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ふりがな文庫
“
檣
(
マスト
)” の例文
まっさおに澄みわたった海に対してきょうの祭日を祝賀するために
檣
(
マスト
)
から檣にかけわたされた
小旌
(
こばた
)
がおもちゃのようにながめられた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
海を圧する歓呼と万歳声裡に
船橋塔
(
フォアキャッスル
)
の
彼方
(
かなた
)
、
檣
(
マスト
)
に高く
英国旗
(
ユニオンジャック
)
を
靡
(
なび
)
かせたイキトス号はいよいよ巨体を揺すぶって埠頭を離れ始めたが
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
二本
檣
(
マスト
)
のゴエレット船、地中海の
三角帆船
(
タルタアヌ
)
、マルタ島のトロール船、バクウの石油船。そうかと思うと古風な
三檣砲艦
(
モニトール
)
なんてのもいる。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
背後の
檣
(
マスト
)
も、前にある煙突の林立も、およそ文化といい機械という雑色のなかにあってさえも、この沈鬱の気を和らげるものではない。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
艦橋も
檣
(
マスト
)
も起重機も、そして艦載機も、その激浪にのまれてしまったかと思われた。二千トンの潜水艦が、木の葉のようにゆれる。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
しかし船長は相変わらず無感覚な顔をして、望遠鏡で地平線を見渡しながら、一日の大部分を
檣
(
マスト
)
の上の見張り所に暮らしている。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
渦巻をぐるぐるまわるたびに船は樽やそのほか船の
帆桁
(
ほげた
)
や
檣
(
マスト
)
のようなもののそばを通るのですが、そういうような多くのものが
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
船が傾いているために、
檣
(
マスト
)
はずっと遠く水の上へ突き出ていて、檣頭横桁の私の
棲木
(
とまりぎ
)
の下には、湾の水面の他に何もなかった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
赤
(
あか
)
い
船
(
ふね
)
や、
白
(
しろ
)
い
船
(
ふね
)
や、
黒
(
くろ
)
い
船
(
ふね
)
や
檣
(
マスト
)
の三
本
(
ぼん
)
あるもの、また二
本
(
ほん
)
あるもの、
長
(
なが
)
い
船
(
ふね
)
やあまり
長
(
なが
)
くないのや、いろいろありました。
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
舷には櫓や網や竿やその他がゴチャゴチャになっているので、我々の横を疾走して行く時、私は極めて朧気な印象を得た丈である。
檣
(
マスト
)
は三本。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
お前を慕つて遥々とやつて来た「二本
檣
(
マスト
)
の水夫」だよ。お前を追ひかけるために水夫になつたウルービノの羊飼ひだよ。
山彦の街
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
今夜買ったのは半月形で蒼海原に帆を
孕
(
はら
)
んだ三本
檣
(
マスト
)
の巨船の絵である。夕日を受けた帆は柔らかい卵子色をしている。
まじょりか皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
羽根は飛んで
了
(
しま
)
い、
檣
(
マスト
)
は折れ、その他表面にある附属物は一切滅茶滅茶に破損して、まるで
蝗
(
いなご
)
の足や羽根を
毟
(
むし
)
ったように鉄製の胴だけが残っている。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
木造、
螺旋式
(
らせんしき
)
、三本
檣
(
マスト
)
、フリゲット——長さは無慮二百四五十尺、幅は三十尺以上四十尺の間、排水は、
玄人
(
くろうと
)
の目で見て三千トンは動かぬところ——
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ジブラルタルの海峡を指して航行しつつあると覚しい一杯に帆を張った二本
檣
(
マスト
)
の
大型帆船
(
ブリガンテン
)
に出会ったのは、一八七二年十二月五日の午前十時頃だった。
海妖
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
檣
(
マスト
)
の絶頂で日を暮したりしてゐる! けれど、彼のその拔け出さうとするあらゆる努力も、纔かに彼の頸と弱つた頭とを擡げさせるだけに過ぎなかつた。
氷島の漁夫:01 氷島の漁夫
(旧字旧仮名)
/
ピエール・ロティ
(著)
笛の音は
中甲板
(
ちゅうかんぱん
)
の巨大な
檣
(
マスト
)
の下、三本立った白茶に藍の開き耳の、これも大きな通風筒の向う蔭から響いて来る。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
月
(
つき
)
は
隈
(
くま
)
ない、
其
(
その
)
眞先
(
まつさき
)
に
黒烟
(
こくゑん
)
を
吐
(
は
)
いて
進
(
すゝ
)
んで
來
(
く
)
るのは、
二本
(
にほん
)
烟筒
(
ゑんとう
)
に
二本
(
にほん
)
檣
(
マスト
)
!
