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颶風
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ぐふう
ふりがな文庫
“
颶風
(
ぐふう
)” の例文
熱狂したネーは、死に甘んずるの偉大さをもって、その
颶風
(
ぐふう
)
のうちにあらゆる打撃に身をさらした。そこで彼の五度目の乗馬は倒れた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
国民はこの政界の
颶風
(
ぐふう
)
を
切掛
(
きっかけ
)
に
瞭然
(
はっきり
)
と目を覚し、全力を緊張させて久しくだらけていた公私の生活を振粛しようとするであろう。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
がしかし、これは秀吉を中心に見た場合のことで、対者となった柴田勝豊の身辺は、この数日、
颶風
(
ぐふう
)
の巻くようなものであったに違いない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今からざっと百年前、
二十歳
(
はたち
)
から三十代のフランツ・リストの
磁石的
(
じしゃくてき
)
魅力は、全欧州至るところに
五彩
(
ごしき
)
の
颶風
(
ぐふう
)
を
捲
(
ま
)
き起さずにはおかなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
丁ど
颶風
(
ぐふう
)
でも來るやうな具合に、種々な考が種々の
象
(
かたち
)
になつて、ごた/\と一時にどツと
押寄
(
おしよ
)
せて來る………周三は
面喰
(
めんくら
)
つて
嚇
(
くわツ
)
となつてしまふ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
ますます怪しいふくざつな感情と変化する、遥に
颶風
(
ぐふう
)
の空から舞ひ降りて、
斬首人
(
ざんしゆにん
)
のしやつぽに休息するほどの、捨身な感情とまでなつてしまふ。
小熊秀雄全集-02:詩集(1)初期詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
一隊商が
曠野
(
こうや
)
で
颶風
(
ぐふう
)
に遇った時、野神に
供
(
そな
)
うる
人身御供
(
ひとみごくう
)
として案内人を殺した。案内人を失った隊商等の運命は如何。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この前の時間にも、(暴風)に書いて消して(烈風)をまた消して(
颶風
(
ぐふう
)
)なり、と書いた、やっぱり朱で、見な……
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかも時刻の移るに
随
(
したが
)
ッて枝雲は出来る、
砲車雲
(
もとぐも
)
は
拡
(
ひろ
)
がる、今にも一大
颶風
(
ぐふう
)
が吹起りそうに見える。気が気で無い……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
案の定、南半球特有の
颶風
(
ぐふう
)
が吹き荒れてきたからであった。風を
孕
(
はら
)
んで弓弦のように張り切った索具が切れる。切れた索具でさらに二、三名の怪我人が出た。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ところが途中
颶風
(
ぐふう
)
に逢つて、舟は皆四散した。この時、義良親王の舟は、この篠島に漂着したのであつた。
伊良湖岬
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
それに反して、あちらでは、ラインの
彼方
(
かなた
)
では、西隣の人々のうちでは、集団的熱情の大いなる凪が、社会一般の
颶風
(
ぐふう
)
が、時を定めて芸術上に吹き渡っていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
はたして道人の言葉の通り、
颶風
(
ぐふう
)
ともいうべき烈しい風が、沖の方から吹いて来た。「逃げろ逃げろ!」と逃げ出したが、逃げられない数百人の人間があった。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
山谷
(
さんこく
)
に答え
心魂
(
しんこん
)
に徹して、なんとも形容のできないすさまじき気合ともろとも、夜の如く静かであった島田虎之助は、
颶風
(
ぐふう
)
の如く飛ぶよと見れば、ただ一太刀で
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
颶風
(
ぐふう
)
の勢少しく
挫
(
くじ
)
けたるとき、こゝに坐したる
女子
(
をみなご
)
の、彼恢復せられたるエルザレム中の歌を歌ひ、耳を傾けて夫の聲のこれに應ずるや否やを
覗
(
うかゞ
)
ひしこと幾度ぞ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
真暗な闇の間を、
颶風
(
ぐふう
)
のような空気の抵抗を感じながら、彼女は落ち放題に落ちて行った。「地獄に落ちて行くのだ」
胆
(
きも
)
を裂くような
心咎
(
こころとが
)
めが突然クララを襲った。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
すると林の中から、まっ黒な
颶風
(
ぐふう
)
の雲のようなものが現われ、急行列車のようなすごいスピードで走る——と見えたは、よく見れば何千何万という
魚群
(
