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見下
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みくだ
ふりがな文庫
“
見下
(
みくだ
)” の例文
が、こんな時、一座を冷然と
見下
(
みくだ
)
すように座っているのは良沢だった。彼は、みんなが発するような愚問は、決して発しなかった。
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それはどうも自分を
見下
(
みくだ
)
している微笑のように思われて、その見下されるのが自分の当然受くべき罰のように思われたからである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
『愚僧の申す事が疑わしければ、あの
采女柳
(
うねめやなぎ
)
の前にある
高札
(
こうさつ
)
を読まれたがよろしゅうござろう。』と、
見下
(
みくだ
)
すように答えました。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これは道のために熱中する至純な心を裏から言ったものであるが、それによって横柄な俗物を高い所から
見下
(
みくだ
)
したことにもなる。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
やはり自分は田舎侍であったという正直な
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
である。しかし相手がそれを
見下
(
みくだ
)
しているような
倨傲
(
きょごう
)
でないことは十分にわかっていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
健三はまた自分を認めない細君を
忌々
(
いまいま
)
しく感じた。一刻な彼は遠慮なく彼女を眼下に
見下
(
みくだ
)
す態度を公けにして
憚
(
はばか
)
らなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
博士は水つぽい
吸物
(
すひもの
)
を
啜
(
すゝ
)
りながら、江戸つ子に
附物
(
つきもの
)
の、東京以外の土地は
巴里
(
パリー
)
だらうが、天国だらうが、みんな田舎だと
見下
(
みくだ
)
したやうな調子で
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
智力思想の活溌高尚なることは王侯
貴人
(
きにん
)
も
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みくだ
)
すと云う
気位
(
きぐらい
)
で、
唯
(
ただ
)
六かしければ面白い、
苦中有楽
(
くちゅううらく
)
、
苦即楽
(
くそくらく
)
と
云
(
い
)
う境遇であったと思われる。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは鷹雄といふ若者が、話にも聞いてゐたがそれ以上の文学者流の神経質で、「俗物」のわたしを
見下
(
みくだ
)
してゐるのを、この眼で見知つたことだつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
こうして総てを眼下に
見下
(
みくだ
)
して、自分だけ慢心してしまいました。たった一人で、俺は人間以上のものだと威張り腐って生きているようになりました。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ステパンはこれまで自分の羨んでゐる人々を眼下に
見下
(
みくだ
)
すやうな、高い地位に身を置いたのである。併しステパンが僧になつた動機はこればかりではない。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
それを
此様
(
こん
)
な読方をして、
難有
(
ありがた
)
がって、
偶
(
たまたま
)
之を読まぬ者を
何程
(
どれほど
)
劣等の人間かのように
見下
(
みくだ
)
し、得意になって語る友も友なら、其を聴いて敬服する私も私だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「いやいやまんざらそうでもあるまい。飯田の南条右近というは小野派一刀流では使い手だそうだ。その方の三男とあって見れば
見下
(
みくだ
)
すことは出来ないではないか」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一
山
(
さん
)
の
豺狼
(
さいろう
)
麋鹿
(
びろく
)
畏
(
おそ
)
れ従はぬものとてなかりしかば、虎はますます猛威を
逞
(
たくまし
)
うして、自ら
金眸
(
きんぼう
)
大王と名乗り、
数多
(
あまた
)
の
獣類
(
けもの
)
を眼下に
見下
(
みくだ
)
して、一山
万獣
(
ばんじゅう
)
の君とはなりけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
阿諛
(
あゆ
)
と
諂佞
(
てんねい
)
に取卷かれ、人を
見下
(
みくだ
)
してばかり來た貫兵衞は、自分の世帶になつて、世の中に正面から打つかつた時、初めて、自分の才能、
容貌
(
ようばう
)
、
魅力
(
みりよく
)
——等に對する
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
捨てぬ春琴のような娘が代々の家来筋に当る佐助を低く
見下
(
みくだ
)
したことは想像以上であったであろう。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
もっとも、モンセーニュール一門の優秀な人種だけは常にその例外で、その連中は、彼の妻もその中に含めて、最も高慢な侮蔑の念をもって彼を
見下
(
みくだ
)
していたのである。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
しかるに三友の容貌は少しも
和
(
やわら
)
がないのみか、かえって
傲然
(
ごうぜん
)
として彼を
見下
(
みくだ
)
すその態度に
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
今
(
いま
)
の
零落
(
れいらく
)
を
高見
(
たかみ
)
に
見下
(
みくだ
)
して
全體
(
ぜんたい
)
意氣地
(
いくぢ
)
が
無
(
な
)
さすぎると
言
(
い
)
ひしとか
酷
(
こく
)
と
思
(
おも
)
ふは
心
(
こゝろ
)
がらなり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「どう、白状したら……、でも、いい
醜態
(
ざま
)
じゃないの。自分がさんざん、
罪科
(
つみとが
)
もない人たちを、
見下
(
みくだ
)
していたんだからね。その台の下へ、いまに御自分が立つんでしょうからねえ」
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
アユノカゼに東風の二字を
宛
(
あ
)
てたものが有名であるので、多くの国語辞典にはこの語を東風と註し、それを他の方角の風とするものを方言と
見下
(
みくだ
)
すらしいが、この漢字の使用こそは
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかるに、
上役
(
うわやく
