其前そのまへ)” の例文
また其前そのまへ改革かいかく淘汰たうたおこなはれるにちがひないといふうはさおもおよんだ。さうして自分じぶん何方どつちはう編入へんにふされるのだらうとうたがつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なほ其前そのまへさかのぼつてまうしますると、太閤殿下たいかふでんか御前ごぜんにて、安楽庵策伝あんらくあんさくでんといふ人が、小さいくは見台けんだいの上に、宇治拾遺物語うじしふゐものがたりやうなものをせて、お話をたといふ。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
アンドレイ、エヒミチは戸口とぐちところすゝんで、けた。するとニキタが躍上をどりあがつて、其前そのまへ立塞たちふさがる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
木場きばは元祿十年に現在のところへ移つたが、其前そのまへ佐賀町さがちやうが材木河岸で、お船藏は新大橋——兩國橋のつぎにかかつた——附近、幕府の軍艦安宅丸は寛永八年に造られて
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
雪子ゆきこくりかへすこと昨日きのふ今日けふ一昨日をとゝひも、三月みつき以前いぜん其前そのまへもさらにことなことをばはざりき、くちびるえぬは植村うゑむらといふ、ゆるしたまへと言葉ことば學校がくかうといひ、手紙てがみといひ、我罪わがつみ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其前そのまへ四五しやくところを、玄子げんしとは發掘はつくつはじめた。
ちゝ正月しやうぐわつになると、屹度きつとこの屏風びやうぶ薄暗うすぐらくらなかからして、玄關げんくわん仕切しきりにてて、其前そのまへ紫檀したんかく名刺入めいしいれいて、年賀ねんがけたものである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
めづらしやおたかさま今日けふ御入來おいで如何どういふかぜふきまはしか一昨日をとゝひのお稽古けいこにも其前そのまへもおかほつひにおせなさらずお師匠ししやうさまもみなさまも大抵たいていでないおあんがな一日いちにちうはさしてをりましたとうれしげに出迎でむか稽古けいこ朋輩ほうばい錦野にしきのはなばれて醫學士いがくしいもと博愛はくあい仁慈じんじきこえたかきあに
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三四郎は慾もとくらない程こわかつた。たゞ轟と云ふ一瞬間である。其前そのまへ迄は慥かに生きてゐたに違ない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
火鉢ひばちにはちひさななべけてあつて、そのふた隙間すきまから湯氣ゆげつてゐた。火鉢ひばちわきにはかれつねすわところに、何時いつもの坐蒲團ざぶとんいて、其前そのまへにちやんと膳立ぜんだてがしてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「本当にかゝつたのは、つい此間このあひだですけれども、其前そのまへからすこづゝいていただいてゐたんです」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其前そのまへつて、何時頃いつごろからですか」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)