく
洒落
(
しゃれ
)
た建物ですが、一番上の
母屋
(
おもや
)
とも言うべき高楼は、
千尋
(
ちひろ
)
の荒海の上に臨んだ、大岩石の上へ
乗出
(
のりだ
)
すように建てられたもので、その展望台から下を臨むと
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長男
千尋
(
ちひろ
)
君は九州帝大法学部ご卒業後、福岡県県庁に奉職中、長女
千登世
(
ちとせ
)
さんは、神戸青木商会の大番頭……モトイ……営業部長
久野信次郎
(
ひさのしんじらう
)
君に
嫁
(
か
)
して、既に一男一女を挙げられ……次男
千里
(
ちさと
)
君は
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
軽蔑の影にも似て、それとも違い、世の中を海にたとえると、その海の
千尋
(
ちひろ
)
の深さの箇所に、そんな奇妙な影がたゆとうていそうで、何か、おとなの生活の奥底をチラと
覗
(
のぞ
)
かせたような笑いでした。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
また山を越えると、踏まえた石が一つ
揺
(
ゆる
)
げば、
千尋
(
ちひろ
)
の谷底に落ちるような、あぶない
岨道
(
そわみち
)
もある。西国へ往くまでには、どれほどの難所があるか知れない。それとは違って、船路は安全なものである。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
日あたたかなれば浮かび、風あらきときは
千尋
(
ちひろ
)
の底に遊ぶ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
雲の上に思ひのぼれる心には
千尋
(
ちひろ
)
の底もはるかにぞ見る
源氏物語:17 絵合
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
二 ボートは
沈
(
しず
)
みぬ
千尋
(
ちひろ
)
の
海原
(
うなばら
)
七里ヶ浜の哀歌
(新字新仮名)
/
三角錫子
(著)
伊勢の海の
千尋
(
ちひろ
)
の浜に拾ふとも
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
水泡
(
みなわ
)
の嵐たゆたふ
千尋
(
ちひろ
)
の底。
機縁:(友なる画家の画稿に題す)
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
夢
(
ゆめ
)
なればこそ
千尋
(
ちひろ
)
なす
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
千尋
(
ちひろ
)
の底に常に泣く。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
あるは
千尋
(
ちひろ
)
の谷深く
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
千尋
(
ちひろ
)
の谷の底深く
天地有情
(旧字旧仮名)
/
土井晩翠
(著)
歩けば
千尋
(
ちひろ
)
の
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
もし山から出て来たものとすれば、
果
(
はて
)
しもない大海へ追い込まれて、結局は
千尋
(
ちひろ
)
の底に沈んだのであろう。
馬妖記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
民子
(
たみこ
)
をのせて
出
(
で
)
た
雪車
(
そり
)
は、
路
(
みち
)
を
辷
(
すべ
)
つて、十三
谷
(
や
)
といふ
難所
(
なんしよ
)
を、
大切
(
たいせつ
)
な
客
(
きやく
)
ばかりを
千尋
(
ちひろ
)
の
谷底
(
たにそこ
)
へ
振
(
ふ
)
り
落
(
おと
)
した、
雪
(
ゆき
)
ゆゑ
怪我
(
けが
)
はなかつたが、
落込
(
おちこ
)
んだのは
炭燒
(
すみやき
)
の
小屋
(
こや
)
の
中
(
なか
)
。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
譬へば
千尋
(
ちひろ
)
の海底に波起りて、
倒
(
さかしま
)
に
雲霄
(
うんせう
)
を
干
(
をか
)
さんとする如し。我筆いかでか此聲を畫くに足らん。あはれ此聲、人の胸より出づとは思はれず。
姑
(
しばら
)
く形あるものに
喩
(
たと
)
