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仔
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こ
ふりがな文庫
“
仔
(
こ
)” の例文
兎に角
圭子
(
けいこ
)
は一人の子供をもらふことにしてしまつた。それはちやうど猫の
仔
(
こ
)
か何かを貰ふやうに、いとも手軽なものであつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
五日振りに天保山の安宿をひきあげて、バスケット一つの飄々とした私は、もらわれて行く犬の
仔
(
こ
)
のように、毛布問屋へ住み込む事になった。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そして、それが出来上ると
其
(
その
)
翌日、七里も
先方
(
さき
)
に
在
(
あ
)
る
牧場
(
まきば
)
へ庄吉をつれて行つて、豚の
仔
(
こ
)
を
一番
(
ひとつがひ
)
荷車に乗せて運んで来た。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
「おい、司令官ハヤブサ。本当に、のこるくまなく捜索してみたのかね。そして、猫の
仔
(
こ
)
一匹見つからなかったのかね」
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
障子
(
しょうじ
)
を開けたままで
覗
(
のぞ
)
いているのに、
仔
(
こ
)
の可愛さには、邪険な人間に対する恐怖も忘れて、目笊の周囲を二、三尺、はらはらくるくると廻って飛ぶ。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「又お前がこの間のやうに、私に世話ばかり焼かせると、今度こそお前の命はないよ。お前なんぞは殺さうと思へば、
雛
(
ひよ
)
つ
仔
(
こ
)
の
頸
(
くび
)
を絞めるより——」
アグニの神
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
声
(
こえ
)
をかけられました。ふりかえって
見
(
み
)
ると、七
歳
(
さい
)
くらいの、かわいらしい
男
(
おとこ
)
の
子
(
こ
)
が
牛
(
うし
)
の
仔
(
こ
)
をつれて
立
(
た
)
っていました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
あのときと同じぼろを着、繩の帯にはだしで、乞食というよりも、山から迷い出て来た熊の
仔
(
こ
)
、といった感じだった。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
仔
(
こ
)
鹿のようなスラリとした
脛
(
すね
)
をむきだした九つばかりの少年が、紳士の胸へ小さな身体をもたせかけるようにして、夢中になって何かしゃべっている。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あたかも私の友人の家で純粋セッター種の
仔
(
こ
)
が生れたので、或る時セッター種の深い長い
艶々
(
つやつや
)
した
天鵞絨
(
ビロード
)
よりも美くしい
毛並
(
けなみ
)
と、性質が
怜悧
(
りこう
)
で
敏捷
(
すばし
)
こく
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
わし達は垣の内へ入つた。五六匹の
雛
(
ひよ
)
つ
仔
(
こ
)
が地に撒いてある麦を啄んでゐる。見た所では、僧侶の黒い法衣にも慣れたやうに、少しもわし達を怖がらない。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
まるで、
猫
(
ねこ
)
の
仔
(
こ
)
でももらいうける交渉のような、こともなげな切り出し方だが、ふとい声が、ふるえていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
獣物
(
けだもの
)
が自分の
仔
(
こ
)
をめんこがるやうなもんだ。何んにもわからねえでめんこがつてゐたんだ。だから俺はこんなに馬鹿になつたども、俺はお袋だけは好きだつた。
骨
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
「この猫が
仔
(
こ
)
を生んだら、済まないけど、うちにも一匹くださいね。ママはとてもねずみがきらいなの」
可愛い女
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
流れのふちで桑の葉などを食べていた
山羊
(
やぎ
)
の
仔
(
こ
)
も、私たちの姿を見ると人なつこそうに近よってきた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そして
其所
(
そこ
)
で
松明
(
たいまつ
)
へ火をつけさせて、若者を励しながら、森の中へ入つて行きました。けれども森の中には、狸らしいものは愚か、鼠の
仔
(
こ
)
一
疋
(
ぴき
)
も見えませんでした。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
「止してくれ、俺はその
豚
(
ぶた
)
の
仔
(
こ
)
のやうな
雌
(
