よく)” の例文
また滝へ直接じかにかかれぬものは、寺のそばの民家に頼んでその水を汲んで湯を立ててもらってよくする者もあるが、不思議に長病が治ったり
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
帝室ていしつをば政治社外の高処こうしょあおたてまつりて一様いちようにその恩徳おんとくよくしながら、下界げかいおっあいあらそう者あるときは敵味方の区別なきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おつぎは庭葢にはぶたうへむしろいてあたゝかい日光につくわうよくしながら切干きりぼしりはじめた。大根だいこよこいくつかにつて、さらにそれをたてつて短册形たんざくがたきざむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかしし負けだったら、そのときはどうなる。世界列国、いや全人類は目下科学の恩恵によくしつつも同時にまた科学恐怖の夢におびやかされているのだ。
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
われく、明帝めいてい洛水らくすゐあそべることあり。なみあをくして白獺はくだつあり。妖婦えうふよくするがごとにしてあいし。ひといたるをるや、こゝろあるごとくしてたゞちにかくる。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だがいくらか青みをもってはきた。それでかれをもとの色に返すまでには、ずいぶんたびたびせっけんよくをやった。
唐土もろこしこれ火井くわせいといふ。近来きんらい此地獄谷に家を作り、地火ちくわを以てわかし、きやくまちよくさしむ、夏秋のはじめまでは遊客いうかく多し。此火井他国にはきかず、たゞ越後に多し。
この思いやりの心、むずかしく言えば博愛心、慈悲心、相愛心があれば世の中は必ず静謐せいひつで、その人々はたしかに無上の幸福によくせんこと、ゆめゆめ疑いあるべからずだ。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
實は、私はリード夫人とぶつゝかつて、しかも勝つた後なので、保姆ばあやの一時の不機嫌等は大して氣にならなかつた。そして、いつもの通り彼女の心の若々しい明るさによくしたいと思つた。
のちまた数旬をて、先生予を箱根はこねともな霊泉れいせんよくしてやまいを養わしめんとの事にて、すなわち先生一家いっか子女しじょと共に老妻ろうさい諸共もろとも湯本ゆもと福住ふくずみぐうすることおよそ三旬、先生にばいして或は古墳こふん旧刹きゅうさつさぐ
ここは山のかいにて、公道をること遠ければ、人げすくなく、東京の客などはたえて見えず、僅に越後などより来りてよくする病人あるのみ。宿やどとすべき家を問うにふじえやというがしという。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あはれみてやめぐむともなきめぐみによくして鹽噌えんそ苦勞くらうらずといふなるそはまた何處いづこれなるにやさてあやしむべくたつとむべき此慈善家このじぜんか姓氏せいしといはず心情しんじやうといはず義理ぎりしがらみさこそとるはひとりおたか乳母うばあるのみしのび/\のみつぎのものそれからそれと人手ひとで
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
唐土もろこしこれ火井くわせいといふ。近来きんらい此地獄谷に家を作り、地火ちくわを以てわかし、きやくまちよくさしむ、夏秋のはじめまでは遊客いうかく多し。此火井他国にはきかず、たゞ越後に多し。
そのゝち銭にかしこき人かの池のほとりに混屋ふろやをつくり、かけひを以て水をとるがごとくして地中の火を引き湯槽ゆぶねかまどもやし、又燈火ともしびにもかゆる。池中の水をわかあたひを以てよくせしむ。
○かくて次の日やぶつの橋*8といふをわたりて湯本に宿り、温泉をんせんよくし、次の日西の村々を見て上結東かみけつとう村に宿り、猿飛橋をわたり、その日見玉村にやどりて家にかへれり。
●さて一人の哥妓げいしや梯上はしごのうへにいでゝしきりに岩居がんきよぶ、よばれてろうにのぼれり。は京水とゝもに此よくす、楼上ろうしやうにははや三弦さみせんをひゞかせり。ゆあみしをはりて楼にのぼれば、すで杯盤はいばん狼藉らうぜきたり。