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爺
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じじい
ふりがな文庫
“
爺
(
じじい
)” の例文
が、お久と云うものを
傍
(
そば
)
へ置くとき、父が何だか父らしくなく、浅ましい
爺
(
じじい
)
のように見えて来るのがこの上もなく不愉快なのである。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日本文字に精通しているというだけの
爺
(
じじい
)
としか見えませんから、仕方なしに××領事の了解を経てコチラへ立たせた訳ですが、しかし
人間レコード
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
邪見
(
じゃけん
)
な口のききようだねえ、阿魔だのコン畜生だの婆だのと、れっきとした
内室
(
おかみさん
)
をつかめえてお
慮外
(
りょがい
)
だよ、
兀
(
はげ
)
ちょろ
爺
(
じじい
)
の
蹙足爺
(
いざりじじい
)
め。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そんな欲張り
爺
(
じじい
)
だから、手前んとこの郵便函に、聞いた事もない人の通帳が入れてあったのを、普通の人なら気味悪がって届けるものを
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それは勿論「脱走」に備えたものだった。その見張りの役が、今は
老耄
(
おいぼ
)
れて仕舞ったが、昔はこの一座を背負って立った源二郎
爺
(
じじい
)
なのだ。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
ナネットは
慌
(
あわ
)
てて家の戸締りをする。そして、急いで教会堂に行く。彼女は『あっけらかん』と呼ばれるヴァンサン
爺
(
じじい
)
の戸口の前を通る。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「あの慾ばり
爺
(
じじい
)
め、まさかおれが、あの黄金メダルの裏表をあの店の中で、写真にとってしまったことに気がつくまい。ふふふ」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私たちは
水際
(
みずぎわ
)
を廻って崖の方へ通ずる
小径
(
こみち
)
を
攀登
(
よじのぼ
)
って行くと、大木の
根方
(
ねがた
)
に
爺
(
じじい
)
が一人腰をかけて釣道具に駄菓子やパンなどを売っている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だがあの慈善家のばか野郎、いったい何をしてるんだ。本当に来るのか。ことによると番地を忘れたかな。あの
爺
(
じじい
)
の畜生め……。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「早いにも、織さん、
私
(
わっし
)
なんざもう御覧の通り
爺
(
じじい
)
になりましたよ。これじゃ途中で
擦違
(
すれちが
)
ったぐらいでは、ちょっとお分りになりますまい。」
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さすがの老侯も物質尊重のお歴々には、あがめたてまつられている御本尊であるが、お鯉にとっては、おせっかいな世話やき
爺
(
じじい
)
に過ぎない。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「へい」と云って仁右衛門を見たが、なかなか立派な
仁態
(
じんてい
)
である。「ナーニあなた、その
爺
(
じじい
)
はね、一口に云えば乞食でさあ。 ...
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
休んだ茶屋の
爺
(
じじい
)
に「どうだろう、工事をしているところは通れないだろうか」と尋ねたところが、爺平然として曰く
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
どのみち、玉は出ぬとわかっているものを、さかしらだてて、
領収
(
うけとり
)
の、
試
(
ため
)
し射ちのと騒ぎまわる
爺
(
じじい
)
の気が知れない。
ひどい煙
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
引き放さなかったものなら、ほんとに殺してしまったかもしれないぜ、あんなイソップ
爺
(
じじい
)
に手間暇がかかるもんか!
