大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ―― (新字新仮名) / 新村出(著)
彼の目の前に、再び現実のそれよりはなお一層高き神秘なる美と権威とにおいて、長老と、モニカの結合体が髣髴と現われた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死―― (新字新仮名) / 長与善郎(著)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦 (旧字旧仮名) / 押川春浪(著)
この様子は、内地の昔を髣髴させるではないか。沖縄本島では聞得大君を君主と同格に見た史実がない。が、島々の旧記にはその痕跡が残っている。
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
図442は船上の我々の炉、図443は舟夫の二人が飯を食っている光景を髣髴たらしめんとしたもの。
日本その日その日:03 日本その日その日 (新字新仮名) / エドワード・シルヴェスター・モース(著)
わが邦の玄猪神に髣髴たる穀精の信念が今も欧州に存しいるので、かかる獣形の穀精が進んでデメテルごとき人形の農神となった事、狐は老翁形の稲荷大明神となったに同じ。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
幻滅 (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
このときの消息はウォルムスにおけるルーテルの行動をわれわれに髣髴せしめる。
学生と先哲:――予言僧日蓮―― (新字新仮名) / 倉田百三(著)
あまり上手でない、それだけかえって厳粛感を与える、その聞きなれたラッパの音は、応召者を先頭に立てて町内の人たちが神社へ参拝に行く、その行列の姿を髣髴とさせるのである。
私が念仏するのではまだ本当の念仏とは申されません。「しかれば名号が名号を聞くなり」とも同じ上人は申されました。こう思いみて、土瓶絵の性質が髣髴と浮ぶように感じられます。
武州公秘話:02 跋 (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
入道の宮の十三絃の技は現今第一であると思うのは、はなやかにきれいな音で、聞く者の心も朗らかになって、弾き手の美しさも目に髣髴と描かれる点などが非常な名手と思われる点である。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)