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膠
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にべ
ふりがな文庫
“
膠
(
にべ
)” の例文
膠
(
にべ
)
もなく断わる感じで、普段なら、「これ以上肥ったら大変だから」といったような冗談口のあってしかるべきところだったが……。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「おやじの血が騒ぐから」と
膠
(
にべ
)
もなくはねつけ、倫子のほうも、てんで問題にしなかったというような噂も聞いた記憶があった。
川波
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「……五十七番地」はその店たった一けんの小さな自転車屋へ入って訊いてもそんな番地は聞いたこともないという
膠
(
にべ
)
もない返事だった。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
自分をさして、ご老台とよぶのは、義経の
揶揄
(
やゆ
)
である。景時はもうそんな感情をゆり動かしながら
膠
(
にべ
)
もなく云い返した。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
膠
(
にべ
)
もない、活気もない、艶も光もない渋紙色した彼の顔面に相当する彼の声は、常に雑音で低調で、平板である。
逆徒
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
▼ もっと見る
道庵先生が言下に首を横に振ってしまったものですから、お雪ちゃんも、あんまり
膠
(
にべ
)
のないのに少々
狼狽
(
ろうばい
)
気味でした。そこを道庵が一杯ひっかけながら
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と
膠
(
にべ
)
もなく、
一喝
(
いつかつ
)
をしたかと
思
(
おも
)
ふと、
仙人
(
せんにん
)
どのと
覺
(
おぼ
)
しき
姿
(
すがた
)
、
窓
(
まど
)
から
飛
(
と
)
んで
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
、
山
(
やま
)
へ
上
(
のぼ
)
らせたまひけり。
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これは其方に御納めを、と心は左程に無けれども言葉に
膠
(
にべ
)
の無さ過ぎる返辞をすれば、源太大きに悦ばず。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は當時同じ不幸にあへるものに、同じ憐を垂れざることを得たりしか。われは讀むところの詩なるを忘れつ。沸きかへる
膠
(
にべ
)
の海より聞ゆる苦痛の聲は、我胸を
衝
(
つ
)
きたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
平次は
膠
(
にべ
)
もなく冷たく言い切って、巳之松の持って来た薬包を開いて見ました。
銭形平次捕物控:052 二服の薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、鹿児島やつたらお断りしまんね。」梅玉の返事には
膠
(
にべ
)
も
艶
(
つや
)
もなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ぶすりと
膠
(
にべ
)
ない
容子
(
ようす
)
でも
表面
(
へうめん
)
に
現
(
あらは
)
れたよりも
暖
(
あたゝ
)
かで、
女
(
をんな
)
に
脆
(
もろ
)
い
處
(
ところ
)
さへあるのであつた。
彼
(
かれ
)
が
盛年
(
さかり
)
の
頃
(
ころ
)
に
他人
(
たにん
)
の
目
(
め
)
についたのは、
自分自身
(
じぶんじしん
)
の
仕事
(
しごと
)
には
餘
(
あま
)
り
精
(
せい
)
を
出
(
だ
)
さないやうに
見
(
み
)
えることであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
で、
膠
(
にべ
)
もなく拒絶した。しかし彼はなかなか引き
退
(
さが
)
らない。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
友
(
とも
)
とし
樂
(
たのし
)
みゐるこそ樂みなれと
最
(
いと
)
物堅き長三郎が
回答
(
いらへ
)
に
膠
(
にべ
)
なく
言放
(
いひはな
)
すに忠兵衞今は
詮方
(
せんかた
)
なく是ほど迄に勸めるに
承引
(
うけひく
)
景状
(
けしき
)
あらざるは世に
偏屈
(
へんくつ
)
なる若旦那と
霎時
(
しばし
)
呆
(
あき
)
れて居たりしが
屹度
(
きつと
)
意
(
こゝろ
)
に思ひ附く事や有けん
膝
(
ひざ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そう
膠
(
にべ
)
なくいっては話も何もできはしないがな。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そうして景気よくまず呼鈴を鳴らした。——が、出て来たのは顔を知らない女中で、先生はお留守でございます……
膠
(
にべ
)
もなくそういった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「何にも喰べられやしませんわ。」と
膠
(
にべ
)
の無い返事をして、菊枝は何か思出してまた
潸然
(
さめざめ
)
とするのである。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で——店の者には、小口の
仕入
(
しい
)
れに来た、たばこ行商人と分っておりましたが、べつにお世辞の
相槌
(
あいづち
)
も打たず、九兵衛も手代も
膠
(
にべ
)
もなく黙っておりますと、男は
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と小人の
常態
(
つね
)
とて語気たちまち
粗暴
(
あら
)
くなり、
膠
(
にべ
)
なく言い捨て立たんとするにあわてし十兵衛、ではござりましょうなれど、と半分いう間なく、うるさい、
喧
(
やかま
)
しいと打ち消され
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と白雲が
膠
(
にべ
)
なくいいました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
アコ長は、
膠
(
にべ
)
もなく
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「どうぞその後を、それから。」と聞く身には他事をいううちが
牴牾
(
もどか
)
しく、
膠
(
にべ
)
もなく続きを
促
(
うなが
)
した。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
膠
(
にべ
)