へて言はんか。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
瞻
(
なが
)
むれば一
隻
(
せき
)
の
海賊船
(
かいぞくせん
)
は
轟然
(
ごうぜん
)
たる
響
(
ひゞき
)
諸共
(
もろとも
)
に、
船底
(
せんてい
)
微塵
(
みぢん
)
に
碎
(
くだ
)
け、
潮煙
(
てうゑん
)
飛
(
と
)
んで
千尋
(
ちひろ
)
の
波底
(
はてい
)
に
沈
(
しづ
)
み
去
(
さ
)
つた、つゞいて
起
(
おこ
)
る
大紛擾
(
だいふんじやう
)
、
一艘
(
いつそう
)
は
船尾
(
せんび
)
逆立
(
さかだ
)
ち
船頭
(
せんとう
)
沈
(
しづ
)
んで、
惡魔印
(
あくまじるし
)
の
海賊旗
(
かいぞくき
)
は、
二度
(
にど
)
、
三度
(
さんど
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
千尋
(
ちひろ
)
」
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ある場合には十日も二十日も風浪に
阻
(
はば
)
められて、ほとんど
流人
(
るにん
)
同様の
艱難
(
かんなん
)
を
嘗
(
な
)
めたこともあったろう。ある場合には破船して、
千尋
(
ちひろ
)
の浪の底に葬られたこともあったろう。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
風波に
掀翻
(
きんぽん
)
せらるる汽船の、やがて
千尋
(
ちひろ
)
の底に
汨没
(
こつぼつ
)
せんずる危急に際して、蒸気機関はなお
漾
(
よう
)
々たる穏波を
截
(
き
)
ると異ならざる精神をもって、その職を
竭
(
つ
)
くすがごとく、
従容
(
しょうよう
)
として手綱を操り
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自
(
みづか
)
ら
爆發藥
(
ばくはつやく
)
を
以
(
もつ
)
て
艇體
(
ていたい
)
を
破壞
(
はくわい
)
して、
潔
(
いさぎ
)
よく
千尋
(
ちひろ
)
の
海底
(
かいてい
)
に
沈
(
しづ
)
まんとの
覺悟
(
かくご
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ララは翼を振ひて上らんとす。われはこれに從はんとして、
羽搖
(
はたゝき
)
するごとに
後
(
おく
)
れ、その距離
千尋
(
ちひろ
)
なるべく覺ゆるとき、忽ち又ララとおん身との我側にあるを見き。われ。そは死の
境界
(
きやうがい
)
なるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
紫玉は、中高な顔に、深く月影に透かして
差覗
(
さしのぞ
)
いて、
千尋
(
ちひろ
)
の
淵
(
ふち
)
の
水底
(
みなそこ
)
に、いま落ちた玉の緑に似た、門と柱と、欄干と、あれ、森の
梢
(
こずえ
)
の
白鷺
(
しらさぎ
)
の影さえ宿る、
櫓
(
やぐら
)
と、窓と、
楼
(
たかどの
)
と、美しい
住家
(
すみか
)
を
視
(
み
)
た。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の歯はこの魚腹に葬られるかと見ていると、鱶はこんな物を呑むべく余りに大きい口をあいて、
厨
(
くりや
)
から投げあたえる食い残りの魚肉を
猟
(
あさ
)
っていた。私の歯はそのまま
千尋
(
ちひろ
)
の底へ沈んで行ったらしい。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
紫玉は、
中高
(
なかだか
)
な顔に、深く月影に透かして
差覗
(
さしのぞ
)
いて、
千尋
(
ちひろ
)
の
淵
(
ふち
)
の
水底
(
みなそこ
)
に、いま落ちた玉の緑に似た、門と柱と、
欄干
(
らんかん
)
と、あれ、森の
梢
(
こずえ
)
の
白鷺
(
しらさぎ
)
の影さへ宿る、
櫓
(
やぐら
)
と、窓と、
楼
(
たかどの
)
と、美しい
住家
(
すみか
)
を
視
(
み
)
た。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“千尋”の意味
《名詞》
標高などが非常に高いこと。また、谷などが非常に深いこと。
(出典:Wiktionary)
千
常用漢字
小1
部首:⼗
3画
尋
常用漢字
中学
部首:⼨
12画
“千”で始まる語句
千住
千切
千々
千種
千
千歳
千曲川
千鳥
千代
千駄木