)
は、
冷然
(
れいぜん
)
として、
皮肉
(
ひにく
)
な
目
(
め
)
つきで、その
男
(
おとこ
)
を
見下
(
みくだ
)
して、
命令
(
めいれい
)
します。この
場合
(
ばあい
)
、だれが
聞
(
き
)
いても
無理
(
むり
)
と
思
(
おも
)
われるようなことでも、
男
(
おとこ
)
は、
服従
(
ふくじゅう
)
しなければなりませんでした。
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いばりやで
見
(
み
)
え
坊
(
ぼう
)
で、世界一大金持のようにおもい上がって、ほかの商人たちのなかまを
見下
(
みくだ
)
しながら、
侯爵
(
こうしゃく
)
とか
伯爵
(
はくしゃく
)
とか
貴族
(
きぞく
)
のやしきによばれて、ぶとう会やお茶の会のなかまになることを
ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)
(新字新仮名)
/
ガブリエル=シュザンヌ・バルボ・ド・ヴィルヌーヴ
(著)
高楼に
上
(
のぼ
)
せて、道庵先生の古屋敷を眼下に
見下
(
みくだ
)
させながら、そこでお化粧をさせたり、
艶
(
なま
)
めかしい
振舞
(
ふるまい
)
をさせたり、鼻をかんだ紙を投げさせてみたり、
哄
(
どっ
)
と声を上げて笑わせたりなどしていました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こう云って二人の侍は、女のような
木樵
(
きこり
)
と三匹の犬とをさも
莫迦
(
ばか
)
にしたように
見下
(
みくだ
)
しながら、途を急いで行ってしまいました。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
京都の市民を
見下
(
みくだ
)
すということ、或は礼拝堂の上に住屋を重ねるのは日本の風でないということ、などであった。
鎖国:日本の悲劇
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
中津人は俗物であると
思
(
おもっ
)
て、
骨肉
(
こつにく
)
の
従兄弟
(
いとこ
)
に対してさえ、心の中には何となく
之
(
これ
)
を
目下
(
めした
)
に
見下
(
みくだ
)
して居て、
夫等
(
それら
)
の者のすることは一切
咎
(
とがめ
)
もせぬ、
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
けれどもそれは彼の胸に来る痛さで、彼の頭に
応
(
こた
)
える痛さではなかった。彼の頭はこの露骨な打撃の前に冷然として相手を
見下
(
みくだ
)
していた。細君は微笑した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
足かけ三年にわたる籠城に、さすが気節を以て、上方武者は
浮華軽薄
(
ふかけいはく
)
のものと、一概に
見下
(
みくだ
)
していた中国の将士も、いまは見るかげもない姿を持ち合って
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いやに名優
面
(
づら
)
をして、人の舞台を
見下
(
みくだ
)
すやうな笑ひ方をしやがる。一度
思
(
おも
)
ふ
様
(
さま
)
油を取つてやらなくつちや。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その上、彼の心の一隅には、日頃一座に対して高飛車な、
見下
(
みくだ
)
したような態度を取っている良沢が大切な企てにもれることを、いい見せしめだと思う心が、かすかではあるが動いていた。
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ソレで私は
中津
(
なかつ
)
に居て上流士族から
蔑視
(
べっし
)
されて居ながら、私の身分以下の藩士は
勿論
(
もちろん
)
、町人百姓に
向
(
むかっ
)
ても、
仮初
(
かりそめ
)
にも
横風
(
おうふう
)
に構えてその人々を目下に
見下
(
みくだ
)
して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
(
下手
(
へた
)
には
見下
(
みくだ
)
せぬやつだ。気軽なようで底が知れぬし、
大雑把
(
おおざっぱ
)
なようで、
眸
(
ひとみ
)
づかいは鋭くて細かい)
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春雨の欄に出て、
連翹
(
れんぎょう
)
の花もろともに古い庭を
見下
(
みくだ
)
された事は、とくの昔に知っている。今更
引合
(
ひきあい
)
に出されても驚ろきはしない。しかし二階からもとなると
剣呑
(
けんのん
)
だ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
敗軍の将が、勝利の使者を、城下に
見下
(
みくだ
)
して、物を問うも異なものである。——ここでは主君の意を申すわけに相成らん。それがしを城内へ迎え、正当の礼を
執
(
と
)
られたい
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後
(
のち
)
に人の説明を聞いて始めて知ったのだが、このだだっ広い応接間は、実は舞踏室で、それを
見下
(
みくだ
)
している手摺付の二階は、楽隊の楽を奏する所にできているのだそうだ。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この納所にも、
凡
(
ただ
)
の日蓮坊主ではないような骨ぐみがある、武蔵を
見下
(
みくだ
)
して意見するのである。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども時々は、つい年長者の
傲
(
おご
)
る心から、親しみの強い彼を
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みくだ
)
して、浅薄と
心付
(
こころづき
)
ながら、その場限りの無意味にもったいをつけた訓戒などを与える折も無いではなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と女は、そんな大身の所へ用があって行くという伊織の小さな身なりを、
見下
(
みくだ
)
してまた笑った。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
師が老いてゆくと、善鬼はその師を
見下
(
みくだ
)
して、一刀流は自己の独創であるように誇称した。一刀斎は、善鬼の剣が、磨かれて行くほど、社会に害があって、益のない成行きをながめ
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分は一切働かずに天下を
見下
(
みくだ
)
し、父の名を時々振廻しておりさえすれば
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小次郎は、
傲岸
(
ごうがん
)
な微笑を含んでその人々を
見下
(
みくだ
)
しながら
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ざまを見ろ」と、降伏者を
見下
(
みくだ
)
すように、誇りきった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“見下”で始まる語句
見下果