水車みづぐるま)” の例文
まわれ/\水車みづぐるま小音こおんうたす、美登利みどり衆人おほく細螺きしやごあつめて、さあう一はじめからと、これはかほをもあからめざりき。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それにしても好くも飲みやがつたもんだね、蜜柑山を飲み、水車みづぐるまを呑んで——とうとう斯んなものを自分の所有にしてしまやがつたぢやないか。」
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
水車みづぐるま川向かはむかふにあつてそのふるめかしいところ木立こだちしげみになかおほはれて案排あんばい蔦葛つたかづらまとふて具合ぐあひ少年心こどもごころにも面白おもしろ畫題ぐわだい心得こゝろえたのである。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いや、やみわすれまい。ぬまなかあてきやうませて、斎非時ときひじにとておよばぬが、渋茶しぶちやひと振舞ふるまはず、すんでのことわし生涯しやうがい坊主ばうず水車みづぐるまらうとした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
筑摩川春ゆく水はすみにけり消て幾日いくかの峯の白雪とは順徳院じゆんとくゐん御製ぎよせいとかおほいなる石の上にて女きぬあらふ波に捲きとられずやと氣遣きづかはる向の岸のかたに此川へ流れ入る流に水車みづぐるま
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
水車みづぐるましづかにすべり、霏々として綿雪のふる。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
おまへのガラスの水車みづぐるま
水仙月の四日 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
因果はめぐる水車みづぐるま
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
淀の川瀬の水車みづぐるま
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
かれかしらげては水車みづぐるままた畫板ゑばんむかふ、そしてり/\愉快ゆくわいらしい微笑びせうほゝうかべてかれ微笑びせうするごとに、自分じぶん我知われしらず微笑びせうせざるをなかつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
はて、何時いつに、あんなところ水車みづぐるまけたらう、とじつかすと、うやらいとくるまらしい。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その米を雪五郎がこの水車みづぐるまで搗いたといふだけの話で、寧ろ私方が憎まるべき不労所得の搾取階級に違ひなかつたのだらうが、そんなものゝ子孫を未だに有りがたがつて
バラルダ物語 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
と図星をさされて、そんな事を知る物か、何だそんな事、とくるり後を向いて壁の腰ばりを指でたたきながら、廻れ廻れ水車みづぐるまを小おんうたひ出す、美登利は衆人おほくの細螺を集めて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
出はづれの阪道に瀧あり明神のもり心地もすゞしく茂りたり瀧の流に水車みづぐるま
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ひとりそはそは、くるりくるくる、水車みづぐるま
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これを對岸たいがんからうつすので、自分じぶんつゝみりて川原かはら草原くさはらると、いままで川柳かはやぎかげえなかつたが、一人ひとり少年せうねんくさうちすわつてしきりに水車みづぐるま寫生しやせいしてるのをつけた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
やがて温泉いでゆ宿やど前途ゆくてのぞんで、かたはら谿河たにがはの、あたか銀河ぎんがくだけてやまつらぬくがごときをときからかさながれさからひ、水車みづぐるまごとくに廻転くわいてんして、みづ宛然さながらやぶはしけて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
万物は永遠に火と水のしぶきをあげて流転する巨大なる水車みづぐるまなり、しぶきは絶え間なく遍々と飛んで混沌の虚空を宿す、影去りて光り射し、或る時は、雪晴雲散北風寒ゆきはれてくもはさんじほくふうさむく、光、影、火、水
酒盗人 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
この二三日来の水車みづぐるまの空回りを憂へたあまり、蝋燭のやうにめつきりと耄碌してしまつた私と此の水車小屋の主人であるところの雪太郎と、ふるへる腕を堪えて水底深く水深計を立てゝ見ると
バラルダ物語 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)