のない若衆である。そういってまた他念なく、小猿の毛を指で掻き分けているのであった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と心はさほどになけれども言葉に
膠
(
にべ
)
のなさ過ぎる返辞をすれば、源太大きに悦ばず。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ずけりと
膠
(
にべ
)
もなく三浦はこたえた。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
膠
(
にべ
)
もない挨拶である。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
膠
(
にべ
)
もない言葉である。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ここは構わないで、湯にでも入ったら
可
(
よ
)
かろうと、湯治の客には妙にそぐわない世辞を言うと、
言
(
ことば
)
に
随
(
つ
)
いて、ではそうさして頂きます、後生ですわ、と
膠
(
にべ
)
もなく
引退
(
ひきさが
)
った。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いぶかる妹を、
膠
(
にべ
)
もなく後宮へ追い立て、孫権はすぐ政閣へ歩を移して、群臣に宣言した。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
膠
(
にべ
)
もなく小倉もいった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
源内先生は
膠
(
にべ
)
もなく
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と
膠
(
にべ
)
も無く云放つ。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
御勝手
(
ごかつて
)
になさい、
膠
(
にべ
)
のないこと
夥
(
おびたゞ
)
しい。
然
(
さ
)
やうでございませうとも、
成程
(
なるほど
)
晴
(
は
)
れたのではない。
窓
(
まど
)
をたよるほど
暗
(
くら
)
さが
増
(
ま
)
して
気
(
き
)
の
滅入
(
めい
)
る
事
(
こと
)
又
(
また
)
夥
(
おびたゞ
)
しい。
私
(
わたし
)
は
家
(
いへ
)
が
恋
(
こひ
)
しくなつた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
少し気色も直して調子づいて来た吉次のことばを、牛若はまた、
膠
(
にべ
)
もなくヘシ折って
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤波は
膠
(
にべ
)
もなく
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
何
(
ど
)
うぞ
其後
(
そのあと
)
を、それから、」と
聞
(
き
)
く
身
(
み
)
には
他事
(
たじ
)
をいふうちが
悶
(
もど
)
かしく、
膠
(
にべ
)
もなく
続
(
つゞき
)
を
促
(
うなが
)
した。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、この納所は、武蔵を追っ払おうとするのが肚か、いよいよ
膠
(
にべ
)
も
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
もない。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
膠
(
にべ
)
もない。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
光秀もその真情にたいしては、
膠
(
にべ
)
ない顔はできなかったが、左馬介の語ることのほとんどが自然の風物であり人事以外のことだった。光秀の心にはどうしても染まって来ないものばかりだった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
膠
(
にべ
)
もなく、
虞氏
(
ぐし
)
が
涙
(
なんだ
)
を
斥
(
しりぞ
)
けて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
膠
(
にべ
)
もない。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
このお相手は、
膠
(
にべ
)
も世辞もない。坐ってはいるが、いるだけである。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と玄蕃允は、やや機嫌を直したが、大金と木下には依然、
膠
(
にべ
)
もなく
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ何という
膠
(
にべ
)
もないお言葉。殿方の薄情けを真にうける女子は
浅慮
(
あさはか
)
かも知れませぬが、妾はどうあっても、そんな近い日にお帰し申すのは嫌じゃ、覚明様、その
心意
(
つもり
)
でおいでなされませの……」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
などと
膠
(
にべ
)
なくそれを突っ返し、超然、物や黄金には目をくれない。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なに、父のいいつけだと。……姫山の館へ立ち寄って、お別れのご挨拶を申しあげた折は、あのように
膠
(
にべ
)
なく、はやく立て、何を恋々としておるかなどと、此方の未練を叱るように追い立てながら」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、謹んで膝を進めかけると、勝家は
膠
(
にべ
)
なく手を
逸
(
そ
)
らして
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
膠
(
にべ
)
もなく、小六は、彼の
口上
(
こうじょう
)
の出ばなをヘシ折った。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
膠
(
にべ
)
もなく、お杉はひとりで、玄関から出て行った。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ないなあ、そんな気は」と、
膠
(
にべ
)
なく、いった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“膠”の意味
《名詞》
(にかわ)動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したもののうち純度の低いもの。
(にべ、通常は鮸膠/鰾膠と表記)主にスズキ目ニベ科に属する魚の浮き袋から作る粘りけのつよいにかわ。
(出典:Wiktionary)
膠
漢検1級
部首:⾁
15画
“膠”を含む語句
膠着
膠質
白膠木
漆膠
白膠
魚膠
膠々
膠質体
鰾膠
膠鍋
膠泥
膠着状態
膠皮
膠西王卬
膠質物
膠質状
膠質現象
膠質的
膠質粒
膠質粒子
...