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
明治四十一年四月二日の昼過ぎ、妙な
爺
(
じい
)
さんが
訪
(
たず
)
ねて来た。北海道の山中に牛馬を飼って居る関と云う
爺
(
じじい
)
と名のる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
爺
(
じじい
)
も、起きて来て、三分心のランプに火を点けて、其処の勝手許に吊したのである。ランプはまだぐらぐらと揺れている。外には、吹雪の音が絶えなかった。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
田名網
(
たなあみ
)
です……まだ警視庁にごやっかいになっています。……おお、久保田検事さんですか? へえ、こっちに……ええ、ええ、そうです。
爺
(
じじい
)
になりましてね。
雪
(新字新仮名)
/
楠田匡介
(著)
死んだ
爺
(
じじい
)
もわるいんじゃ。だがのう今度の一揆にやってあのおきん婆の仕打ちはどうじゃ。足腰のたっしゃな息子が三人もあるのにな。自分の息子は出さんでな。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
弁当には玉子焼きと
漬
(
つ
)
け
物
(
もの
)
とが入れられてあった。小使は
出流
(
でなが
)
れの
温
(
ぬる
)
い茶をついでくれた。やがて
爺
(
じじい
)
はわきに行って、内職の
藁
(
わら
)
を打ち始めた。夜はしんとしている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
二十五歳の公爵総裁は、若夫人同様おっとりとして、
鷹揚
(
おうよう
)
で典雅で上品で、その代り悪くいえば
爺
(
じじい
)
青年のように
萎
(
しな
)
びている。若さなぞというものは薬にしたくもない。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
あんな
出鱈目
(
でたらめ
)
を言う、いけ好かない
爺
(
じじい
)
っちゃ無い、お前さんこそ、この間私の家へやって来て、多勢居る前で、村岡さん
貴方
(
あなた
)
は
何時
(
いつ
)
までもそうして後家を立て通す気か
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おれが
爺
(
じじい
)
になったとき。そのときは、この子も大きゅうなっとるぞ。……そうじゃ。
勝
(
かつ
)
、という字を入れた名にしてやろ。……勝、勝、……勝、何がええかのう?……」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
ソクラテスがアテネの裁判所に
召喚
(
しょうかん
)
せられ、有罪の宣告を受けて、
獄屋
(
ごくや
)
に投ぜられたときには、アテネの者が皆々
嘲
(
あざけ
)
り笑って、とうとうあのおしゃべり
爺
(
じじい
)
も、あの年になって
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「気がつきましたか。」と農夫の身なりをした
爺
(
じじい
)
が傍に立っていて笑いながら尋ねる。
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
貧乏な、
御家人風情
(
ごけにんふぜい
)
ではあっても、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
両刀
(
りゃんこ
)
を差したあがりのおれが、水ッ
涕
(
ぱな
)
をすすりながら、町内のお情で生きている夜番の
爺
(
じじい
)
と一緒に、
拍子木
(
ひょうしぎ
)
をたたいたり、
定使
(
じょうづか
)
いをする始末だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
のみならず、昔話のまね
爺
(
じじい
)
と同様によほどひどい目にあうのが落ちであろう。
時事雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
するとそこの踏切番の
爺
(
じじい
)
が通る人から聞いたことを伝えてくれた。神田が大火である。日比谷も盛んに燃えている。日本橋、浅草、本郷、
麹町
(
こうじまち
)
なども燃えている。あの雲は火事の煙であると。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「実際これは
爺
(
じじい
)
が長州征伐の時に用いたのです」と寒月君は真面目である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのころ僕は学校の餓鬼大将だけにすこぶる
生意気
(
なまいき
)
で、少年のくせに大沢先生のいばるのが
癪
(
しゃく
)
にさわってならない。いつか一度はあの頑固
爺
(
じじい
)
をへこましてくりょうと
猪古才
(
ちょこざい
)
なことを考えていた。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その憤怒のために、彼はかなりの熱の発作に襲われ、女中は立ち去ってしまった。彼女は
疳癪
(
かんしゃく
)
を起こして、彼女のいわゆる「この気違い
爺
(
じじい
)
」に一言の断わりもせずに、二度と姿を見せなかった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は評判の慾ばり
爺
(
じじい
)
ですから、当てになったものではありません。そこで、僕は三造がこの事件に関聯して何か秘密を持っているに相違ないと目星をつけ、彼の身辺につき纒って探偵を始めました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あの
爺
(
じじい
)
は、再度生老人だなんて、名ばかり偉くて、何もろくなものは描けねえようでがすな。どこから頼まれでも、俺が頼んでも、さっぱり描きいんからな。気が向かねえ、気が向かねえって描きいんでがすからな。」
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「かわいそうに、
爺
(
じじい
)
みたいな名じゃないか」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見る影も無いビッコの一寸法師で、
木乃伊
(
ミイラ
)
同然に痩せ枯れた
喘息
(
ぜんそく
)
病みのヨボヨボ
爺
(
じじい
)
と云ったら、早い話が、人間の廃物だろう。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
内々その予言者だとかいうことを御存じなり、外に
当
(
あたり
)
はつかず、
旁々
(
かたがた
)
それでは、と早速
爺
(
じじい
)
をお頼み遊ばすことになりました。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前は
批評壇の明星
(
プランス・デ・クリチック
)
は馬鹿
爺
(
じじい
)
だといった。それでお前は、彼の批評が出る新聞を買いに、はやばやと新聞の売店へ出掛けた。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ははああいつが
鑿孔機
(
せんこうき
)
、うんとこさ
書籍
(
ほん
)
も持っていやがる……オヤオヤオヤ人形もあらあ、やアいい加減
爺
(
じじい
)
の癖に、あんな人形をいじっていやがる。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「とんでもない。私がチャン老人を最後に見たときは、彼はこれから百年も長生きをするような顔をしていた。あの慾ばり
爺
(
じじい
)
を殺したのは、私ではない」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そんなことはどうでもいい。」と大きな
鍵
(
かぎ
)
を持ってる仮面の男が腹声でつぶやいた。「なかなかすげえ
爺
(
じじい
)
だ。」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ミーチャと同じようにあのイソップ
爺
(
じじい
)
の血を流しかねない——つまり殺しかねない人間だと思ってるかい?
