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得物
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えもの
ふりがな文庫
“
得物
(
えもの
)” の例文
韓はさらに近隣の者を大勢駆り集めて、弓矢その他の
得物
(
えもの
)
をたずさえてかの墓を
発
(
あば
)
かせると、墓の奥から五、六匹の犬があらわれた。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ルンペンどもは前もって明智の逃げ道を察し、そこの出口に
一
(
ひ
)
とかたまりになって、手に手に
得物
(
えもの
)
を持って待ち構えていたのである。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私たちはすぐ
得物
(
えもの
)
をふりあげて近寄りざま、ブランカをなぐりつけた。ブランカは力がつきて最後の悲鳴をあげてぐたりと横に
倒
(
たお
)
れた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
ことに、その武器と
得物
(
えもの
)
なども今は、携えている者すらなく、まるで土中から発掘された泥人形の武者や
木偶
(
でく
)
の馬みたいになっていた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
穏かでないのは、これが城下の人ではなく、
蓑笠
(
みのかさ
)
をつけ
得物
(
えもの
)
を取った、百姓
一揆
(
いっき
)
とも見れば見られぬこともない人々であります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
その男が、警戒していた家からも、物音をききつけて、
得物
(
えもの
)
を持って四、五人走り出ようとしたのを、男はよく戦って射すくめてしまった。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
赤裸体
(
あかはだか
)
のもの、
襯衣
(
シャツ
)
一枚のもの、赤い
褌
(
ふんどし
)
をしめたもの、鉢巻をしたもの、二三十人がてんでに
得物
(
えもの
)
を提げてどこということなしに乗り込んでいる。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
が、再び思うに、むやみと
得物
(
えもの
)
を振廻しては、
馴
(
な
)
れない事なり、
耕耘
(
こううん
)
の武器で、文金に怪我をさせそうで危かしい。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
討とうとする
得物
(
えもの
)
じゃ。凡そ、人を討つほどの者は、敵のみ討って、己を全うしようと考えてはいかん。己も死ぬ、その代りに、敵も
斃
(
たお
)
す。この覚悟を
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
そのあとにももちろん、何人かの盗人たちは、
小路
(
こうじ
)
のそこここに、
得物
(
えもの
)
をふるって、必死の戦いをつづけている。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつのまにどこから現われ出たのであろう、
得物
(
えもの
)
を持った十二、三人の男がお粂を真ん中に取りこめて、得物得物を打ち振って、お粂を叩き倒そうとしている。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
得物
(
えもの
)
もあるまいに、よくそれだけの傷で済んだものじゃのう。どうしてまたその姿でここへ参った」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
別に怪しい者でなく三人の小娘が枯れ枝を拾っているのでした。風が激しいので
得物
(
えもの
)
も多いかして、たくさん背中にしょったままなおもあたりをあさっている様子です。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
晝飯が終ると三人は又手に/\
得物
(
えもの
)
を持つて出かけて行く。夕餉の膳に對して彼等の口は際限もなく動く。而して夜が彼等を
丸太
(
まるた
)
のやうに次ぎの朝まで深い眠りに誘ひ込む。
小さき影
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
刀か脇差だと、これは左利きの
業
(
わざ
)
だが、傷の工合じゃ、どうしても
得物
(
えもの
)
は合せ
剃刀
(
かみそり
)
だ。ネ、そんな短い物で人の命でも
奪
(
と
)
ろうとすると、
逆手
(
さかて
)
に持たなきゃア役に立たないよ。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
硝子
(
ガラス
)
はから/\と鳴りたり。我は目に見えぬ威力に驅らるゝものゝ如く、走りて裏口に至り、
得物
(
えもの
)
もがなと見𢌞す
傍
(
かたへ
)
の、葡萄
架
(
だな
)
の横木引きちぎりつ。女はニコオロにやと叫べり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこでお医者に見せたいなれど。俺は何ともないなぞいうて。
得物
(
えもの
)
振り立て暴れまするで。止むを得ませぬ非常の手段。いつもここらを通るとわかり。取って押えに張り込みまする。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仕合よしと
