人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「其奴が外国の軍事探偵だ、そして春田式C・C・D潜水艦の機密図を盗むために貴様を見張に雇ったのだ」
危し‼ 潜水艦の秘密 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
穴はかなり大きかったので、前夜家の中にはいり込んできて扉の所で立ち聞きした其奴が通ってゆく所を、見て取ってやろうと思ったのである。果してそれは男であった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
それから、第四条の、その小僧のことが聞きてえんならだ、畜生! 言ってくれるが、其奴は人質じゃねえか? 人質をなくしちまおうってえのか? いいや、いけねえ。
宝島:02 宝島 (新字新仮名) / ロバート・ルイス・スティーブンソン(著)
其奴を別に恐れるわけではないが、それでは円満に事務がとれないだろうじゃないか。そこで己がつまり今日は課一同の懇親会を開いたのだ。どこでって、料理屋はT——さ。
田園の憂欝:或は病める薔薇 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
(根本的に言えば、彼はすべてをあざけって何物をも信じなかった。)しかし彼は自分の老友クリストフの悪口をあえて言う者があれば、其奴の頭を打ち破ったかもしれない。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
茶話:02 大正五(一九一六)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
田園の憂欝:或は病める薔薇 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
彼奴の家へ談判するにも其奴を確かめた上でなければ軽率過ぎるし、そうかと云って秘密探偵でも頼まなければ、ちょっと確かめる方法はなし、………と、散々思案に余った揚句
宝島:02 宝島 (新字新仮名) / ロバート・ルイス・スティーブンソン(著)