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猥褻
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わいせつ
ふりがな文庫
“
猥褻
(
わいせつ
)” の例文
当時、両国にはたいへん
猥褻
(
わいせつ
)
な見世物があって、いまのストリップ・ショーなんか、とても追いつくものではなかったというんですね。
平次放談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一方には、強盗、密売、詐欺、暴行、
猥褻
(
わいせつ
)
、殺人、あらゆる種類の
冒涜
(
ぼうとく
)
、あらゆる種類の加害。そして他方には、潔白のただ一事。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
次にそれは/\
猥褻
(
わいせつ
)
な歌を、何ともいえぬ好い喉で歌うのですが、歌は猥褻な露骨なもので、例を出すことも出来ないほどです。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
顔馴染
(
かほなじみ
)
の道具屋を
覗
(
のぞ
)
いて見る。正面の
紅木
(
こうぼく
)
の
棚
(
たな
)
の上に
虫明
(
むしあ
)
けらしい
徳利
(
とくり
)
が一本。あの徳利の口などは妙に
猥褻
(
わいせつ
)
に出来上つてゐる。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
白い旅客たちの
旦那
(
マスター
)
と
奥様
(
ミセス
)
たちを奇襲して、その手相を明らかにあらわれていると称して、ひどく
猥褻
(
わいせつ
)
なことを、たとえばあの
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
▼ もっと見る
歌っている自分が、まるであの青空の中に吸収され、解消されて行くみたいな気がして、私はそこに一つの恥ずべき
猥褻
(
わいせつ
)
をかんじるのだ。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
あんな
猥褻
(
わいせつ
)
な席に
連
(
つらな
)
ッている……しかも一所に成ッて
巫山戯
(
ふざけ
)
ている……平生の持論は何処へ遣ッた、何の
為
(
た
)
めに学問をした
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
講演者はさらにその歌のあることさえも知らなかったが、演説中にいやだいやだという句を使ったために、
猥褻
(
わいせつ
)
と思われたのであったという。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
振仮名がついた下手な字で、ビラが
貼
(
は
)
らさっていた。下の余白には、共同便所の中にあるような
猥褻
(
わいせつ
)
な落書がされていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
彼らの
剣
(
つるぎ
)
は
猥褻
(
わいせつ
)
なかけ声と一緒に鹿の腹部に突き刺さると、
忽
(
たちま
)
ち鹿は三人からなる一組の兵士の手によって裸体にされた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それはまったく荒唐
無稽
(
むけい
)
な事柄の連続であって、おかしな結婚、死人、裁縫女、王侯、
滑稽
(
こっけい
)
なまた時には
猥褻
(
わいせつ
)
な事柄、などが問題になっていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その
巨細
(
こまか
)
な事については風俗を害する恐れもあり、また余り
猥褻
(
わいせつ
)
にして大方の人に知らすことの出来ぬ事も沢山あります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
猥褻
(
わいせつ
)
なる豚は、
昂奮
(
こうふん
)
の余り、真青になった顔を、妙にこわばらせて、黙ったまま、ヌルヌルした唇で、彼女を圧迫した。
江川蘭子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は図書館で、色々な辞書を持出し、
猥褻
(
わいせつ
)
な意味をもつ字句を引いて、その解を読みながら、ひそかな興奮を感じた。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この少年は何か
猥褻
(
わいせつ
)
な感じがして見たくないような感じだったが、この少年が最後の難芸に失敗して墜落したとき
青春論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
支那の古塚に、
猥褻
(
わいせつ
)
の像を
蔵
(
おさ
)
めありたり。本邦で書箱
鎧櫃
(
よろいびつ
)
等に、
春画
(
まくらえ
)
を一冊ずつ入れて、災難除けとしたなども、とどの詰まりはこの意に基づくであろう。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
猥褻
(
わいせつ
)
至極なやつじゃ。女のもとへ逃げ走って、今生の思い出に蛤鍋なぞをたらふく用いるとはなにごとじゃ。
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
肉
蒲団
(
ぶとん
)
という、支那人の書いた、けしからん
猥褻
(
わいせつ
)
な本がある。お負に支那人の癖で、その物語の組立に善悪の応報をこじつけている。実に馬鹿げた本である。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それに、田舎は存外
