いつは)” の例文
新字:
いつはりではけれどくすとはなにを、デハわたしからまをしませう深山みやまがくれのはなのおこゝろひさして莞爾につことすれば、アレわらふてははぬぞよ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
取出し見れば最早もはやかほ劔難けんなんさうあらはれたれば然ば明日は病氣といつはり供を除き捕手とりての向はぬ内に切腹せつぷくすべしと覺悟かくごを極め大膳のもと使つかひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
我あきらかに汝に告げて、さいはひなる魂は常に第一のまことに近くとゞまるがゆゑにいつはるあたはずといへることあり 九四—九六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「嘘もいつはりもありません。仲間の參會さんけえで、金杉橋の『喜の字』で飮んで、遲くなつてから、ブラブラ戻りました」
わるいつはりを申上まをしあげると、またからかれさうにおもつたので、おめ/\とおやせい自分じぶんふ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すれば、おまへがロミオへの封印代ふいんがはりにしたこのを、あだ證書しょうしょ封印ふういん使つかはうより、またいつはりのこのこゝろみさをそむいてあだをとこけうより、この懷劒くわいけんこゝろ突殺つきころしてのけう。
あの彼方かなたにある見すぼらしい教室で過した今朝と午後の間中、私は大變に喜ばしく落着いて滿足だつたゞらうか? 自分自身をいつはらない爲めには私は答へなければならない——否、と。
醫道いだうおもてからまをしますれば、んだものをきてゐるとして、白々しら/″\しい見立みたきで、かみいつはるのは、おもつみあたりませうが、これもまア、五まん千石ぜんごくの一家中かちうたすけるとおもうていたしました。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うるはしきかな、山や水や、いつはりなく、そねみなく、にくみなく、あらそひなし。人は生死のちまたに迷ひ、世は興亡こうばうのわだちをめぐる。山や、水や、かはるところなきなり。おもへばはづかしきわが身かな。
清見寺の鐘声 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
見て實に閉口へいこう屈伏くつぷくしたりと思はるゝならんが此伊賀亮がおもふには今日大岡が恐れ入りしはいつはりにて多分病氣を申立引籠るべし其内に紀州表を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さりながら徃日いつぞや御詞おんことばいつはりなりしか、そちさへに見捨みすてずば生涯しやうがい幸福かうふくぞと、かたじけなきおほうけたまはりてよりいとゞくるこゝろとめがたく、くちにするは今日けふはじめてなれど
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ガラツ八は名乘らなくたつて解つて居るよ、その長い頤が物を言はア、看板にいつはりのねえ面だ」
とらしか返答へんたふ致すべしとさも横柄わうへいのべけるに兩人再び驚きしが大膳は聲をはげまし汝天下の御落胤ごらくいんなどとあられもなきいつはりを述べ我々をあざむき此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あらはせて此室こゝびたしとおほせられたに相違さうゐはなしかくあがりなされよと洗足すゝぎまでんでくるゝはよも串戯じやうだんにはあらざるべしいつはりならずとせばしんもつ奇怪きくわい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「だがな、平次。楊弓を射たのは此女ではない、此女の兄と言つて、時々邸へも出入りした男が怪しいのだ。淺五郎と言ふ遊び人だ。兄と言ふのは、どうせいつはりだらう」
「それは知りません。——私は自分の命さへ捨てるつもりでした。今更うそいつはりもありません。船頭の三吉に、船を沈めることを言ひ付けたのだけは、この私ぢやない」
今日けふかぎつてそのやうなこといはれるおぼえはなにもなけれどマアなんおもふてぞといふかほじつとうちあふぎて夫々それ/\それがりおへだ何故なぜそのやうにおくしあそばす兄弟きやうだいおつしやつたはおいつはりか
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「その通りでございます。これがお禮に貰つた八兩で、嘘もいつはりも御座いません」
ことばはすがものうくて、病氣びやうきなどゝありもせぬいつはりはなにゆゑにひけん、そらおそろしさにうちふるへて、はらたちしならば雪三せつざうゆるしてよ、へだつるこゝろ微塵みぢんもなけれど、しゆう家來けらいむかしはもあれ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)