見忘
(
みわす
)
れもせぬ四
年
(
ねん
)
前
(
まへ
)
のそれ※
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
あれよりもずっと立派な五本
檣
(
マスト
)
の帆船や大きな汽船が
暴風
(
しけ
)
を
喰
(
くら
)
って避難港をさがしている時でも、
彼船
(
あれ
)
は平気なんだからね。ところで君は船に乗った経験があるかい?
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
浮浪少年は生まれながらの水夫であり、また生まれながらの屋根職人である。いかなる
檣
(
マスト
)
をも屋根をも恐れはしない。グレーヴの刑場ほどのお祭り騒ぎはどこにも見られない。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
僕が
檣
(
マスト
)
の上へ帽子をかぶつてゐる軍艦の夢を見たのは、その晩だつたやうに記憶する。
軍艦金剛航海記
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
太陽も照らず、雨も降らず、唯波の音と
檣
(
マスト
)
やブリツヂに衝る風の響が如何にも物凄い。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
檣
(
マスト
)
の上には、荒鷲を描いた特別の司令旗が、はげしい風の中に、はためいている。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
或
(
あるい
)
は
檣
(
マスト
)
のように渚に突立って、
黝
(
くろ
)
みゆく水平線のこんもり
膨
(
ふく
)
れた背を、瞬きを忘れて見詰め、或は又、
右手
(
めて
)
の
太郎岬
(
たろうみさき
)
の林を染めている
幽
(
かすか
)
な
茜
(
あかね
)
に、少女のような感傷を覚えたり、さては疲れ果て
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
甲板にも
檣
(
マスト
)
の上にも海上にも、燈火一つない。
舳
(
へさき
)
の突端に
当直番
(
ウォッチ
)
が、石像のようにじっと立っている。その姿はやはり眠っているようだ。船が自由意志に任されて、勝手に進むのかと思われる。
グーセフ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何しろお前は
檣
(
マスト
)
の林と、家の際に
舫
(
もや
)
つてある船が大好きなんだから。
ANY WHERE OUT OF THE WORLD
(新字旧仮名)
/
シャルル・ピエール・ボードレール
(著)
檣
(
マスト
)
から張られた縄に
取
(
とり
)
すがりながら、冷たい言葉を吐いた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
だが、あゝ
御空
(
みそら
)
の聖人たちよ、夕暮迫る
檣
(
マスト
)
のやうな
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
暁
(
あけ
)
の明星は強い
金色
(
こんじき
)
を
檣
(
マスト
)
の横に放つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
もちろん
檣
(
マスト
)
には、どこの国の船だかを語る旗もあがっていず、太い帆げたも、たるんだ
帆綱
(
ほづな
)
もまるで綿でつつんだように
氷柱
(
つらら
)
がついている。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もう、
正午
(
ひる
)
ちかいのに、なかなか合図がない。キャラコさんは、
檣
(
マスト
)
の下まで行って、額に手をかざして谷底をのぞき込む。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
檣
(
マスト
)
を立て、煙を吐いて行く黒船の雄姿は、田山の眼と、心とを、
両個
(
ふたつ
)
の人影から奪うに充分でありました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私どもはその台風がすっかりおそってこないうちに
帆索
(
ほづな
)
をゆるめておきましたが、最初の一吹きで、二本の
檣
(
マスト
)
は
鋸
(
のこぎり
)
でひき切ったように折れて海へとばされました。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
もとは三本
檣
(
マスト
)
の大きな船であったのだが、ずいぶん永い間
雨風
(
あめかぜ
)
に曝されていたので、ぽたぽた水を滴らしている海藻が大きな蜘蛛の巣のように周囲にぶら下っていたし
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
今や港は、米を下し魚を積み込む日本の通商
戎克
(
ジャンク
)
で、一杯になっている。図345はその一つの写生で、割によく出来ていると思う。
檣
(
マスト
)
のてっぺんは、折れているのではない。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
私
(
わたくし
)
は
今
(
いま
)
、
二本
(
にほん
)
煙筒
(
えんとう
)
二本
(
にほん
)
檣
(
マスト
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
なる
船
(
ふね
)
を
見
(
み
)
て、
