トップ
>
陸
>
くが
ふりがな文庫
“
陸
(
くが
)” の例文
一つの堂を中にし、庭を隔てて
対
(
むか
)
いの楼上の燈を見るに、折から霧濃く立迷いたれば、海に泊まれる船の燈を
陸
(
くが
)
より遥に望むが如し。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あらず、あらず、
彼女
(
かれ
)
は犬にかまれて
亡
(
う
)
せぬ、恐ろしき
報酬
(
むくい
)
を得たりと答えて十蔵は
哄然
(
こうぜん
)
と笑うその笑声は
街
(
ちまた
)
多き
陸
(
くが
)
のものにあらず。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
渋江の家には抽斎の歿後に、既にいうように、未亡人五百、
陸
(
くが
)
、
水木
(
みき
)
、専六、
翠暫
(
すいざん
)
、嗣子
成善
(
しげよし
)
と矢島氏を冒した
優善
(
やすよし
)
とが遺っていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鶏は
陸
(
くが
)
に米を
啄
(
ついば
)
み家鴨は水に
泥鰌
(
どじょう
)
を追うを悟り、寝静まりたる家家の向う「低き夢夢の畳める間に、晩くほの黄色き月の出を見出でて」
久米正雄:――傚久米正雄文体――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
絵画についての
嗜好
(
しこう
)
は次第に強烈になって、絵であればどんなものでも面白がって見るようで、ある時
陸
(
くが
)
翁の娘の六ツばかりになる児が
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
刀は抜けて
湖
(
うみ
)
に沈んで、
小刀
(
しょうとう
)
ばかり帯に残つたが、
下
(
した
)
が
陸
(
くが
)
に成つた時、砂浜の
渚
(
なぎさ
)
に少年を落して、鷲は目の上の絶壁の
大巌
(
おおいわ
)
に翼を休めた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かゝる織物かけられしことなし、たとへばをりふし岸の小舟の
半
(
なかば
)
水に半
陸
(
くが
)
にある如く、または
食飮
(
くひのみ
)
しげきドイツ
人
(
びと
)
のあたりに
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
風の餘り好かりければ、初めソレントオより
陸
(
くが
)
に上るべかりし航路を改め、直ちに拿破里の入江を指して進むことゝなりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
陸
(
くが
)
には、
鰐淵寺
(
わにぶちでら
)
をはじめ、日ノ
御碕
(
みさき
)
の神職土屋一族、大社の
国造孝時
(
くにのみやつこたかとき
)
などの宮方。——また、はるかにはかの
伯耆
(
ほうき
)
の
大山
(
だいせん
)
が我をさしまねくかのごとき
相
(
すがた
)
だ。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
王 じゃと申して水と
陸
(
くが
)
に生きる事のよう出来るものは神のお造り召された生きものの中にあるのじゃ。
胚胎
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
一旦は船へ戻るとしても出直して、北上の
竿頭
(
かんとう
)
さらに一歩を進めて、
陸奥
(
みちのく
)
の
陸
(
くが
)
の果てなる恐山——鬼が出るか、
蛇
(
じゃ
)
が出るか、そこまで行って見参したいものだな。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
………午後四時頃、婆サント
陸
(
くが
)
子ガ這入ッテ来ル。陸子ヲコノ部屋デ見ルノハ久シ振デアル。七月十九日ニ予ノ拒絶ニ会ッテカラ、彼女ハスッカリ予ニ愛想ヲ盡カシテイタ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
陸
(
くが
)
や浜田は早くも去って古川一人が自恃庵の残塁に
拠
(
よ
)
っていたが、区々たる官僚の
規矩
(
きく
)
を守るを
屑
(
いさぎ
)
よくしないスラヴの変形たる老書生が官人気質の小叔孫通と
容
(
い
)
れるはずがないから
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ある群は千鳥
型
(
がた
)
して、また
或
(
あ
)
るは
陸
(
くが
)
の方向き、また
或
(
あ
)
るはちりちりと散り、すれすれに
或
(
あ
)
るは落ちつつ、波の上驚きて飛び、時に消え、時に明り、いよいよに暗く恐れて、いよいよに
青
(
さを
)
に
染
(
そ
)
まりて
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
漁夫もこの頃は
將來
(
さきざき
)
