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恵
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めぐみ
ふりがな文庫
“
恵
(
めぐみ
)” の例文
旧字:
惠
時は
凡
(
すべ
)
ての傷を癒やすというのは自然の
恵
(
めぐみ
)
であって、一方より見れば大切なことかも知らぬが、一方より見れば人間の不人情である。
我が子の死
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
親兄の
孝
(
つかへ
)
をもなさで、君が家の
二九九
羈
(
ほだし
)
ならんは
三〇〇
由縁
(
よし
)
なし。御
恵
(
めぐみ
)
いとかたじけなけれど、又も参りなんとて、紀の国に帰りける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
仮令
(
たとえ
)
山賊の棲家であろうとも、
奪
(
と
)
られる物のない心易さ、
其処
(
そこ
)
まで行けば、一飯一食の
恵
(
めぐみ
)
位にはあり付けそうに考えたのでした。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
米八が『
春色
(
しゅんしょく
)
恵
(
めぐみ
)
の
花
(
はな
)
』のうちで「そんな色気のないものをたべて」と
貶
(
けな
)
した「
附焼団子
(
つけやきだんご
)
」は味覚の効果をほとんど味覚だけに限っている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
それのみか
然様
(
そう
)
いう恐ろしいところではあるが、しかし
沈香
(
じんこう
)
を産するの地に流された因縁で、天香伝一篇を著わして、
恵
(
めぐみ
)
を後人に
貽
(
おく
)
った。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
しかし人間というものは
到底
(
とうてい
)
吾輩
猫属
(
ねこぞく
)
の言語を解し得るくらいに天の
恵
(
めぐみ
)
に浴しておらん動物であるから、残念ながらそのままにしておいた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
加特力教
(
カトリックきょう
)
信ずる養父母は、英吉利人に使はるるを嫌ひぬれど、わが物読むことなど覚えしは、
彼
(
かの
)
家なりし
雇女教師
(
やといじょきょうし
)
の
恵
(
めぐみ
)
なり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
余の熱心の足らざるが故にあらずして
反
(
かえっ
)
て余の熱心(爾の
恵
(
めぐみ
)
によりて得ば)の足るがゆえにこの苦痛ありしなり、ああ余は幸福なるものならずや。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
岩居
(
がんきよ
)
がてんぷらをふるまひたる夜その友
蓉岳
(
ようがく
)
来り、(桜屋といふ菓子や)余が酒をこのまざるを聞て
家製
(
かせい
)
なりとて
煉羊羹
(
ねりやうかん
)
を
恵
(
めぐみ
)
ぬ、
味
(
あぢは
)
ひ江戸に同じ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
婦
(
をんな
)
の徳をさへ
虧
(
か
)
かでこの
嬋娟
(
あでやか
)
に生れ得て、しかもこの富めるに
遇
(
あ
)
へる、天の
恵
(
めぐみ
)
と世の
幸
(
さち
)
とを
併
(
あは
)
せ
享
(
う
)
けて、残る
方
(
かた
)
無き果報のかくも
痛
(
いみじ
)
き人もあるものか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「あなたはやせてゐますね、いけませんよ。わたしとわたしの羊たちとをごらんなさい。よく肥つてゐるでせう。神さまのお
恵
(
めぐみ
)
が深いのだと思ひますよ」
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
天の
恵
(
めぐみ
)
は二重である、とはシエイクスピアの句にあるが、この事業たるや、かくして三重の恵となつて
居
(
を
)
るのであるから、
豈
(
あ
)
に大したものではなからうか。
翻訳製造株式会社
(新字旧仮名)
/
戸川秋骨
(著)
それは普通の程度を越えて
恵
(
めぐみ
)
深いことであった。どうして、それが欠点かと云うと、彼女の慈悲心は、余りにも突飛な形式で現われることが多かったからだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
寒くなると人の
往来
(
ゆきゝ
)
は少のうなります、酒臭き人の
往逢
(
ゆきあ
)
う寒さかなという句がありますが、たま/\通る人を見ても
恵
(
めぐみ
)
を受けようと思う様な人はさっぱり通りません。
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
九代目市川団十郎が『忠臣蔵』の大石
内蔵之助
(
くらのすけ
)
で、
山科
(
やましな
)
の別れに「冬の
恵
(
めぐみ
)
」を
奏
(
かな
)
で、また四国旅行の
旅土産
(
たびづと
)
に、「三津の眺め」の唱歌をつくったので、一層評判になった。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
... どっちみち今日の
恵
(
めぐみ
)
は
御為
(
おため
)
に悪いことはございません。」と
座蒲団
(
ざぶとん
)
を
撥
(
は
)
ねて、「これは早朝から御邪魔申しました。それではなりたけお早く
御出
(
おいで
)
下さいまし、一足御先へ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
痛
(
いたみ
)
おおきマリア様、どうぞお
恵
(
めぐみ
)
深く、お顔をこちらへお向け遊ばして、わたくしの悩みを御覧なされて下さいまし」という句に始まる
祈祷
(
きとう
)
は哀調にみちた美しい祈りであると思う。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
われは罪なき父の霊の、
恵
(
めぐみ
)
ふかき
上帝
(
かみ
)
の
御側
(
みそば
)
に救い取られしを信じて疑わず、
後世
(
ごせ
)
安楽を信じて惑わず、更に
起
(
た
)
って我一身のため、わが一家のため、奮って世と戦わんとするものなり。
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一一八
紅皿欠皿
(
べにざらかけざら
)
の話も遠野郷に
行
(
おこ
)
なわる。ただ欠皿の方はその名をヌカボという。ヌカボは
空穂
(
うつぼ
)
のことなり。
継母
(
ままはは
)
に
悪
(
にく
)
まれたれど神の
恵
(
めぐみ
)
ありて、ついに長者の妻となるという話なり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
