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謂
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いい
ふりがな文庫
“
謂
(
いい
)” の例文
今の劇壇はこのままでいいとは、急激な苦い薬を飲ませずに、最中やオムラートで包んで飲ませようの
謂
(
いい
)
である、私は常にそう思う。
当今の劇壇をこのままに
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「自己の自由を
枉
(
ま
)
げて公同の自由を伸ばす」との
謂
(
いい
)
にして、貧富智愚の差等にかかわらず人民みな平等に自由を享有することを指す。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
窮するとは道に窮するの
謂
(
いい
)
に非ずや。今、
丘
(
きゅう
)
、仁義の道を抱き乱世の患に遭う。何ぞ窮すとなさんや。もしそれ、食足らず体
瘁
(
つか
)
るるを
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
予これを
忖度
(
そんたく
)
す〉とは
夫子
(
ふうし
)
の
謂
(
いい
)
なり、我は自分で
行
(
や
)
っておきながら、何の訳とも分らなんだに夫子よくこれを言い
中
(
あ
)
てたと
讃
(
ほ
)
めたので
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
また手工が機械を排するという
謂
(
いい
)
でもない。何故なら人はなんらかの道具なくして手工を充分に働かすことはできないからである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
簡単にいえば、それは存在の Jeweiligkeit の
謂
(
いい
)
である。現実のどれでもの存在が凡庸性ということによって意味される。
マルクス主義と唯物論
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
また「安蘇に無姓なし」という俚言の行われたのも、仕事ぎらいの無性者を指したのではなくて、家々の由緒や系図をほこる
謂
(
いい
)
であった。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
「御同様⁉」と五助は日脚を見て仕事に
懸
(
かか
)
る気、寮の美人の剃刀を研ぐ気であろう。
桶
(
おけ
)
の中で
砥石
(
といし
)
を洗いながら、慌てたように
謂
(
いい
)
返した。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
個人的人格の要素たる意志の自由ということは一般的なる者が
己
(
おのれ
)
自身を限定する self-determination の
謂
(
いい
)
である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
実に今日の詩壇に於て吾人が一般に言っている抒情詩とは、近代に於ける短篇詩の
謂
(
いい
)
であって、古典のそれと意味が大いにちがっている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
しかして先にも述べた通り勝つとは我が意を
遂
(
と
)
ぐるの
謂
(
いい
)
であるなら、不正不利の名利は敗北と称すべきもので、勝利というべきものでない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
これを断食と称するも、決して絶食するの
謂
(
いい
)
にあらず、ただ生肉を食せざるのみ。なお、わが国の精進潔斎というがごとし。
欧米各国 政教日記
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
これ本校が独語に取らず仏語に取らず、
故
(
ことさ
)
らにこれを英語に取り、以てこれを子弟に授くるもの
乎
(
か
)
(謹聴)。その用意、又密なりと
謂
(
いい
)
つべし。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
この
謂
(
いい
)
は、ことに初期の志士その人が多く文人学士で、時にひどい貧乏に耐えていた事態と、べつに背馳するわけでない。
志士と経済
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
ここにあたかも貧乏線の真上に乗っている者というのは、その収入がまさに前回に述べたる生活必要費の最下限に相当しつつある者の
謂
(
いい
)
である。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
適宜なる分配とは、平等なる分配の
謂
(
いい
)
ではなくて、公平なる分配の謂である。最上の平等とはすなわち公平のことである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しこうしてその説論の生ずる源は疑いの一点にありて存するものなり。「疑いの世界に真理多し」とはけだしこの
謂
(
いい
)
なり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
人生の創造ということは、実人生と遊離している世界を創って、読者を
嚇
(
おど
)
かすことでは無い。人生を向上さす可くユートピアを創る
謂
(
いい
)
なのである。
思ったままを!