の望みのないことに多少氣がついて來て、思ひ切つて百姓になる者が出來て來たが、百姓だと米の飯に魚を添へて食ふ譯に行かんし、こんな村ぢや海でも
陸
(
くが
)
でもえゝことはない。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
平
(
たひら
)
なる
陸
(
くが
)
にかたまり青きをば
柳
(
やなぎ
)
の
木
(
き
)
かとおもひつつ居る
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
おだしく
陸
(
くが
)
へおくり返さむ。8415
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
希望
(
のぞみ
)
の
墜葉
(
おちば
)
滅ぶる
陸
(
くが
)
うづしほ
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
海女とても
陸
(
くが
)
こそよけれ桃の花
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
陸
(
くが
)
を
行
(
ゆ
)
けば
平地
(
へいち
)
を
歩
(
あゆ
)
むが
如
(
ごと
)
く
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
陸
(
くが
)
の妻にまかす。
佐藤春夫詩集
(旧字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
渋江氏ではこの年
感応寺
(
かんのうじ
)
において抽斎のために法要を営んだ。五百、保、矢島
優
(
ゆたか
)
、
陸
(
くが
)
、水木、比良野
貞固
(
さだかた
)
、飯田
良政
(
よしまさ
)
らが来会した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
較
(
くら
)
ぶればここのは大樹だ。椅子の丈は
陸
(
くが
)
の山よりも高い。そうしている貴女の姿は、夕日影の峰に、雪の消残ったようであろう。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我等は喜べり、されどこの喜びはたゞちに歎きに變れり、一陣の旋風新しき
陸
(
くが
)
より起りて船の
前面
(
おもて
)
をうち 一三六—一三八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
われは
徐
(
しづ
)
かに、ジエンナロよ、そはよも眞面目なる詞にはあらじといひて、其手を握りしに、ジエンナロは手を引き面を
背
(
そむ
)
け、舟人に
陸
(
くが
)
に着けよと命ぜり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これが
陸
(
くが
)
を行き、海を
掃
(
は
)
いて進んで行くさまは、けだし壮観をきわめたであろう。「梅松論」の筆者も
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
月はさやかに照りて海も
陸
(
くが
)
もおぼろにかすみ、ここかしこの
舷燈
(
げんとう
)
は星にも似たり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
今日辻堂カラ
陸
(
くが
)
子ガ子供達ヲ連レテ来ルノデ、ソレヲ心待チニシテイルラシイ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また或るは
陸
(
くが
)
の方向き、また或るはちりちりと
退
(
の
)
き、すれすれに或るは落ちつつ波の上驚きて飛び、時に消え、時に明り、いよいよに暗く恐れて、いよいよに青に
染
(
そ
)
まりて、時わかず連れ啼く千鳥
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夏潮を
蹶
(
け
)
つて戻りて
陸
(
くが
)
に立つ
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
陸
(
くが
)
の妻にまかす。
佐藤春夫詩集
(旧字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
陸
(
くが
)
を
細
(
ほそ
)
めし
鑿
(
のみ
)
の
業
(
わざ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
当時の家族は主人四十五歳、
妻
(
さい
)
五百
(
いお
)
三十四歳、長男恒善二十四歳、次男
優善
(
やすよし
)
十五歳、四女
陸
(
くが
)
三歳、五女癸巳一歳の六人であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
人間は知らんのか、知っても知らないふりをするのだろう。知らない
振
(
ふり
)
をして見ないんだろう。——
陸
(
くが
)
は尊い、景色は得難い。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