老人子供の寝て居る処に血気の壮士が暴れ込んでは
迚
(
とて
)
も助かる道はない、所が
爰
(
ここ
)
に不思議とや
云
(
い
)
わん、天の
恵
(
めぐみ
)
とや云わん、壮士連の中に争論を生じたと云うのは、
如何
(
いか
)
にも今夜は好機会で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
生くとても為すこともなき老いの身は君の
恵
(
めぐみ
)
の勿体なくして
枕上浮雲
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
いつまでも
恵
(
めぐみ
)
を垂れる、悪い神様になりましたの。9665
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
貧しきものも人の
恵
(
めぐみ
)
に逢ひぬべし。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鉄鎖
(
てつくさり
)
の
解
(
とけ
)
る日生活の
恵
(
めぐみ
)
を見せ
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
それは大きな
恵
(
めぐみ
)
で気づかずに
わがひとに与ふる哀歌
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
勝四郎
熟
(
つらつら
)
思ふに、かく
落魄
(
おちぶ
)
れてなす事もなき身の何をたのみとて遠き国に
逗
(
とど
)
まり、
六八
由縁
(
ゆゑ
)
なき人の
恵
(
めぐみ
)
をうけて、いつまで生くべき命なるぞ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
岩居
(
がんきよ
)
がてんぷらをふるまひたる夜その友
蓉岳
(
ようがく
)
来り、(桜屋といふ菓子や)余が酒をこのまざるを聞て
家製
(
かせい
)
なりとて
煉羊羹
(
ねりやうかん
)
を
恵
(
めぐみ
)
ぬ、
味
(
あぢは
)
ひ江戸に同じ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼祈り得る時は
爾
(
なんじ
)
の特別の
恵
(
めぐみ
)
と
慰
(
なぐさめ
)
とを要せず、彼祈り能わざる時彼は爾の擁護を要する最も切なり、余は慈母がその子の病める時に
言語
(
ことば
)
に礼を失し易く
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
と云うので
此方
(
こちら
)
も見送る、右内は見返りながら、金の出来よう筈はないが、
神仏
(
かみほとけ
)
の
恵
(
めぐみ
)
で、何うか才覚したいものだと考えながら、うか/\と大原村という処へ掛りました所が
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼方
(
あなた
)
も在るにあられぬ
三年
(
みとせ
)
の月日を、
憂
(
う
)
きは死ななんと
味気
(
あぢき
)
なく過せしに、
一昨年
(
をととし
)
の秋物思ふ積りやありけん、心自から弱りて、
存
(
ながら
)
へかねし身の
苦悩
(
くるしみ
)
を、
御神
(
みかみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に助けられて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
草木も人の手の
恵
(
めぐみ
)
に遠ざかりたるより色失せ勢
萎
(
な
)
へて見る眼悲しくなりたるが中に、此花の
喬
(
たか
)
き常盤樹の梢に這ひ上りて、おのが心のまゝに紫の浪織りかけて静けく咲き出でたるなど
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「うむ、天の
恵
(
めぐみ
)
は洪大じゃ。茸にもさて、
被
(
き
)
るものをお授けなさるじゃな。」
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
清と山嵐とはもとより比べ物にならないが、たとい氷水だろうが、
甘茶
(
あまちゃ
)
だろうが、他人から
恵
(
めぐみ
)
を受けて、だまっているのは向うをひとかどの人間と見立てて、その人間に対する厚意の所作だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今この
主人
(
あるじ
)
をお前の
恵
(
めぐみ
)
に逢わせてくれい。695
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
されどもああわが神よ
爾
(
なんじ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は我死せずして我をこの苦痛より免れ得せしむ、爾に
依
(
より
)
てのみ貧者も自尊を維持し得べく、卑陋ならずして高尚なるを得るなり。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
明
(
あけ
)
の日
二八八
大倭
(
やまと
)
の
郷
(
さと
)
にいきて、翁が
二八九
恵
(
めぐみ
)
を
謝
(
かへ
)
し、
且
(
かつ
)
二九〇
美濃絹
(
みのぎぬ
)
三疋
(
みむら
)
、
二九一
筑紫綿
(
つくしわた
)
二屯
(
ふたつみ
)
を
遺
(
おく
)
り来り、
猶
(
なほ
)
此の
妖災
(
もののけ
)
の
二九二
身禊
(
みそぎ
)
し給へとつつしみて願ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
もし刑罰とすれば、
恵
(
めぐみ
)
の
杖
(
しもと
)
、
情
(
なさけ
)
の
鞭
(
むち
)
だ。実際その罪を罰しようとするには、そのまま無事に置いて、平凡に
愚図愚図
(
ぐずぐず
)
に
生存
(
いきなが
)
らえさせて、
皺
(
しわ
)
だらけの
婆
(
ばば
)
にして、その娘を終らせるが
可
(
い
)
いと、私は思う。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
恵
(
めぐみ
)
をなさらいでは、お
楽
(
たのしみ
)
はございません。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
萎
(
な
)
えしぼんだ草樹も、その
恵
(
めぐみ
)
に依って、
蘇生
(
いきかえ
)
るのでありますが、しかしそれは、広大無辺な自然の力でなくっては出来ない事で、人間
業
(
わざ
)
じゃ、なかなか焼石へ
如露
(
じょろ
)
で振懸けるぐらいに過ぎますまい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恵
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“恵”を含む語句
御恵
智恵
恩恵
恵比須
恵美
知恵
恵比寿
恵林寺
悪智恵
恵心
柳下恵
明恵
明恵上人
恵王
梁恵王
恵須取
恵美朝臣
恵慈
恵性
恵蓮
...