ぎょぐん
)
なのであった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
タッタ一つ恩人の顔だけを見て死にたいと
憧憬
(
あくが
)
れ願っている……その超自然的な感情が裏書きする戦争の暴風的破壊が……秒速数百
米突
(
メートル
)
の鉄と火の
颶風
(
ぐふう
)
、旋風、
飇風
(
ひょうふう
)
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さうして、あの白い雲はみんな雪の粉で、下から見てあの位に動く以上は、
颶風
(
ぐふう
)
以上の速度でなくてはならないと、此間野々宮さんから聞いた通りを教へた。美禰子は
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしその虚ろな
心
(
しん
)
の臓のなかでは、目に見えてない盲目的な
颶風
(
ぐふう
)
が疾駆し廻っていた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
天皇は、これに
屈
(
くつ
)
し給ふことなく、紀州の南端を迂廻して、南方より大和へ入る作戦を敢行遊ばしたが、時利あらず、潮岬の
颶風
(
ぐふう
)
に遭つて、皇兄
稲飯命
(
いなひのみこと
)
と
三毛入野命
(
みけいりぬのみこと
)
を失ひ給うた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
颶風
(
ぐふう
)
、狂風が吹き、同じ様に
驟雨
(
しゅうう
)
が降り、洪水が降り、同じ様に、一時は蘇生の想いをなし更に同じ様に、前に倍する焦熱に苦しめられてヤッと「日の入り」と云う休戦に助けられた。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
直
(
ただ
)
ちに眼に入るのは、低気圧、
颶風
(
ぐふう
)
等の文字である。予は
寧
(
むし
)
ろこれを読むのが
厭
(
いと
)
わしかった。児供等は父がそれを読んで、何とか云うのを待つものらしく三人共
未
(
ま
)
だ何とも云わずに居る。
大雨の前日
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
真山青果氏の維新物の諸作品「京都御構入墨者」「長英と玄朴」「
颶風
(
ぐふう
)
時代」。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
そうかと思うと、たとえばはげしい
颶風
(
ぐふう
)
があれている最中に、雨戸を少しあけて、物恐ろしい空いっぱいに樹幹の揺れ動き枝葉のちぎれ飛ぶ光景を見ている時、突然に笑いが込みあげて来る。
笑い
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
遠く、掻きむしるように荒れ続ける灰色の海の水平線が、奇妙に膨れあがって、無気味な
凸線
(
とつせん
)
を描きはじめる。多分
颶風
(
ぐふう
)
の中心が、あの沖合を通過しているに違いない。東屋氏は再び続ける。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
そんな小喜劇を前ぶれに、やがて一陣の
颶風
(
ぐふう
)
が輸入部に襲来した。十一月に入つて間もない頃で、朝のうちから電灯をともすほどの薄暗い日だつたが、午後になると寒々と小雨さへ降つて来た。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
何處かに、火事とか、洪水とか、
颶風
(
ぐふう
)
とか、罷業とか、飢饉とかいふやうな、人々を困窮に陷れるやうな災厄が起つた時には、必ず「アグレイア」粉が「
無料
(
たゞ
)
」といふ値段で、豐富に發送された。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
風に
揉
(
もま
)
れて暮したり
漸
(
やうや
)
く五日の
申
(
さる
)
の
下刻
(
げこく
)
に及び少し風も
靜
(
しづ
)
まり浪も
稍
(
やゝ
)
穩
(
おだや
)
かに成ければ
僅
(
わづ
)
かに
蘇生
(
そせい
)
の心地して
悦
(
よろこ
)
びしが間もなく其夜の
初更
(
しよかう
)
に再び
震動
(
しんどう
)
雷電
(
らいでん
)
し
颶風
(
ぐふう
)
頻
(
しき
)
りに
吹起
(
ふきおこ
)
り以前に
倍
(
ばい
)
して
強
(
つよ
)
ければ
船
(
ふね
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「またぞろ天地
晦瞑
(
かいめい
)
、雷鳴、稲妻、竜巻、
颶風
(
ぐふう
)
というわけですな!」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
颶風
(
ぐふう
)
のように私を成功の最初の熱狂へと吹き送ったさまざまな感情は、誰も想像することはできない。生と死は、私がはじめて突破して私たちの暗い世界に光の急流を注ぐ理想の限界のように見えた。
フランケンシュタイン:02 フランケンシュタイン
(新字新仮名)
/
メアリー・ウォルストンクラフト・シェリー
(著)
『これはきっと
颶風
(
ぐふう
)
ですね。ずぶんひどい風ですね。』
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鳥も棲まはぬ
気圏
(
そら
)
までも
颶風
(
ぐふう
)
によつて投げられたらば
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
西から東へ沈黙の
颶風
(
ぐふう
)
が歩む