されど未だかく
奇
(
くす
)
しき笛にあはせて歩騎動き、
陸
(
くが
)
または星をしるべに船進むをみしことあらじ 一〇—一二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
なにせい、わずか九隻。それにくらべ、敵の兵船は大小百余艘もありましょうか。
陸
(
くが
)
において、攻め口を
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
舟人は
漁舟
(
すなどりぶね
)
を
陸
(
くが
)
に曳き上げたり。暮色漸く至れば、新に
點
(
とも
)
したる燈火その光を増して、
水面
(
みのも
)
は碧色にかゞやけり。一時四隣は寂として聲なかりき。忽ち歌曲の聲の岸より起るあり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「颯子バカリジャナイ、
陸
(
くが
)
子ナンゾ見舞ニ来ヤガッタラ承知シナイゾ」
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
天雲
(
あまぐも
)
の青くたなびく大き
陸
(
くが
)
かくいにしへも
和
(
やは
)
したまひき
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
船に乗れば
陸
(
くが
)
情あり暮の秋
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
ただ
陸
(
くが
)
は貴い。けれども、我が海は、この水は、一
畝
(
うね
)
りの波を起して、その陸を浸す事が出来るんだ。ただ貴く、
美
(
うつくし
)
いものは
亡
(
ほろ
)
びない。……中にも貴女は美しい。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これがわかると
陸
(
くが
)
では兵庫から生田、御影へかけて狂喜の
歓呼
(
かんこ
)
がうねりのようにつたえられ
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
流
(
ながれ
)
めての方にて折れ、こなたの
陸
(
くが
)
膝がしらの如く出でたるところに田舎家二、三軒ありて、
真黒
(
まくろ
)
なる粉ひき車の輪
中空
(
なかぞら
)
に
聳
(
そび
)
え、ゆん
手
(
で
)
には水に
枕
(
のぞ
)
みてつき出したる
高殿
(
たかどの
)
の
一間
(
ひとま
)
あり。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
一心に島と
陸
(
くが
)
とに鳴く虫の声澄み入れり闇夜なりけり
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「おのれ。その儀なれば、
陸
(
くが
)
へ戻って、もう一戦せん。
諸葛亮
(
しょかつりょう
)
、そこをうごくな」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
流れめての方にて折れ、こなたの
陸
(
くが
)
膝
(
ひざ
)
がしらのごとくいでたるところに田舎家二三軒ありて、真黒なる粉ひき車の輪
中空
(
なかぞら
)
にそびえ、ゆん手には水にのぞみてつきだしたる高殿の一間あり。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
夕かげは
陸
(
くが
)
の
岬々
(
さきざき
)
嶋の
岬
(
さき
)
遠
(
とほ
)
ながく見て
高度
(
かうど
)
行くなり
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「は。……それゆえに、
陸
(
くが
)
では早や落ち行く道はただの一つもありませぬ」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こはもと海のものなれば、
陸
(
くが
)
には馴れず
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
漂
(
ただよ
)
う海に一つの
陸
(
くが
)
を見つけたように、生れてから一遍に
溢
(
あふ
)
れわいた思慕と肉親への肌恋しさが——これは抑えるべくもなく、ずいぶん連れの権之助をも困らしたほど、きょうまでは楽しみにして
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“陸”の意味
《名詞》
(リク、おか) 地球の表面で、水に覆われていない部分。
(出典:Wiktionary)
“陸”の解説
陸(りく)とは、地球の表面のうち海水に覆われていない部分を指す。陸地(りくち)ともいう。対義語は海。
(出典:Wikipedia)
陸
常用漢字
小4
部首:⾩
11画
“陸”を含む語句
陸地
陸上
陸橋
上陸
陸路
陸奥
陸尺
陸奧
北陸道
常陸
陸奥守
道陸神
陸稲
常陸国
北陸
陸湯
陸奥国
陸使
陸影
陸地測量部
...