めす
)
と祝言せずに濟んだだけでも澤山だ、——何でえ、岡つ引のくせに。何も彼も見拔いたつもりでも、人の心の
見透
(
みとほ
)
しはつくまい」
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「はっははは、しかし可愛いだろ、こんなのは余興だけど家にゃ素晴らしいのがいるぜ、犬の王者のセントバーナードの
仔
(
こ
)
もいる、こいつは少し、
混
(
まざ
)
っているかも知れんが」
睡魔
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
文字の精霊の数は、地上の事物の数ほど多い、文字の精は
野鼠
(
のねずみ
)
のように
仔
(
こ
)
を産んで
殖
(
ふ
)
える。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
仔
(
こ
)
猫よ! 後生だから、しばらく踏み
外
(
はず
)
さないでいろよ。お前はすぐ爪を立てるのだから。
愛撫
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
甲乙と
相隔
(
あいへだた
)
った所にもって行くと、地味や気候の関係で、それから生れる
仔
(
こ
)
の間に多少の相違が出来、なお五代十代と時の
経
(
た
)
つにつれて変化するが、それに人間の力が加わると
進化論より見たる沖縄の廃藩置県
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
カラカラという音は四辺の寂寥を破って高くきこえる。羚羊の姿が見えるという、
仔
(
こ
)
を連れているという、しかしここからはあまりに遠くて、弾丸は届くまいと残念そうである。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
いったん真佐子の影響に降伏して蘭鋳の
素朴
(
そぼく
)
に
還
(
かえ
)
ろうとも、も一度彼女の現在同様の美感の程度にまで一匹の金魚を仕立て上げてしまえば、それを親魚にして、
仔
(
こ
)
に仔を産ませ
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
とうとう明け方の四時迄かかって三匹の
仔
(
こ
)
を首尾よく分娩させたのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女王樣
(
ぢよわうさま
)
が
其
(
そ
)
の
不幸
(
ふかう
)
な
賓客
(
まらうど
)
を
死刑
(
しけい
)
にせよと
命
(
せい
)
ぜられる
金切聲
(
かなきりごゑ
)
も
聞
(
きこ
)
えました——も
一度
(
いちど
)
豚
(
ぶた
)
の
仔
(
こ
)
が
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
の
膝
(
ひざ
)
に
居
(
ゐ
)
て
嚏
(
くさめ
)
をし、
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
、
皿小鉢
(
さらこばち
)
が
其
(
そ
)
の
周
(
まは
)
りに
碎
(
くだ
)
けました——
再
(
ふたゝ
)
びグリフォンの
叫
(
さけ
)
び
聲
(
ごゑ
)
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ヴィクンヤは形はやぎににて足は少し長く、毛はやぎより短く頭に
角
(
つの
)
がない。ゴルドンはヴィクンヤをひき、バクスターは二つの
仔
(
こ
)
をだいてテントへ帰ると、一同は喜び勇んで万歳をとなえた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
方言の中にも気をつけていたら、是からまだ見つかることだろうが、山陰・山陽の畜牛地方などでは、牛が
仔
(
こ
)
を産む時期に近づくことを、ニュウに入る、またはニュウにつくという例もあるという。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
文晁
寺
(
でら
)
まかで来つつも犬の
仔
(
こ
)
の戯むるる見ればこれも冬の
画
(
ゑ
)
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「こりゃあ、
仔
(
こ
)
もちだ。この犬は仔もちですよ。」
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「引き合うのう、か。豚の
仔
(
こ
)
か何ぞのように」
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
蜂の
仔
(
こ
)
のかへるまで
べつ甲蜂
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
「又お前がこの間のように、私に世話ばかり焼かせると、今度こそお前の命はないよ。お前なんぞは殺そうと思えば、
雛
(
ひよ
)
っ
仔
(
こ
)
の
頸
(
くび
)
を絞めるより——」
アグニの神
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、船長ノルマンは、
憎々
(
にくにく
)
しげにいいはなって、竹見の襟髪をもったまま、
猫
(
ねこ
)
の
仔
(
こ
)
