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捜
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さぐ
ふりがな文庫
“
捜
(
さぐ
)” の例文
旧字:
搜
その後から
跟
(
つ
)
いて来た銅八の赭い顔は、疾風迅雷的に下手人を挙げた自分の手柄に陶酔しながら群集の中へ
捜
(
さぐ
)
るように瞳を射かけます。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
手水鉢
(
ちょうずばち
)
で、
蔽
(
おおい
)
の下を、
柄杓
(
ひしゃく
)
を
捜
(
さぐ
)
りながら、
雫
(
しずく
)
を払うと、さきへ手を
浄
(
きよ
)
めて、
紅
(
べに
)
の口に
啣
(
くわ
)
えつつ待った、
手巾
(
ハンケチ
)
の
真中
(
まんなか
)
をお絹が貸す……
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
子猿は母猿の死骸に
捜
(
さぐ
)
り寄つて、その手や口の冷えてゐるのに触れてヒヨウ/\/\と啼き続けた。この所の記事は実に読むに忍びない。
猿
(新字旧仮名)
/
ジュール・クラルテ
(著)
何故かしれない不思議な、悪い事をしたときのような胸さわぎが、姉の文庫の中を
捜
(
さぐ
)
ったりするときに、ドキドキとしてくるのであった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
安否を
分
(
わ
)
かざりし
幾年
(
いくとせ
)
の思に
較
(
くら
)
ぶれば、はや
嚢
(
ふくろ
)
の物を
捜
(
さぐ
)
るに等しかるをと、その一筋に慰められつつも彼は日毎の
徒然
(
つれづれ
)
を憂きに堪へざる
余
(
あまり
)
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
同時に熊谷がガチャガチャと
袂
(
たもと
)
の中からマッチを
捜
(
さぐ
)
り出す音がしました。そしてマッチを擦ったので、ぼうッと私の
眼瞼
(
まぶた
)
の上に明りが来ました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
深覗きというのはただの物見程度でなく、まったく敵の中へ入って来る「
忍
(
しの
)
び」の業で、いわゆる
変遁隠形
(
へんとんおんぎょう
)
の術を要する
生命
(
いのち
)
がけの
捜
(
さぐ
)
りである。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で山鹿が変装して帰ろうと上を仰ぐといつの間にか君がいるのに気がついた、で心配になったんで夜釣を装って君の様子を
捜
(
さぐ
)
りに来たんだろうよ。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その真相を
捜
(
さぐ
)
りたいと思いながら、その機会がなくてまた半年ばかりを過した時、こん度は突然おたみの手紙に接した。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は風に吹かれて思ふやうにならない地図を皺くちやにしながら、
捜
(
さぐ
)
りを入れるやうに頭の上から言葉を投げた。
伊良湖の旅
(新字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
臂
(
かいな
)
が動き出した。片手は、まっくらな
空
(
くう
)
をさした。そうして、今一方は、そのまま、
岩牀
(
いわどこ
)
の上を掻き
捜
(
さぐ
)
って居る。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
暫時
(
しばらく
)
部屋の内には声が無かつた。二人は互ひに
捜
(
さぐ
)
りを入れるやうな目付して、無言の
儘
(
まゝ
)
で相対して居たのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何処
(
どこ
)
から手を出して掛金を外すのか、
但
(
たゞ
)
し
栓張
(
しんばり
)
を取って
宜
(
い
)
いか訳が分りません、
脊伸
(
せいの
)
びをして上から
捜
(
さぐ
)
って見ると、
閂
(
かんぬき
)
があるようだが、手が届きません。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その文章の題材を、種々の周囲の状況のために、過去に求めるようになってから、わたくしは徳川時代の事蹟を
捜
(
さぐ
)
った。そこに「
武鑑
(
ぶかん
)
」を検する必要が生じた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
自分がその道の巧者と家来の幾人かを使つて、大袈裟に国中を狩りつくしても、なほ見ることができなかつたものを、喜平は自分の眼ひとつで安々と
捜
(
さぐ
)
り出してゐる。
小壺狩
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
突然、私は砂を払いのけながら、起き上る。今度はこっちで、あべこべに、母の隠し立てを見つけてやるからいい!……そこで、私はお前にそっと
捜
(
さぐ
)
りを入れてみる。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
されどそは予が語らんとする所にあらず。予は馬車中子爵の胃痛を訴ふるや、手にポケツトを
捜
(
さぐ
)
りて、丸薬の
函
(
はこ
)