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
俄に起る一夜の
颶風
(
ぐふう
)
。
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
きっとこの
颶風
(
ぐふう
)
が過ぎたら、その善良な平和の目的を温健に貫徹するための手腕ある代表者が現れて、世界の期待を空しくしないでしょう。
三面一体の生活へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
聖なる
颶風
(
ぐふう
)
の一息は飛びきたってその二人を貫通し、二人は
慄然
(
りつぜん
)
と身を震わし、そして一人は最上の歌を歌い、一人は恐るべき叫びを発する。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
騷ぎは
颶風
(
ぐふう
)
の如く捲き起りましたが、何を何うすれば宜いのか、まるで見當が付きません。町役人のところへ人を飛ばせたのは、餘程經つてからの事。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今晩
(
こんばん
)
——
十時
(
じふじ
)
から
十一時
(
じふいちじ
)
までの
間
(
あひだ
)
に、
颶風
(
ぐふう
)
の
中心
(
ちうしん
)
が
東京
(
とうきやう
)
を
通過
(
つうくわ
)
するから、
皆
(
みな
)
さん、お
氣
(
き
)
を
付
(
つ
)
けなさるやうにといふ、たゞ
今
(
いま
)
、
警官
(
けいくわん
)
から
御注意
(
ごちうい
)
がありました。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
否々、そは我が言はんと欲せしところにあらず。わが本意は畫工に聖母のみ畫かせんとにはあらず。めでたき山水も好し。賑はしき風俗畫、
颶風
(
ぐふう
)
に
抗
(
あらが
)
ふ舟の圖も好し。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
颶風
(
ぐふう
)
の起こる少し前である、大船の
船首
(
へさき
)
に佇んで、空を見ている人物があった、天文学者西川正休。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
颶風
(
ぐふう
)
が襲って来た。今は船も
覆
(
くつがえ
)
るほどの大荒になって来た。船客も船頭も
最早
(
もは
)
や
奇蹟
(
きせき
)
の力を頼まねばならぬ羽目になって
髻
(
もとどり
)
を切って仏神に祈った。船は漸く港についた。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
五体に
颶風
(
ぐふう
)
を起して、無念と、やにわに組みついてゆくが早いか、重左はヒラリと
楊柳
(
ようりゅう
)
流しに
体
(
たい
)
を開き、同時に振りかぶった稀代の竹杖に怖るべき殺気をブーンと
孕
(
はら
)
ませた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逸早
(
いちはや
)
く帝都の諸新聞紙はこの発表をデカデカの活字で報道したものだから、知ると
識
(
し
)
らざるとを問わず、どこからどこの
隅々
(
すみずみ
)
まで、一大センセイションが
颶風
(
ぐふう
)
の如く
捲
(
ま
)
きあがった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あれは、みんな雪の粉ですよ。かうやつて
下
(
した
)
から見ると、
些
(
ちつ
)
とも動いて居ない。然し、あれで地上に起る
颶風
(
ぐふう
)
以上の速力で動いてゐるんですよ。——君ラスキンを読みましたか」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
風はこんどは
颶風
(
ぐふう
)
となって吹いてきた——まだ眠ってる寒がりの大地を熱い息で温める春の南風、氷を
融
(
と
)
かして豊かな雨を集めてる南風。それが谷の彼方の森の中に宵のように
吼
(
ほ
)
え立てた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
寝ても醒ても油断が出来ない
中
(
うち
)
に、やがて天地も
覆
(
くつがえ
)
る大雷雨、大
颶風
(
ぐふう
)
、大氷雪が
落
(
おち
)
かかって、樹も草もメチャメチャになった地上を、死ぬ程、狂いまわらせられる。……ああ……セツナイ。
堪
(
たま
)
らない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『この風はたしかに
颶風
(
ぐふう
)
ですね。』
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
幾何学は誤りをきたし、ただ
颶風
(
ぐふう
)
のみが真を伝える。それはポリーブに対して異説を立てしむるの権利をフォラールに与えるところのものである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
騒ぎは
颶風
(
ぐふう
)
のごとく
捲
(
ま
)
き起りましたが、何をどうすればよいのか、まるで見当が付きません。町役人のところへ人を飛ばせたのは、余程経ってからの事。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
颶
漢検1級
部首:⾵
17画
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
“颶”で始まる語句
颶母