神經
(
しんけい
)
の
作用
(
さよう
)
かは
知
(
し
)
らぬがふと
思
(
おも
)
ひ
浮
(
うか
)
んだ
此
(
この
)
話
(
はなし
)
、
若
(
も
)
しかの
老水夫
(
らうすゐふ
)
の
言
(
げん
)
が
眞實
(
まこと
)
ならば、
此樣
(
こん
)
な
船
(
ふね
)
ではあるまいか、
其
(
その
)
海賊船
(
かいぞくせん
)
といふのは
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
早苗は、和やかな陽差を満身に浴びながら、
檣
(
マスト
)
に揺れる港の旗を眺めていた。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
一隻残った戦艦『メーン』は、
檣
(
マスト
)
も煙突もない。ただ海上にうかぶ『鋼鉄の島』である。それにつづく駆逐艦も、七ノットか八ノットののろい速力で、やっと紅玉湾の入口へたどりついた。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
そんな二本
檣
(
マスト
)
の帆船で水夫などをしてゐないで一日も早く羅馬にいらつしやい。私は今パルベリーニ通りのブルウカノ・タバンといふ店で、誰よりも、持てはやされてゐる踊り子になつてゐます。
山彦の街
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
山の緑が、そうして
白楊
(
ポプラ
)
のそよぎが
燦々
(
さんさん
)
と光り、街の屋根が見え、装飾された万国旗の赤、黄、紫が見え、青い海が見え、
檣
(
マスト
)
が見え、私たちの高麗丸が見え、ああそうして、白い
鴎
(
かもめ
)
の飛翔が見えた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
各艦では、そのしらせをうけると、いちはやく水兵を
檣
(
マスト
)
の上にかけあがらせて、藍色灯をつけさせた。この藍色灯は、検閲点呼の
標
(
しるし
)
であった。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鋒杉
(
ほこすぎ
)
の
稜線
(
りょうせん
)
のうえに、まっ青な空がひろがり、それを突きさすように高く伸びあがった
檣
(
マスト
)
の頂きで、虹色の旗がヒラヒラと風にひるがえっている。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
兵馬の眼を驚かしたのは、眼の前の沖に、見慣れぬ三本
檣
(
マスト
)
の大船が横たわっていることであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
河口に近づくと、風が吹き上げ始め、舟夫は岸へ上って数マイル間舟を曳いた(図453)。これをやるのに彼等は
檣
(
マスト
)
を立てそのてっぺんに繩を結びつけ、そして舟を引張った。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
噸數
(
とんすう
)
一千
噸
(
とん
)
位
(
くらゐ
)
、
二本
(
にほん
)
烟筒
(
えんとつ
)
に
二本
(
にほん
)
檣
(
マスト
)
、
其
(
その
)
下甲板
(
げかんぱん
)
には
大砲
(
たいほう
)
小銃等
(
せうじうとう
)
を
積
(
つ
)
めるにやあらん。
審
(
いぶ
)
かしき
迄
(
まで
)
船脚
(
ふなあし
)
の
深
(
ふか
)
く
沈
(
しづ
)
んで
見
(
み
)
えた
其
(
その
)
船
(
ふね
)
が、
今
(
いま
)
や
闇黒
(
あんこく
)
なる
波浪
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
に
朦朧
(
ぼんやり
)
と
認
(
みと
)
められたのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
檣
(
マスト
)
の戦闘旗が、いまにも、ビリビリひき裂かれやしないかと思うばかり。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
わずか突き出た
檣
(
マスト
)
の先に、再び海鳥が群がりはじめた。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そのために
檣
(
マスト
)
がぎいぎいと高い音を立てた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
あ、あの
檣
(
マスト
)
、煙突、煙、々、々
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
しかし驚異軍艦は、かすかに
檣
(
マスト
)
をゆるがしているだけで、穴一つ明かないばかりか、砲弾の
炸裂
(
さくれつ
)
した様子もない。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“檣(マスト)”の解説
マスト(nl: mast)とは、帆船の甲板に帆を張るために立てられた垂直棒のことである。日本語ではそのままマスト、あるいは帆柱と訳す。「檣」の漢字で表記することもある。軍艦で、マストが発展した檣楼や、上構(セイル)と区別するため"信号檣"という呼称が使われる場合もある。
(出典:Wikipedia)
檣
漢検1級
部首:⽊
17画
“檣”を含む語句
前檣
大檣
帆檣
檣頭
後檣
大檣帆
主檣
檣柱
檣燈
船檣
檣樓
檣桁
檣上
檣竿
格檣
第二斜檣
白色檣燈
檣楼
斜檣
檣梯
...