“マスト”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:ますと
語句割合
83.7%
帆柱4.1%
帆檣2.0%
2.0%
檣柱2.0%
前檣2.0%
果汁2.0%
船檣2.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
海を圧する歓呼と万歳声裡に船橋塔フォアキャッスル彼方かなたマストに高く英国旗ユニオンジャックなびかせたイキトス号はいよいよ巨体を揺すぶって埠頭を離れ始めたが
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
浜へ出て見ると、果して其処そこの砂浜の帆柱マストの折れたような木に、水兵の着る赤いジャケツが絡みついているのが見えた。二人はそれを持って急いで帰った。父はそれを見るや否や
おさなき灯台守 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
「昨日ノ朝、妙ナ船ニ会イマシタ、三本帆檣マストノ二千トンバカリノ奴デス。船内ニハ誰モ居ナイ様子デ……何処どこ彼処かしこモ血ダラケデシタ」
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
太平洋のまん中に亡霊の如く漂っている三本帆檣マストの船、その中には全く人の姿無く、しかも船内は到るところ生々しい鮮血にまみれていると……無気味な、血腥ちなまぐさい話なのである。
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「ところで、あの船室ケビンの前の白いマスト尖端さきへ、御主人が燈火あかりをお吊るしになったのは、度々のことではないですね?」
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
青い、ぼかし絵のようなその海を背にして、深谷氏の船室ケビンが白々と輝き、風が出たのか白いマストの上空を、足の速い片雲が夥しく東の空へ飛び去っていた。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
キャプテン深谷氏のヨット、白鮫号は、まだ檣柱マスト帆布セイルも取りつけたままで、船小屋の横の黒い岩の上に横たえてあった。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
あかと白の派手なだんだら縞を染め出した大檣帆メンスルの裾は長い檣柱マストの後側から飛び出したトラベラーを滑って、恰度カーテンを拡げたように展ぜられ
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
隼丸の前檣マストに「停船命令」の信号旗が、スルスルと上った。時速十六ノットの隼丸だ。——捕鯨船は、戦わずして敗れた。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
釧路丸では、ガラガラと轆轤かぐらさん銛綱せんこうられて、仔鯨がポッカリ水の上へ浮上った。するとこの時、前檣マストの見張台にいた男が、手を振ってなにやら喚き出した。近づく隼丸に気づいたのだ。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
やうやく葡萄の果汁マストのやうに
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
夕陽に照らされた地中海は猩々緋しょうじょうひのように美しい。船々の甲板、船々の船檣マスト、そして船々の煙突は焔のように輝いている。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)