猥褻
(
わいせつ
)
で
淫靡
(
いんび
)
で不潔であるということもわかってきた。人々の
噂話
(
うわさばなし
)
にもそんなことが多い。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
慶元
(
けいげん
)
以還、民間
俗楽
(
ぞくがく
)
種々起り、楽器もまた増加し、
古昔
(
こせき
)
に比すればいっそう進みたりというべし。しかれども、おおむね
卑俚
(
ひり
)
猥褻
(
わいせつ
)
にして、士君子の
玩
(
めでる
)
に適せず。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
老女も中々の才物ではございますが、女だけに遂に大藏の弁舌に
説附
(
ときつ
)
けられました。此の説附けました事は
猥褻
(
わいせつ
)
に
渉
(
わた
)
りますから、唯説附けたと致して
置
(
おき
)
ましょう。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
年少すでに
童色
(
どうしょく
)
を談じ、
小身者
(
しょうしんもの
)
はよく
猥褻
(
わいせつ
)
をささやくので、それと語るのを歓び、歌舞伎のまねをしていつのまにか三味線を覚えたり、また、
鷹野
(
たかの
)
にでも行く時は
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戦友としての人間らしいやさしさ、同時に行われる盗みっこ、要領、残酷、
猥褻
(
わいせつ
)
、目的のない侮蔑。「軍服」の中でそういう軍隊生活の特色は皆とりあげられている。
小説と現実:小沢清の「軍服」について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その頃の田舎の子供達は
猥褻
(
わいせつ
)
な言葉をよく口にする。勿論、何の感情も伴うものでないから、却って極めて露骨である。それ等の言葉が禁忌であることは薄薄知っている。
澪標
(新字新仮名)
/
外村繁
(著)
東京
(
とうきやう
)
の或る
固執派
(
オルソドキシカー
)
教会
(
けうくわい
)
に
属
(
ぞく
)
する
女学校
(
ぢよがつかう
)
の
教師
(
けうし
)
が
曾我物語
(
そがものがたり
)
の
挿画
(
さしゑ
)
に
男女
(
なんによ
)
の
図
(
づ
)
あるを
見
(
み
)
て
猥褻
(
わいせつ
)
文書
(
ぶんしよ
)
なりと
飛
(
と
)
んだ
感違
(
かんちが
)
ひして
炉中
(
ろちう
)
に
投込
(
なげこ
)
みしといふ一ツ
咄
(
ばなし
)
も
近頃
(
ちかごろ
)
笑止
(
せうし
)
の
限
(
かぎ
)
りなれど
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
ちょっとお話にも出来ないような、むごたらしい
猥褻
(
わいせつ
)
な刑罰を加えて苦しめるのですから、死骸のからだを一応あらためたくらいでは判りません。そこはお察しを願います。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、なにか
猥褻
(
わいせつ
)
なことを内田さんに言い、自分もすこし照れた様子で、わざと「うまい。うまい」と内田さんのほうに、みせびらかしながら、虎さんと食ってしまいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
が、今日はページ面に何か
猥褻
(
わいせつ
)
な写真らしいものが何枚も貼ってあるのに気がついた。私は慌てて眼を閉じ、いつもより一層急いでページを伏せた。一体あれは何だったのだろう。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
恋の
曲者
(
くせもの
)
、代言人、物事に熱くなる
性
(
さが
)
、
乳母
(
うば
)
、それに
猥褻
(
わいせつ
)
な馬鹿話、くだらぬ
妄想
(
もうそう
)
は、すべて運星のめぐりに邪魔をいたします……さあ、いらっしゃい、わたしたちの力を頼めば
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
上海の
猥褻
(
わいせつ
)
な写真帳が閉じられ、四馬路に人気がなくなると市街の電気のスイッチが切られ全市は暗黒になった。秘密結社から送られた大規模な陰謀が全市に配置されるのであった。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
ただ無邪気な少女のきわだった美しさに迷っただけであった。何よりもその無邪気な容姿が、これまで
猥褻
(
わいせつ
)
な女の色香にのみなじんで、
荒
(
すさ
)
みきっていた女たらしの心を打ったのである。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
捨吉は人知れず自分の馬鹿らしい性質を
羞
(
は
)
じずにはいられなかった。何故というに神聖な旧約全書の中からなるべく
猥褻
(
わいせつ
)
な部分を拾ってさかんに読んで見た男もそういう自分だから……
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
次に御話したいのは先年来自然主義をある一部の人が
唱
(
とな
)
え出して以後世間一般ではひどくこれを
嫌
(
きら
)
ってはては自然主義といえば堕落とか
猥褻
(
わいせつ
)
とかいうものの代名詞のようになってしまいました。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕が何かあなたに
猥褻
(
わいせつ
)
な事でもしたのですか?