奪
(
うば
)
ひ取り
何國
(
いづく
)
ともなく
逃失
(
にげうせ
)
けり斯て穀屋にては音吉の知せに悴平吉を始め家内中驚き
騷
(
さわ
)
ぎ平吉は
親重代
(
おやぢうだい
)
の脇差
追取
(
おつとり
)
音吉を案内として
駈出
(
かけいだ
)
すを後に續て番頭手代共各々
提灯
(
ちやうちん
)
得物
(
えもの
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「それ
來
(
き
)
たっ」と、
武士
(
ぶし
)
たちが
得物
(
えもの
)
をとつて
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
はうとすると、
誰
(
だれ
)
もかれも
物
(
もの
)
に
魅
(
おそ
)
はれたように
戰
(
たゝか
)
ふ
氣
(
き
)
もなくなり、
力
(
ちから
)
も
出
(
で
)
ず、たゞ、ぼんやりとして
目
(
め
)
をぱち/\させてゐるばかりであります。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
松の木を
小楯
(
こだて
)
に取りまして、不埓至極な奴だ、旦那を
何
(
なん
)
と心得る、羽生村の名主様であるぞ、粗相をすると許さんぞというと、大勢で
得物
(
えもの
)
/\を持って切って掛るから、手前も大勢を相手に切り結び
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
帆村は
咄嗟
(
とっさ
)
になにか
得物
(
えもの
)
はないかとあたりを見廻した。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「竹竿? ふむ。
得物
(
えもの
)
はそれっきりか。」
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「
乃公
(
おれ
)
の
得物
(
えもの
)
はこれだ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
針
(
はり
)
がふれてもピリッと感じるであろう
柄手
(
つかで
)
の
神経
(
しんけい
)
に、なにか、ソロリとさわったものがあったので竹童は、まさしく相手の
得物
(
えもの
)
と直覚し
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人の騒ぎ罵る声は、いよいよ喧しくなりました。思うに
蓑笠
(
みのかさ
)
を着けた幾多の百姓連が、
得物
(
えもの
)
を携えて出水出水の警戒に当るらしくあります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
伝七も
得物
(
えもの
)
をとって再び引っ返して来たが、もうその時には黒い物の影も見えなかった。佐兵衛は転んだはずみに膝を痛めた。
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、わたしも
多襄丸
(
たじやうまる
)
ですから、どうにかかうにか
太刀
(
たち
)
も
拔
(
ぬ
)
かずに、とうとう
小刀
(
さすが
)
を
打
(
う
)
ち
落
(
おと
)
しました。いくら
氣
(
き
)
の
勝
(
か
)
つた
女
(
をんな
)
でも、
得物
(
えもの
)
がなければ
仕方
(
しかた
)
がありません。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
男の教主の怪しき
得物
(
えもの
)
と、女の教主の檜扇とは、そういう信者の一人一人へ、一々軽く触れて行った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
葉子は何かたたきつけるものでもあれば、そして世間というものが何か形を備えたものであれば、力の限り
得物
(
えもの
)
をたたきつけてやりたかった。葉子は小刻みに震えながら、言葉だけはしとやかに
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
楯
(
たて
)
に取サア
來
(
こ
)
い汝等片端より
捻
(
ひね
)
り殺して呉んずと身構たれ
共
(
ども
)
手振
(
てぶら
)
にて何の
得物
(
えもの
)
のなきを付込惡者共は聲々に人の來ぬ間に打殺せと先に進みし一人が
振揚
(
ふりあげ
)
かゝる
息杖
(
いきづゑ
)
を飛違へ
樣
(
さま
)
もぎ取て手早く
腋腹
(
ひばら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
平次は辰五郎の
酔顔
(
すいがん
)
の前に、その
斑々
(
はんぱん
)
たる
得物
(
えもの
)
を突きつけました。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鍬
(
くわ
)
、
鋤
(
すき
)
の類をはじめとしての
得物
(
えもの
)
は、それぞれ柳の木に立てかけられたり、土手の上に転がされたりして、双方が
素手
(
すで
)
で無事に入り交って
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、
具足
(
ぐそく
)
の音を
霰
(
あられ
)
のようにさせ、
槍
(
やり
)
、
陣刀
(
じんとう
)
、
薙刀
(
なぎなた
)
など思いおもいな
得物
(
えもの
)
をふりかざし、四ほうにパッとひらいて
斬
(
き
)
りむすんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四月十日の
小雨
(
こさめ
)
のふる宵であった。同町の往来で二人の男が喧嘩をはじめた。最初は番傘で叩き合っていたが、しまいには
得物
(
えもの
)
を投げすてて組打ちになった。
半七捕物帳:45 三つの声
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
場内は
寂然
(
しん
)
と静かであった。松明の火が数を増した。火事場のように赤かった。後から後からと無数の信者が、出入り口からはいって来た。みんな
得物
(
えもの
)
を持っていた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
太刀
(
たち
)
をはくもの、矢を負うもの、
斧
(
おの
)
を執るもの、
戟
(
ほこ
)
を持つもの、皆それぞれ、
得物
(
えもの
)
に身を固めて、
脛布
(
はばき
)
藁沓
(
わろうず
)
の装いもかいがいしく、門の前に渡した石橋へ、むらむらと集まって、列を作る——と
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また思い思いな
得物
(
えもの
)
を把って、毛利勢へ当って来た予想外な戦力にぶつかって、寄手浦兵部丞も初めて、これは? と
狼狽
(
ろうばい
)
したほどであった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういう
徒
(
やから
)
の習い、
得物
(
えもの
)
をわざと投げ出したのは、こっちに油断させる為であろうと、半七は用心しながら追ってゆくと、式部は奥の八畳の間へ逃げ込んで
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
手には丸太や
板片
(
いたきれ
)
を持っているものもあれば、同心や牢番を叩き伏せてその
得物
(
えもの
)
を奪うて働くのもあります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「よし来た!」とばかり地廻りども、
得物
(
えもの
)
得物を打ち振って、伊集院一味へ打ってかかった。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こりや火吹竹を
得物
(
えもの
)
にした、宿の若え者が云つた事だ。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「こうなる場合——こう敵と自分と
間
(
ま
)
をおいて立つ時は——相手の
得物
(
えもの
)
を巻き取るのがこっちの目的、太刀、槍、棒、何へ向ってもそれは出来る」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鉄如意を離さなかったけれど、近藤勇は
頑
(
がん
)
としてきかなかった。ぜひ、他の
得物
(
えもの
)
を取れと勧めたから和尚は
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は
得物
(
えもの
)
を取り直して、天を
睨
(
にら
)
んで突っ立っていると、その勢いに
辟易
(
へきえき
)
したのか、あるいは道理に服したのか、雷は次第に遠退いて、かえって蛇の穴の上に落ちた。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「あの木像こそ他ならぬ窩人族の
守護神
(
まもりがみ
)
じゃ。彼らの祖先宗介じゃ。窩人どもの族長じゃ。族長の持っている
得物
(
えもの
)
をもって、他の族長を討つ以外には、妖婆を討ち取る手段はない」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そしてついに衆のいきどおりをこめた声が「わあッ」となって、
櫂
(
かい
)
、
水棹
(
さお
)
、水揚げ
鈎
(
かぎ
)
、思い思いな
得物
(
えもの
)
を押っとり、李逵へむかってかかって来た。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無論、ただ俄然として驚き醒めただけでは安心が成り難いから、それで卒然として立ち上ったものですから、その手に例の唯一の
得物
(
えもの
)
を放すことではありません。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
翁は内へ引っ返して小さい鎌と
鉈
(
なた
)
とを持ち出して来た。畜生めらをおどすには何か
得物
(
えもの
)
がなくてはならぬと、彼はその鉈を千枝松にわたして、自分は鎌を腰に挟んだ。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
とたんに、彼の上へ、
棍棒
(
こんぼう
)
、
鈎棒
(
かぎぼう
)
、
鳶口
(
とびぐち
)
、
刺叉
(
さすまた
)
、あらゆる
得物
(
えもの
)
の乱打が降った。そして、
猪
(
しし
)
の
亡骸
(
むくろ
)
でも
担
(
かつ
)
ぐように、部落の内の
籾干場
(
もみほしば
)
へかつぎ入れ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脇差も
抛
(
ほう
)
りっぱなしで出て来た——あわただしく両手を振ってみたが、
得物
(
えもの
)
とてはなんにもない、思わずあたりを振向いたけれども、暗い中に転がっている物とては
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“得物”で始まる語句
得物提
得物々々