を得たり。而してその「かの丸薬」なるに一驚したり。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は決して失礼なことをしたり、何か
捜
(
さぐ
)
り出そうとしたりなどするつもりはないのでございます。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
幹や葉のみを見て全部と思うのは間違い、根も
捜
(
さぐ
)
ってみなければ木というものの本体は分らない。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そしてその昔の心持と今のとどこか似通ったものを
捜
(
さぐ
)
りあてて、思わず微笑したのであった。
雑記(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ルパンがふと気が付いてみると、卓子の一端に水入があって、その
硝子
(
がらす
)
栓には頭の方に
黄金
(
こがね
)
の飾りが付いている。やがて手は水入に届いた。
捜
(
さぐ
)
る様にしてそっと栓を抜いた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
続いてロンブロゾ一派の著書を
捜
(
さぐ
)
って、白痴教育、感化事業、刑事人類学等に興味を持ち
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そして種子は並外れた始動速を与へられて、四方の家具や壁にまた其処に人が居れば人の顔に衝突する。漿果を検べて、それに斯る生気を与へるところの弾機を
捜
(
さぐ
)
つて見たまへ。
卓上演説
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
次に封筒を手に取って
一瞥
(
いちべつ
)
し、今度は洋服のポケットを
捜
(
さぐ
)
って時計の
鎖
(
くさり
)
に附いた磁石を取り出し、その磁石を見ては又窓から首を出して空を眺めたり、じっと机の上を見詰たり
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それからだんだん
捜
(
さぐ
)
りを入れて見ると、八橋はまったく栄之丞に愛想をつかしているらしく思われた。あんな不実な奴はどうなっても構わないと、本当に思っているらしかった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
庸三はこの
期
(
ご
)
になって、卑小にも春日の腹でも
捜
(
さぐ
)
っているようで不愉快だったし、先生も汚いなと思われでもしているようで気が差したが、いざとなるとやはり金も惜しかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
次の日彼は家の床の下を
捜
(
さぐ
)
りて、乗り崩したる竹馬を寡婦の家に持ちゆきて
曰
(
いわ
)
く、これは兄貴が十五歳の時大雪の中を競走して勝ちを得たる竹馬なりと、翌日は黒塗りの横笛をもたらしゆき
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
声をたよりにズッと
捜
(
さぐ
)
りよって来て、ひどく息をはずませながら
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それが竹光と後で気が付いた時は追っ付かない。死骸の着物の上から三度も四度も竹光を通して、
漸
(
ようや
)
く槍で突いた創口を
捜
(
さぐ
)
り当てた
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
通道
(
とおりみち
)
というでもなし、花はこの
近処
(
きんじょ
)
に名所さえあるから、わざとこんな裏小路を
捜
(
さぐ
)
るものはない。
日中
(
ひなか
)
もほとんど人通りはない。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静に
臥
(
ふ
)
したりし貫一は忽ち起きて鞄を開き、先づかの文を
出
(
いだ
)
し、
焠児
(
マッチ
)
を
捜
(
さぐ
)
りて、封のままなるその
端
(
はし
)
に火を移しつつ、
火鉢
(
ひばち
)
の上に
差翳
(
さしかざ
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
苔と落葉と土とに
埋
(
うづも
)
れてしまつた古い石碑の
面
(
おもて
)
を恐る/\洗ひ清めながら、磨滅した
文字
(
もんじ
)
の一ツ一ツを
捜
(
さぐ
)
り出して行くやうな心持で、自分は先づ第一に
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
松岡はズボンのかくしを
捜
(
さぐ
)
って時計を見たが、十一時を八分過ぎて止っていた。それを振ると又カチカチ動いた。
三階の家
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ここに
捜
(
さぐ
)
りここに
購
(
あがな
)
ひ、
之
(
これ
)
を求めて之を得たり、
微
(
すこ
)
しく
選
(
えら
)
むに
稗官小説
(
はいくわんせうせつ
)
を以てし、実を
摭
(
ひろ
)
ひ、疑ひ
闕
(
か
)
き、皇統を
正閏
(
せいじゆん
)
し、人臣を是非し、
輯
(
あつ
)
めて一家の
言
(
げん
)
を成せり。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私の母が
漸
(
ようや
)
くそれを心配しだした。彼女は私の心の中をそれとなく
捜
(
さぐ
)
る。そしてそこに二人の少女の影響を見つける。が、ああ、母の来るのは何時もあんまり遅すぎる!
