眞夜中まよなか)” の例文
新字:真夜中
二日ふつか眞夜中まよなか——せめて、たゞくるばかりをと、一時ひととき千秋せんしうおもひつ——三日みつか午前三時ごぜんさんじなかばならんとするときであつた。……
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
乃至ないし眞夜中まよなかうまたてがみ紛糾こぐらからせ、また懶惰女ぶしゃうをんな頭髮かみのけ滅茶滅茶めちゃめちゃもつれさせて、けたら不幸ふかう前兆ぜんてうぢゃ、なぞとまするもマブが惡戲いたづら
眞夜中まよなかに!」と私は呟いた。さうだ、それがソーンフィールドに於ける呪はれた時間なのだ。「どうして起つたか、分つたのですか?」と私はたづねた。
押拭おしぬぐさやをさめこしおぶれば父は再度ふたたび此方こなたに向ひ此家に長居する時は眞夜中まよなかなりとも如何なる人に知れて繩目なはめはぢを受んと言も計られねば早く立去り支度したくをしてと云にお光も心得て父諸共もろともに家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
時刻は彼是眞夜中まよなかにも近かつたでございませう。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ゆきなか紅鯛べにだひ綺麗きれいなり。のお買初かひぞめの、ゆき眞夜中まよなか、うつくしきに、新版しんぱん繪草紙ゑざうしはゝつてもらひしうれしさ、わすがたし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
火事は眞夜中まよなかに出たので、ミルコオトからポンプが來ない内に、もうおやしきは火に包まれてしまつてゐたのです。恐しい有樣でした。私は自分で見たのです。
さだめてくさりかけてゐるであらうし、また眞夜中まよなか幾時いくときかは幽靈いうれいるといふ……えゝ、どうしょう、めたら?……いやらしいそのにほひと、けば必然きっと狂亂きちがひになるといふあの曼陀羅華まんだらげびくやうな
誘引さそふ雪風の身に染々と冷るに何此眞夜中まよなかの大雪にばん建部たてべの計りし事ゆゑ首尾能しゆびよく御屋敷おやしきのがれ出給ふ共自然と途中にて凍えは爲給したまはぬかさぞや夜道は御難儀ならんと老の心のやるせなく女房にむかひコレお時やアヽ何も己は御二人樣の事が案事あんじられてならぬ今夜も彼是もう今に寅刻なゝつなれば今迄沙汰のないは萬一ひよつと渠等かれらが仕そんじは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
呼吸いきめて、うむとこらへて凍着こゞえつくが、古家ふるいへすゝにむせると、時々とき/″\遣切やりきれなくつて、ひそめたくしやめ、ハツと噴出ふきだしさうで不氣味ぶきみ眞夜中まよなか
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして一言ひとことの云ひ返しも呟きもせず、出掛けて行つた。そのときは九時であつたが、彼が歸つて來たのはもう眞夜中まよなかだつた。彼はすつかりお腹をらして、疲れ切つてゐた。
……大抵たいてい眞夜中まよなか二時にじぎから、一時ひとときほどのあひだとほく、ちかく、一羽いちはだか、二羽にはだか、毎夜まいよのやうにくのをく。ねがてのよるなぐさみにならないでもない。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて報知新聞はうちしんぶん記者きしや、いまは代議士だいぎしである、田中萬逸君たなかまんいつくんそのひとである。反對黨はんたいたうは、ひやかしてやるがいゝ。が、その、もう一度いちどおびやかされた。眞夜中まよなかである。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……地震ぢしんとともに燒出やけだした中六番町なかろくばんちやうが……いまつた、三日みつか眞夜中まよなかおよんで、やく二十六時間にじふろくじかん
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかも眞夜中まよなか道中だうちうである。箱根はこね足柄あしがらときは、内證ないしよう道組神だうそじんをがんだのである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
矢來邊やらいへんは、たゞとほくまで、榎町えのきちやう牛乳屋ぎうにうや納屋なやに、トーン/\とうし跫音あしおとのするのがひゞいて、いまにも——いわしこう——酒井家さかゐけ裏門うらもんあたりで——眞夜中まよなかには——いわしこう——と三聲みこゑんで
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやえたとき眞夜中まよなかまたあられた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)