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破屋
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あばらや
ふりがな文庫
“
破屋
(
あばらや
)” の例文
窓からは線路に沿った家々の
内部
(
なか
)
が見えた。
破屋
(
あばらや
)
というのではないが、とりわけて見ようというような立派な家では
勿論
(
もちろん
)
なかった。
路上
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
縁側もない
破屋
(
あばらや
)
の、横に長いのを
二室
(
ふたま
)
にした、古び
曲
(
ゆが
)
んだ柱の根に、
齢
(
よわい
)
七十路
(
ななそじ
)
に余る一人の
媼
(
おうな
)
、糸を
繰
(
く
)
つて車をぶう/\、
静
(
しずか
)
にぶう/\。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは
丸太
(
まるた
)
を
切
(
き
)
り
組
(
く
)
んで
出来
(
でき
)
た、やっと
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐだけの、
極
(
きわ
)
めてざっとした
破屋
(
あばらや
)
で、
広
(
ひろ
)
さは
畳
(
たたみ
)
ならば二十
畳
(
じょう
)
は
敷
(
し
)
ける
位
(
くらい
)
でございましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この
破屋
(
あばらや
)
に花のようなお嬢さんたちだの、
厳
(
いか
)
めしい八字髭などが大勢目白押ししてるので、おやおや、と、
吃驚
(
びっくり
)
してしまう。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
天気の時には二時ごろに家を出かけて、しばしば
破屋
(
あばらや
)
に立ち寄ったりしながら、徒歩で
田舎
(
いなか
)
やまたは町の方へ散歩した。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
翁は我手の
尖
(
さき
)
に接吻し、我衣の裾に接吻していふやう。かしこなるは我
破屋
(
あばらや
)
なり。されど
鴨居
(
かもゐ
)
のいと低くて君が如き貴人を入らしむべきならぬを奈何せん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
下碑
(
げじょ
)
が是非
御来臨
(
おいで
)
なされというに盗まれべき者なき
破屋
(
あばらや
)
の気楽さ、
其儘
(
そのまま
)
亀屋
(
かめや
)
へ行けば吉兵衛
待兼顔
(
まちかねがお
)
に挨拶して奥の一間へ導き、
扨
(
さて
)
珠運
(
しゅうん
)
様、あなたの
逗留
(
とうりゅう
)
も既に長い事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
両親ぐらゐに
乾
(
ひもじ
)
い思はきつと
為
(
さ
)
せませんから、
破屋
(
あばらや
)
でも可いから親子三人一所に暮して、人に後指を
差
(
ささ
)
れず、罪も作らず、
怨
(
うらみ
)
も受けずに、清く暮したいぢやありませんか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
赤毛布が消える。小僧が消える。主人と茶と煙草盆が消えて、
破屋
(
あばらや
)
までも消えた時、こくりと
眠
(
ねむり
)
が
覚
(
さ
)
めた。気がつくと頭が胸の上へ落ちている。はっと思って、
擡
(
もちや
)
げるとはなはだ重い。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし今彼は破産してしまって、郊外の
破屋
(
あばらや
)
に棲んでゐるのであった。女房も丁稚もゐなかった。なにくそ、大丈夫だ、この家が顛覆するなら、してみろと彼は
魘
(
おび
)
えながら闇の中で力み返った。
難船
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
習ひもお
在
(
は
)
さぬ
徒歩
(
かち
)
の旅に、知らぬ山川を
遙
(
は
)
る/″\
彷徨
(
さまよ
)
ひ給ふさへあるに、玉の
襖
(
ふすま
)
、錦の
床
(
とこ
)
に
隙
(
ひま
)
もる風も厭はれし昔にひき換へて、露にも堪へぬかゝる
破屋
(
あばらや
)
に一夜の宿を願ひ給ふ御
可憐
(
いと
)
しさよ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
いつも住む人がなく、「貸し間」という札が常にはりつけられていたその五十・五十二番地の
破屋
(
あばらや
)
には、その頃珍しくも、大勢の人が住んでいた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「さあ、タヌ君、えらいことになった。これではとても
角力
(
すもう
)
にはなるまい。なにしろ、灯台と
破屋
(
あばらや
)
ほども違う」
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
お殿様が
御微行
(
おしのび
)
で、こんな
破屋
(
あばらや
)
へ、と
吃驚
(
びっくり
)
しましたのに、「何にも
入
(
い
)
らない。南画の
巌
(
いわ
)
のようなカステーラや、べんべらものの羊羹なんか切んなさるなよ。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新聞懐中して止むるをきかず
突
(
つ
)
と
立
(
たっ
)
て畳ざわりあらく、
馴
(
なれ
)
し
破屋
(
あばらや
)
に
駈戻
(
かけもど
)
りぬるが、優然として
長閑
(
のどか
)
に
立
(
たて
)
る
風流仏
(
ふうりゅうぶつ
)
見るより
怒
(
いかり
)
も収り、何はさておき色合程よく仮に
塗上
(
ぬりあげ
)
て
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こんな
破屋
(
あばらや
)
でも泊る事が出来るんだったと、始めて意識したよりも、すべての家と云うものが
元来
(
がんらい
)