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
身体強健、なおよく
鋤
(
くわ
)
を執り、
畚
(
もっこ
)
を
荷
(
にな
)
い、
旦暮
(
たんぼ
)
灌漑
(
かんがい
)
して
自
(
み
)
ずから楽んでおります。いわゆる
老而益壮
(
おいてますますさかん
)
なると申すは、この人の
謂
(
いい
)
でござりましょう。
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
自由——それはなんの
謂
(
いい
)
であるか。まさか王侯の玉座の前で、いささか平民の品位を示すということではあるまい。
悩みのひととき
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
野
(
や
)
にあって腕のムズ
痒
(
がゆ
)
さに堪えぬ
者共
(
ものども
)
を幕府が召し集めて、最も好むところの腕立てに任せる役目ですから、毒を以て毒を制すると
謂
(
いい
)
つべきものです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかるに、映画的題材とは、映画の表現能力を、力いっぱい出しきれるような対象の
謂
(
いい
)
でなければならぬ。
映画と癩の問題
(新字新仮名)
/
伊丹万作
(著)
いや、つまりそれほど一大騒動の原因になっているくらいの「巷のクレオパトラ」、「モンマルトルのヴィナス」、「モナコの岸」の金剛石とでも
謂
(
いい
)
つべきのが
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「でんぼん横町」とは「伝法院横町」の
謂
(
いい
)
、「ちんやの横町」とは文字通りちんやの横町の謂である。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
真個
(
しんこ
)
の富国強兵とは、単に国民の
財嚢
(
ざいのう
)
重きの
謂
(
いい
)
ではない。また海陸の軍備の整えるを申すのでもない。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
不義醜徳を観察するの
謂
(
いい
)
か、みずからこれを行うの謂か、もし後者なりとせば、
窃盗
(
せっとう
)
の内秘を描かんとするときは、まず窃盗たり、
姦婦
(
かんぷ
)
の心術を写さんとするときは
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
即ちこれが最も幸福の状態チャ・チャン・ペンマ(酒と茶とこもごも飲むの
謂
(
いい
)
なり)といって、前にも説明したようにチベット人の幸福の境涯の状態を現して居るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
昔
(
むか
)
し洋人はじめて
印度
(
インド
)
に航する者あり。王に
謂
(
いい
)
て曰く、臣が国、
冬日
(
とうじつ
)
あり、水
凍結
(
とうけつ
)
して
晶
(
しょう
)
のごとく、鏡のごとく、堅きこと石のごとしと。王
己
(
おのれ
)
を
詐
(
いつわ
)
るとなしてこれを殺せり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
かかる世界を認知するのが余のいわゆる理路を看取するの
謂
(
いい
)
なのであり、そうして、それは人の理性の要求でもあり、また現代の学術眼から視て許容せらるべきことでもある。
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
仰せの通り『安政絶句』中に
相洩
(
あいもら
)
し候にて
微
(
すこ
)
しく野心を相挟み、
陶奴推刃
(
とうどすいじん
)
之気味無きにしもあらず。誠に小量と
謂
(
いい
)
つ可し矣。一体軽薄の人物にて心も雲の如く翻覆定り無く候。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ツンドラ地帯とは
蘚苔
(
せんたい
)
類の層積から成る幌内川の沿岸は
広袤
(
こうぼう
)
数十里に亘る地帯の
謂
(
いい
)
である。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
美的修飾は贅沢の
謂
(
いい
)
に非ず、
破袴弊衣
(
はこへいい
)
も配合と調和によりては縮緬よりも
友禅
(
ゆうぜん
)
よりも美なる事あり。
名古屋山三
(
なごやさんざ
)
が
濡燕
(
ぬれつばめ
)
の縫ひは美にして伊左衛門の
紙衣
(
かみこ
)
は美ならずとはいひ難し。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
まず今までに耳にしたところでは、村岡
櫟斎
(
れきさい
)
翁の『甲信紀程』に軽井沢は
涸渓
(
かれさわ
)
の義ならんとあり。吉田博士の辞書にけだし水源涸渇の渓頭の
謂
(
いい
)
ならんとある。これが一説である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
要旨を
掻摘
(
かいつま
)
むと、およそ弁論の雄というは無用の
饒舌
(
じょうぜつ
)
を弄する
謂
(
いい
)
ではない、鴎外は無用の雑談冗弁をこそ好まないが、かつてザクセンの建築学会で日本家屋論を講演した事がある