自惚
(
うぬぼ
)
れてはいけません。誰があなたみたいな女に、わざとしなだれかかるものですか。あなたご自身、性慾が強いから、そんなへんな気のまわし方を
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「遠慮なく出懸けるが可い、しかし
猥褻
(
わいせつ
)
だな。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここに
至
(
いたっ
)
て客の小山笑い出し「アハハ君の攻撃も随分皮肉だね。それでは家庭教育論が文学論になってしまう」中川「イヤさ、これが家庭教育に大関係あり。文明の進歩した清潔なる家庭に果して
能
(
よ
)
く
猥褻
(
わいせつ
)
なる小説や
淫靡
(
いんび
)
なる文学を ...
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
(
猥褻
(
わいせつ
)
なる身振をなす。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
左に
雛妓
(
すうぎ
)
を従へ、
猥褻
(
わいせつ
)
聞くに堪へざるの俚歌を高吟しつつ、
傲然
(
がうぜん
)
として
涼棚
(
りやうはう
)
の上に
酣酔
(
かんすゐ
)
したる、かの肥大
豕
(
ゐ
)
の如き満村恭平をも記憶す可し。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
講演者はいかなる点が
猥褻
(
わいせつ
)
であるかとんと理解しえなかったが、よくよくその事情を聞くと「いやだいやだ」で始まる
猥褻
(
わいせつ
)
の歌があるそうである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そんなに両方から押しつけちゃ
厭
(
いや
)
だわという恰好をして、ボロンボロンと
猥褻
(
わいせつ
)
な
三味線
(
しゃみせん
)
の
音
(
ね
)
を
洩
(
もら
)
していたりした。
白昼夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
グージャールのほうは、クリストフのこともも一人のドイツ人のことも念頭に置かずに、
猥褻
(
わいせつ
)
心理の露骨な問題について医者のジュリアンと話していた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
猥褻
(
わいせつ
)
なことを平気で話している。世の
覊絆
(
きはん
)
を忘れて、この一夜を自由に遊ぶという心持ちがあたりにみちわたった。垣の中からは
燈光
(
あかり
)
がさして笑い声がした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
野卑なこと、
猥褻
(
わいせつ
)
なこと、不潔なこと、それを語るにも一種の落ち着きをもってし、風流の冷静さをもってした。まったく彼が属する前世紀の不作法さである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
これはただ私が秘密に調べるだけの事で、社会に公にするのもほとんど困難な位
猥褻
(
わいせつ
)
のものである。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
兵隊らしい
猥褻
(
わいせつ
)
なうたはひとつも出なかった。ひろ子は、うたの終らないうちに眠ってしまった。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
耳にするさえ顔の赤くなる
猥褻
(
わいせつ
)
な言葉を平気で叫んだり——あらゆる能力をもつ大魔小魔を地へ
降
(
お
)
ろしたかのごとく、それらの大衆が、自分の
輦
(
くるま
)
一つへ向って、吠え、
猛
(
たけ
)
び
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芸術に
猥褻
(
わいせつ
)
な絵などがあるように、pornographie はどこの国にもある。
婬書
(
いんしょ
)
はある。しかしそれは真面目なものでない。総ての詩の領分に恋愛を書いたものはある。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
酩酊
(
めいてい
)
した連中はげらげら笑いながら、そのそばに立ち止まると、口から出まかせに
猥褻
(
わいせつ
)
な冗談を言い始めた。と、突然一人の若い紳士が、まるでお話にもならぬ
奇矯
(
ききょう
)
な問題を考えついた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
何でも其の中には、「笑は不安也。」と云うのがあったと思った。「鼻は
猥褻
(
わいせつ
)
也。」もあったようだ。「自ら誇る時、心
毎
(
つね
)
に悲し。」「黙する時、必ずしも考えず。」こんなものもあった。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
続いて、聞えてきたのは、太い調子のひそひそ声で、なにか
陰険
(
いんけん
)
な悪口か、
猥褻
(
わいせつ
)
な批判らしく、無遠慮に
響
(
ひび
)
いてくる高らかな皆の笑い声と共に、ぼくは
又
(
また
)
、すっかり
悄気
(
しょげ
)
てしまったのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
“猥褻(わいせつ)”の解説
わいせつ(猥褻)とは、
1.下品で不道徳であること。
2.日本の刑法において、社会通念に照らして性的に逸脱した状態のこと。
本稿では後者について詳述する。
(出典:Wikipedia)
猥
漢検1級
部首:⽝
12画
褻
漢検1級
部首:⾐
17画
“猥”で始まる語句
猥
猥雑
猥談
猥歌
猥本
猥画
猥䙝
猥雜
猥漢
猥情