でもあつかうようにふりまわした。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
仔
(
こ
)
を守るためには親は命を惜しまないものだ、自分は食わなくともまず仔に食わせる、けものでも親はそういうものだ、きさまは犬畜生にも劣るやつだぞ
赤ひげ診療譚:08 氷の下の芽
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「これで
弟子
(
でし
)
たちに
自慢
(
じまん
)
ができるて。きさまたちが
馬鹿
(
ばか
)
づらさげて、
村
(
むら
)
の
中
(
なか
)
をあるいているあいだに、わしはもう
牛
(
うし
)
の
仔
(
こ
)
をいっぴき
盗
(
ぬす
)
んだ、といって。」
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
他に隠れ場があろうとも見えないが、念のためと畳を上げ、壁をたたき、
竈
(
かまど
)
の奥から
雪隠
(
せっちん
)
の中までほとんど夜っぴてのぞきまわったが、猫の
仔
(
こ
)
一匹出て来はしない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
暫
(
しばら
)
くして、ふと、
眼
(
め
)
を覚して見ると、これはまア何といふ不思議なことでせう。馬鹿七の前には、可愛い/\小い狸の
仔
(
こ
)
が、百疋も二百疋も、きちんと座つてゐました。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
ところがそのうち石像の
台下
(
した
)
で鳴声がするというので、村の青年達が掘り返してみると田鼠が沢山
仔
(
こ
)
を産んでいました。これを聞いて結婚した夫婦たちはどんな顔をしたでしょう。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
母馬は
仔
(
こ
)
にはやさしけ仇ふせぐ構への張りは隙見せずけり
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
一頭は母で他の二頭は
仔
(
こ
)
である。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
知らない人がきいたら、このとき豚の
仔
(
こ
)
がないたのかと思うだろう。しかしそのぷうぷうは豚の仔がないたのではなくて、艇夫長の鼻が鳴ったのであった。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ぼけんとしているあいだに
牛
(
うし
)
の
仔
(
こ
)
を
持
(
も
)
たされてしまったかしらは、くッくッと
笑
(
わら
)
いながら
牛
(
うし
)
の
仔
(
こ
)
を
見
(
み
)
ました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「弥六が熊の
仔
(
こ
)
を
捉
(
つか
)
まえました」うしろから泰二郎が云った、「井戸の脇の柿の木に
繋
(
つな
)
いでありますよ」
月の松山
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は何か鼠の
仔
(
こ
)
に近い赤児の匂を感じながら、しみじみかう思はずにはゐられなかつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仔
(
こ
)
の熊の赤き舌見ず、汗垂らし、拭ひもあへず。
篁
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
人っ子一人、犬の
仔
(
こ
)
一匹いません。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その相手の女さえ来てくれると、それで準備は完了したのだ。さあオリオン星座附近で、新しい遊星を見付けて降下しよう。そこでお前は、幾人もの
仔
(
こ
)
を
産
(
う
)
むのだ。
遊星植民説
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
十一月にはいっていつのころからか、足の小さな犬の
仔
(
こ
)
が、彼についてあるくようになった。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
多欲喪身
(
たよくそうしん
)
」という言葉はそれらの人々に与えられるであろう。
孔雀
(
くじゃく
)
の羽根の扇や人乳を飲んだ
豚
(
ぶた
)
の
仔
(
こ
)
の料理さえそれらの人びとにはそれだけでは決して満足を与えないのである。
十本の針
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
越後から来た
獅子舞
(
ししま
)
ひの子供達にいろいろ芸当をさせたあとで、お銭があいにくないからといふので、そのまま追つぱらつてしまつたことだとか、畑から帰るとき土橋の下で猫の
仔
(
こ
)
を拾つたが
百姓の足、坊さんの足
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
仔
漢検準1級
部首:⼈
5画
“仔”を含む語句
仔細
仔山羊
仔羊
一伍仔什
仔虫
当歳仔
仔鹿
仔馬
仔猫
仔牛
仔犬
仔熊
仔羊皮
仔魚
雛仔
仔獅子
蛤仔
羗仔
母仔
仔什
...