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
万一にも幕府に
非違
(
ひい
)
があれば、敢然と起って
朝
(
ちょう
)
の御盾とならなければならぬ、忠とはそのことの
謂
(
いい
)
だと仰せられました、……靖献遺言がまことに義烈の精神をやしなう書であるなら
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
先生その
大意
(
たいい
)
を人より聞き
余
(
よ
)
に
謂
(
いい
)
て
曰
(
いわ
)
く、
兼
(
かね
)
てより幕末外交の
顛末
(
てんまつ
)
を
記載
(
きさい
)
せんとして志を
果
(
はた
)
さず、今評論の
誤謬
(
ごびゅう
)
を正す
為
(
た
)
めその一端を
語
(
かた
)
る
可
(
べ
)
しとて、当時の事情を
説
(
と
)
くこと
頗
(
すこぶ
)
る
詳
(
つまびらか
)
なり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
「なんと、あるじ? と、土民の
謂
(
いい
)
ではござらぬか、おいたわしい——ご家老」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ああ
如何
(
いか
)
にすべきや、
誰
(
たれ
)
かこの声に抗するものあらんや、しからば
倒
(
たお
)
るるとも正義を守れとの
謂
(
いい
)
か、ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「
尺蠖之屈
(
せきかくのくっするは
)
、
以求信也
(
もってのびんことをもとむるなり
)
、
龍蛇之蟄
(
りょうだのかくるるは
)
、
以存身也
(
もってみをながらえるなり
)
」とはこれの
謂
(
いい
)
であるといった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
○
拿破崙
(
ナポレオン
)
第一世、あるとき有名の女先生「カムペン」に
謂
(
いい
)
て
曰
(
いわく
)
、旧来の教育法は、ほとんどその貴重すべきものなきに似たり。しかして人民をよく訓導するために欠くところのもの、何ぞや。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
顕
(
けん
)
にして
晦
(
かい
)
、肯定にして否定とは正に『それだけだ』の
謂
(
いい
)
でありましょう。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
面白いというのは其処に人生の味が
濃
(
こまや
)
かに味わわれる
謂
(
いい
)
である。社会現象の
中
(
うち
)
でも
就中
(
なかんずく
)
男女の関係が最も面白そうだが、其面白味を十分に味わおうとするには、自分で実験しなければならん。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その人を尊敬し、かばい、その人の悪口を言う者をののしり殴ることによって、自身の、世の中に於ける地位とかいうものを危うく保とうと汗を流して懸命になっている一群のものの
謂
(
いい
)
である。
如是我聞
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「野暮は
揉
(
も
)
まれて粋となる」というのはこの
謂
(
いい
)
にほかならない。
婀娜
(
あだ
)
っぽい、かろらかな微笑の裏に、
真摯
(
しんし
)
な熱い涙のほのかな
痕跡
(
こんせき
)
を見詰めたときに、はじめて「いき」の真相を
把握
(
はあく
)
し得たのである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
花鳥(自然)諷詠という事は俳句それ自身の
謂
(
いい
)
である。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
史家の申しているのは実にこの
謂
(
いい
)
なのであります。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
憲政有終の美を済すとは何の
謂
(
いい
)
ぞ
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
矢部余に
謂
(
いい
)
て曰く
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
俗語でかかるものを「
下手
(
げて
)
」な品と呼ぶことがあります。ここに「下」とは「並」の意。「手」は「
質
(
たち
)
」とか「類」とかの
謂
(
いい
)
。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
形相とは時間空間を超越した事物の永遠なる本質の
謂
(
いい
)
である。かくのごとき本質の直観があたかもギリシア人にとって最高の認識であった。
科学批判の課題
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
謂
漢検準1級
部首:⾔
16画
“謂”を含む語句
所謂
由謂
以謂
謂捨
王勃所謂
謂出
謂予
謂集
丁謂
謂知
謂無
謂歟
謂可
敢問何謂浩然之気
所謂因縁
得謂
可謂
其謂
何如斯可謂之土矣
今之孝者是謂能養