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
恐る/\四方を
捜
(
さぐ
)
って見ましたが、少しも足掛りはなし、
如何
(
いかゞ
)
せばやと胸騒ぎいたしましたが、余り騒いで熊が目を
覚
(
さま
)
し、噛付かれてはならぬと思案に暮れて居ります
中
(
うち
)
に
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
目ざとく振り返った末造と、その男は目を見合せて直ぐに背中を向けて通り過ぎた。「なんだ、目先の見えねえ」とつぶやきながら、末造は袖に入れていた手で懐中を
捜
(
さぐ
)
った。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
女の境遇や住宅を
捜
(
さぐ
)
り出そうと云う気は少しもなかったが、だんだん時日が立つに従い、私は妙な好奇心から、自分を乗せた俥が果して東京の
何方
(
どっち
)
の方面に二人を運んで行くのか
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この学者は、西洋の書物にもしか優良な人種には臍が二つあるといふ文句でもあらうものなら、そつと自分のお腹を
捜
(
さぐ
)
つてみて、猿のやうに顔を
赧
(
あか
)
くする程真理に忠実な人である。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
怪しげなそこの門を入って、庭から
離房
(
はなれ
)
めいた粗末な座敷へ通され、腐ったような刺身で、悪い酒を飲んで、お作一家の内状を
捜
(
さぐ
)
った時は、自分ながら莫迦莫迦しいほど真面目であった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかしそれほど偶然的でない色々な災難の源を奥へ奥へ
捜
(
さぐ
)
って行った時に
厄年と etc.
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
捜
(
さぐ
)
ろうと致しますし、その男は……あの男は……
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
足の先でスリッパを
捜
(
さぐ
)
ってつっかけた。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「誰でも一応は間違えることだ。まアいいや、こいつは兄哥の手柄にして、番所へ引いて行くがいい。俺はもう少し
捜
(
さぐ
)
ってみるから——」
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
与
(
く
)
れ!」と
渠
(
かれ
)
はその
掌
(
てのひら
)
を学生の
鼻頭
(
はなさき
)
に
突出
(
つきいだ
)
せり。学生は
直
(
ただち
)
にパイレットの
函
(
はこ
)
を投付けたり。
渠
(
かれ
)
はその一本を
抽出
(
ぬきいだ
)
して、
燐枝
(
マッチ
)
を
袂
(
たもと
)
に
捜
(
さぐ
)
りつつ
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうもあの女には別な気もちがあるらしい。しょっちゅう考え込んで何かを
捜
(
さぐ
)
りあてようとしているのだ。」
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「ここの大将は師匠の事ばかり心配して、〆蔵さんの事は何も言わないから、手前も別にまだ
捜
(
さぐ
)
っても見ません。あれはまず、あれッきりで御在ましょう。」
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「無駄だ。巧言を止めろ。われも幼少から兵書を読み、
孫子
(
そんし
)
呉子
(
ごし
)
の
神髄
(
しんずい
)
を書に
捜
(
さぐ
)
っている。別人ならば知らぬこと、この曹操がいかで汝や黄蓋ごとき者の企てに乗ろうぞ」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
即ち経籍の
古版本
(
こはんぼん
)
、古抄本を
捜
(
さぐ
)
り
討
(
もと
)
めて、そのテクストを
閲
(
けみ
)
し、比較考勘する学派、クリチックをする学派である。この学は源を
水戸
(
みと
)
の
吉田篁墩
(
よしだこうとん
)
に発し、棭斎がその
後
(
のち
)
を
承
(
う
)
けて発展させた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
けれどもかかる状態が長持ちをする
筈
(
はず
)
がありません。二人は互に相手の心に
捜
(
さぐ
)
りを入れ、陰険な暗闘をつづけながら、いつか一度はそれが爆発することを内々覚悟していましたが、或る晩私は
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
捜
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“捜”を含む語句
捜索
捜査
手捜
家捜
捜出
捜神記
爪捜
捜索方
捜索方針
探捜
捜討
捜索隊
大捜索
嫁捜
捜究
大捜査
掻捜
捜索願
捜羅
捜査隊
...