泊るために建ててあるんだなと、ようやく気がついたくらい、泊る事は予期していなかった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
貧しい木立ちに
破屋
(
あばらや
)
や小屋が建ち並んだそのわずかの土地は、彼にとっては尊いそしてじゅうぶんなものであった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
お
互
(
たがひ
)
に——お
互
(
たがひ
)
は
失禮
(
しつれい
)
だけれど、
破屋
(
あばらや
)
の
天井
(
てんじやう
)
を
出
(
で
)
てくる
鼠
(
ねずみ
)
は、
忍
(
しの
)
ぶにしろ、
荒
(
あ
)
れるにしろ、
音
(
おと
)
を
引
(
ひき
)
ずつて
囘
(
まは
)
るのであるが、こゝのは——
立
(
た
)
つて
後脚
(
あとあし
)
で
歩行
(
ある
)
くらしい。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
藁
(
わら
)
屋根がくずれ落ち、立ち腐れになったようなひどい
破屋
(
あばらや
)
だった。柱だけになった門を入って行くと、雨戸の隙間から、チラリと
灯影
(
ほかげ
)
が見える。涙が出るほど嬉しかった。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
藪
(
やぶ
)
も一つの足場であり、壁の一角も
肩墻
(
けんしょう
)
である。よるべき一軒の
破屋
(
あばらや
)
がないためにも、一個連隊が
遁走
(
とんそう
)
する。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
拓を背にし、お雪を
頸
(
うなじ
)
に縋らせて、滝太郎は
面
(
おもて
)
も
触
(
ふ
)
らず
件
(
くだん
)
の
洞穴
(
ほらあな
)
を差して渡ったが、縁を下りる時、
破屋
(
あばらや
)
は左右に傾いた。行くことわずかにして、水は既に肩を浸した。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しのびで、裏町の軒へ寄ると、
破屋
(
あばらや
)
を包む霧寒く、松韻
颯々
(
さつさつ
)
として、
白衣
(
びゃくえ
)
の巫女が口ずさんだ。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼が住んでいた下町にはただ一つの学校しかなくて、それもこわれかけたひどい
破屋
(
あばらや
)
だった。で彼は二つの学校を建てた、一つは女の子のために、一つは男の子のために。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今日なお、ジュナップにはいる数分前の所、道の右側にある
煉瓦
(
れんが
)
の
破屋
(
あばらや
)
の古い
破風
(
はふ
)
に、その霰弾の連発の跡が刻まれてるのが見られる。プロシア軍はジュナップに突入した。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
軽く
喘
(
あえ
)
いで、それを上ると、小高い皿地の中窪みに、垣も、折戸もない、
破屋
(
あばらや
)
が一軒あった。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
相州
(
さうしう
)
逗子
(
づし
)
に
住
(
すま
)
つた
時
(
とき
)
、
秋
(
あき
)
もややたけた
頃
(
ころ
)
、
雨
(
あめ
)
はなかつたが、あれじみた
風
(
かぜ
)
の
夜中
(
よなか
)
に、
破屋
(
あばらや
)
の
二階
(
にかい
)
のすぐその
欄干
(
らんかん
)
と
思
(
おも
)
ふ
所
(
ところ
)
で、
化
(
ば
)
けた
禪坊主
(
ぜんばうず
)
のやうに、
哃喝
(
どうかつ
)
をくはしたが、
思
(
おも
)
はず
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
フランス軍は一時礼拝堂を占領したが、また追い払われて、それに火を放った。炎はその
破屋
(
あばらや
)
を満たし、
溶炉
(
ようろ
)
の様を呈した。
扉
(
とびら
)
は焼け、床板は焼けた。しかし木造のキリストは焼けなかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
これがむかし母親の住んだ
家
(
うち
)
ではないかと心の迷うのも慕わしさの
余
(
あまり
)
、しばらく住んでいた、
破屋
(
あばらや
)
の
太
(
いた
)
く古いのにつけても、もしやそれかと、梓はあたかも幻というものを
画
(
え
)
に
描
(
か
)
いて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
破屋
(
あばらや
)
に住んでいた人々のうちで最も
惨
(
みじ
)
めなのは、四人の一家族だった。父と母ともうかなり大きなふたりの娘とで、前に述べておいたあの屋根部屋の一つに、四人いっしょになって住んでいた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
塵芥
(
ごみ
)
で
埋
(
うま
)
った溝へ、引傾いて落込んだ——これを境にして軒隣りは、中にも見すぼらしい
破屋
(
あばらや
)
で、
煤
(
すす
)
のふさふさと下った
真黒
(
まっくろ
)
な
潜戸
(
くぐりど
)
の上の壁に、何の
禁厭
(
まじない
)
やら、上に春野山、と書いて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも、
下職
(
したじょく
)
も三人入り、
破屋
(
あばらや
)
も金銀の地金に、輝いて世に出ました。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
破屋
(
あばらや
)
へ、ついぞない、何しに来たろう——
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“破屋”の意味
《名詞》
破 屋 (はおく)
壊れた家。
(出典:Wiktionary)
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“破”で始まる語句
破
破綻
破片
破目
破風
破壊
破落戸
破廉恥
破鐘
破天荒