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
その赤い提燈は十
間
(
けん
)
ばかり
互
(
たがい
)
に
隔
(
へだたり
)
を置いて三つ、東南の村口から入って来て
何処
(
どこ
)
へか消えてしまうのである。最初それを
見付
(
みつけ
)
たのが村の
端
(
はずれ
)
に住んでいた百姓
家
(
や
)
の
爺
(
じじい
)
であった。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
おのれ
爺
(
じじい
)
め、えせ
物知
(
ものしり
)
の恋の講釈、いとし女房をお辰めお辰めと
呼捨
(
よびすて
)
片腹痛しと
睨
(
にら
)
みながら、
其事
(
そのこと
)
の返辞はせず、昨日頼み
置
(
おき
)
し
胡粉
(
ごふん
)
出来て居るかと
刷毛
(
はけ
)
諸共
(
もろとも
)
に
引𢪸
(
ひきもぐ
)
ように受取り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
眼のぎろりとした、
胡麻塩髯
(
ごましおひげ
)
の短い、二度も監獄の飯を食った、丈の高い六十
爺
(
じじい
)
の彼は、村内に己が家はありながら
婿夫婦
(
むこふうふ
)
を其家に住まして、自身は久さんの家を隠れ家にした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あけた
爺
(
じじい
)
を見た? ……あいつ、いま天然痘にかかっているのよ。
真症
(
ヴァリオラ
)
なの、ちょうど
膿疱
(
のうほう
)
期だから危ないわね。あなたのようなお嬢さんがだい好きだから、抱きつくかも知れないわ
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
糸織
(
いとおり
)
の羽織に
雪駄
(
せった
)
ばきの商人が
臘虎
(
らっこ
)
の
襟巻
(
えりまき
)
した
赧
(
あか
)
ら顔の連れなる
爺
(
じじい
)
を顧みた。
萌黄
(
もえぎ
)
の小包を首にかけた小僧が
逸早
(
いちはや
)
く飛出して、「やア、電車の行列だ。先の見えねえほど続いてらア。」
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「黒羽で
好
(
よ
)
い宿屋はどこだ」と試みに問うと、将棋を指していた四、五人の
爺
(
じじい
)
連
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
じゃけどな、おきんさん、わしはたびたび無心いいとうはないんじゃけどな、家の
爺
(
じじい
)
がな、二、三日前から、
病
(
わずら
)
いついてな。……食うものも食わんのじゃけに、
病
(
わずら
)
いつくのも当り前じゃがな。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
卓
(
テーブル
)
の上には
戸籍台帳
(
こせきだいちょう
)
やら、
収税帳
(
しゅうぜいちょう
)
やら、
願届
(
ねがいとど
)
けを一まとめにした書類やらが
秩序
(
ちつじょ
)
よく置かれて、頭を分けたやせぎすの二十四五の男と五十ぐらいの頭のはげた
爺
(
じじい
)
とが何かせっせと書いていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
三馬
(
さんば
)
に
逢
(
あ
)
ったことがある。そうさ、五十四、五に見えた。猿のしるしのある家で、化粧水を売っていたっけ。倉の二階住で、じんきょやみのくせに
妾
(
めかけ
)
があった。子供心にも、いやな
爺
(
じじい
)
だと思ったよ。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
“爺(おじいさん)”の解説
おじいさん(お爺さん/お祖父さん)は、日本語において、直系尊属2親等にあたる男性(祖父)、もしくは高齢の男性を指す一般語として使用される。対義語はおばあさん、または孫息子。
(出典:Wikipedia)
爺
漢検準1級
部首:⽗
13画
“爺”を含む語句
老爺
阿爺
爺様
親爺
父爺
爺々
爺婆
因業爺
爺奴
爺親
狸爺
中爺
山爺
爺樣
好々爺
御爺
国姓爺
花咲爺
爺仁
頑固爺
...